20日午後12時ごろ、京畿道南楊州市(キョンギド・ナムヤンジュシ)でキムチ作りの名人イ・ハヨン氏がアミの塩辛を使ったキムチ「チョッグクチ」を漬けている。チョン・ユル記者
20日、京畿道南楊州市(キョンギド・ナムヤンジュシ)で会ったキムチ作りの名人イ・ハヨン氏は、キムチに入れるアワビとタコを刻みながらこう語った。イ氏がダイコン・ハクサイ・ミナリなどを切って加え、各種アミの塩辛や牛肉の出汁、もち米の粥を混ぜ合わせると、キムチの“ヤンニョム(合わせ調味料)”が出来上がった。あらかじめ塩漬けしておいたハクサイの間に丁寧にヤンニョムを入れて、形よく巻いて整えると、朝鮮時代に王の食卓に上がったという「チョッグクチ」10キログラムが、わずか30分で完成した。イ氏は「初めてキムチを漬ける外国人も、若い人たちも、実際にやってみると『簡単でおもしろい』と言って喜んでくれる」と話した。
イ氏によると、キムチを自分で漬けてみたいという外国人からの「キムジャン講義」の問い合わせが最近急増しているという。『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(以下、『KPOPガールズ!』)や『イカゲーム』などのKコンテンツ、K-POPなどの影響で、韓国の食文化への関心が集まり、キムチの人気も一緒に高まっているためだ。
2014年、韓国農林畜産食品部が指定する「大韓民国食品名人」58号に選定されたイ氏は、10年以上にわたり“キムチ名人”として活動している。伝統キムチの販売を行いつつ、キムジャン文化を継承していくため、毎年国内外約1000人の希望者にキムジャン講義も行っている。昨年はニューヨーク・タイムズ(NYT)の記事に“キムチマスター(Kimchi Master)”の一人として紹介されたこともある。2023年11月には、韓英文化交流財団理事長の依頼で、英国国王チャールズ3世の誕生日に、自ら漬けたキムチを贈った。唐辛子粉を半分に減らし、ニンニクやアミの塩辛を加熱して外国人でも食べやすくしたのが“チャールズ・キムチ”レシピの秘訣だという。
イ氏は「特に最近は、韓国にいる外国人だけでなく、海外からも『キムチについて学びたい』とラブコールが入ってくる」と語った。今月13~14日には招待を受けて、英国ロンドンのキムチフェスティバルに出張してきたという。イ氏は「『KPOPガールズ!』 やK-POPがきっかけで韓国文化をもっと知りたいと思って来る人も多かった。韓国文化そのものへの愛情や好奇心がキムチにまでつながっているようだ」と話した。続けて「年齢を問わず参加した外国人が『キムチを知ることができて本当に良かった』という反応を返してくれた」とし「国の格がそれだけ高まったのだと改めて感じた」と語った。
海外の人々はユーチューブ(YouTube)・インスタグラム(Instagram)などSNSに自分たちがキムチを漬ける動画を投稿している。インスタグラムでは #kimchi のハッシュタグが付いた投稿が約290万件に達する。「Kimchi Recipe」を共有した投稿のコメント欄の中には、キムチを漬けた経験のある外国人たちが「ヤンニョムの配分を調整すれば、辛すぎず美味しく作れる」などのコツを共有しているものもある。
海外だけでなく、韓国内でも2030世代を中心に、単身世帯が集まって一緒にキムジャンを楽しむトレンドが登場している。中古取引アプリ「タングンマーケット」などのコミュニティでは、一緒にキムジャンする人を募る“キムジャン契”が人気を集めたりもした。自身について「一人暮らしの30代女性」と紹介したあるタングンマーケット利用者は、「キムチは食べたいけれど買うのは嫌だし、お母さんが送ってくれるキムチがない方歓迎」という内容のキムジャン契募集案内を投稿した。
イ氏は「材料や調味料に馴染みがないからそう感じるだけで、実際に作ってみればそれほど難しくない」としつつも、「若い人たちはキムチを漬けたいと思っても、失敗が怖くてなかなか挑戦できないようだ」と話した。さらに「キムチ宗主国にふさわしい、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産にも指定されたキムジャン文化を継承するための方策が必要だ」とし「地域ごとにキムチ文化の体験館をつくり、実際に作って成功する体験を提供する必要がある」と強調した。
韓流専門家もキムチなどの伝統文化を広く知らせ、もっと身近なものにする必要があると提言する。誠信(ソンシン)女子大学創意融合学部の徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授は「『KPOPガールズ!』を見てキムパプ(韓国のり巻き)人気が高まったように、さまざまなコンテンツやOTTで韓国料理を露出させ、固有の食文化を知らせる方法が効果的だ」とし「景福宮(キョンボックン)など主要観光地周辺を中心に、外国人観光客が韓食を自分の舌で味わう体験館などを自治体と民間企業が協力して整える必要がある」と付け加えた。
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