選挙に関連したおなじみの比喩の一つはおそらく「戦争」ではないだろうか。一国の未来を左右する候補を間違って選べば国を失うような選挙だ。各候補はキャンプという塹壕を掘り、キャンプ関係者は指定された時間に暴露を放ち、グループ分けされた「陣営」の歩兵は休む暇もなく指で何かを作って書いてまき散らす。実に内戦のような選挙だ。

そのため今日、多くの有権者は廃虚となった戦争被害者の気持ちで深刻なストレスを抱いたまま惑わされたように列に並び、記票所に入っていくだろう。重い気持ちで自分の選択肢に「人」の形の跡を残そうと、あえてマスクやビニール手袋で重武装しなくても厳重かつ孤独なその億劫（仏教用語で長い時間を意味する）の５秒を四方がふさがれた記票所で耐えなければならない。そしてさらに重い気持ちで新しい大統領の当選確定を待ち、夕方のチャンネルをあてもなく変え、そのようにして第２０代大統領選挙当日は暮れていくだろう。

民主共和国の市民として、これは悔しいかあるいは佗びしいことではないか。選挙が民主主義の祭典という話が少しでも真実を含んでいるなら、少なくとも市が立ち野次馬が集まり、人々の間で談笑があるべきで、祝賀と慰労が、現在と未来が、そして名誉と反省と約束が交差しなければならない。私たちの選挙はそのようには行われず、今日がそのように過ぎてはいかないことを誰もが知っている。ＹｏｕＴｕｂｅ（ユーチューブ）によると、国を北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）に捧げるか検察に捧げるかする大統領の一人を私たちは保有することになるだろう。


しかし大韓民国の大統領職を引き受けることになった人が、あえて国を「金正恩に捧げる」理由も、あえて「検察独裁」を新たに始める理由も、動機もないだろう。

さらに重要なことは、たとえそうであっても民主化以降３５年の歴史を誇り、２人の大統領が国会によって弾劾され、４人の前職大統領を拘束させた韓国の民主主義がそれをそのままにしておく可能性は皆無だ。そのため今日投票所に向かう有権者は安心して少しでも軽い気持ちで、記票と投票にしっかり耐えて遂行してほしい。少なくとも３５年前には国民が直接大統領を選ぶために汗と血と涙を流した時があり、目を遠くにやれば、今でも直接戦争を指揮する大統領と戦場で息子を失って涙を流す母親がいるウクライナ戦争の惨禍が進行している状況で、私たちはしばし襟を正さざるを得ない。今日私たちが行うことは、闘争でも戦争でもなく、ただ一人の５年臨時職公務員を選ぶ選挙にすぎないためだ。

◆２００８年米大統領選挙敗者、ジョン・マケインの品格

それでも読者が選挙を耐える自信がなければＹｏｕＴｕｂｅを開き、２００８年米国大統領選挙で落選して今は故人となったジョン・マケイン氏の映像をいくつか探してみるのも悪くないだろう。２００８年米国大統領選挙は最初の黒人大統領であるオバマ氏が選出された選挙だが、その選挙で誰もが記憶する場面は「オバマは信じることのできないアラブ人」という支持者にマケインが「違います。オバマ氏は立派な家長であり市民で、私たちはただ重要な政策的な立場が違うだけです」と答えた魔法のような瞬間だった。

韓国の候補と政党が、そしてその支持者と言論が、さらには数百万人の購読者を誇るユーチューバーたちが決定的に勘違いしているのは、選挙は民主主義で勝者を選ぶ非常に機械的な過程という誤解だ。なぜなら選挙で誰を選ぶのかよりもはるかに重要なのは、その選ばれた誰かがその後どのような内容の政治を行うのか、選挙の開かれた場で討論され、決定されるべきで、それがまさに民主主義だからだ。「相手が犯罪者なので討論できない」「相手が嘘しかつかない」という態度は、選挙を行う態度というよりも戦争をする態度であり、それが過ぎ去った場所には傷痕以外に何が残るというのか。これを私たちは民主主義と呼ぶことはできない。これを私たちは決して祭典と呼ぶことはできない。


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