安倍首相の祖父、岸信介元首相(中央)と一緒の崔書勉氏。[中央フォト]
日本人所蔵者から返還された安重根の遺墨「國家安危勞心焦思」[中央フォト]
当時、金大中拉致事件などの影響で朴正熙大統領の維新体制に対する日本の世論が極めて悪かった。(リベラル系の)三木が首相になれば韓日関係がさらに悪化するだろうという予想が広がっていたが、これを事前に知らせて韓国政府が対策を立てられるようにするためだった。崔書勉はすぐに韓国に連絡し、朴大統領は世界で最も早く三木首相内定の事実を知ることになった。崔書勉と親交が最も深かった福田は、結局2年後に首相になった。崔書勉を媒介に、朴正熙-福田間の深い信頼関係が構築され、朴正熙暗殺事件まで韓日関係は順調だった。
今の視点では信じがたいことが1970年代の韓日関係の舞台裏で行われていたわけだ。崔書勉院長の口述を採録した静岡県立大学の小針進教授に電話で話を聞いた。
――崔書勉先生の口述で感じた点は。
「韓日関係は国際関係の視点だけで見てはならず、人間関係という要素を併せて見なければ正しく見ることができないと考えるようになった。崔書勉先生が日本で結んだ人脈は日本人研究者が見ても驚くほどだ。崔先生がしたことは、後々のために記録を残さなければならないと考えて報告書にまとめたが、日本では出版されず今回韓国で出版された」
――今日の韓日関係に与える教訓は。
「崔書勉先生は親日、反日の尺度で判断することのできない方だ。日本の歴史認識について最も批判的で厳しくも、日本人から最も尊敬され愛されている方だ。崔先生の持論のように、批判はするが相手の視点も考慮する度量があったからではないだろうか。今、両国ともナショナリズムが互いに強まり、自分の立場だけで歴史を見ようとしている」
韓日関係は1965年の国交正常化以来、最悪という評価が大袈裟でない時期を迎えている。人的・経済的交流は飛躍的に増えたが、両国政府間の信頼や関係改善の意志、国民間の感情は、停滞、時には後退ばかり繰り返している。90歳を超え、病床についている崔書勉先生の口述回顧録がよりによってこの時期に出版された。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍首相に一読を勧めたい本だ。
【コラム】「批判はするが相手の視点も考慮する度量を備えよ」…韓日関係の舞台裏60年、崔書勉の忠告(1)
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