タクシーが列に並んで停まっている様子。※写真は記事内容と直接の関係はありません。[写真 聯合ニュース]
韓国内に滞在しているカンボジア人が最近、差別を受けているという主張が相次いでいる。8月、慶尚北道醴泉(キョンサンブクド・イェチョン)出身の大学生がカンボジアで拷問の末に死亡したというニュースが伝えられ、さらに他の韓国人の拉致・監禁被害の報告が相次ぐ中、韓国に住むカンボジア人に対する嫌悪感も同時に広がっているとの指摘だ。
カンボジア国籍の40代移住労働者コイさんも13日、知人に会うためにタクシーに乗ったところ、「もしかしてカンボジア人? それなら降りて」と言われたと主張した。コイさんは「移動中に国籍を聞かれることはあったが、このように乗車してすぐ尋ねられたのは初めて」とし「結局バスを利用して向かうことになり、約束の時間に遅れてしまった」と話した。
SNSでは、カンボジアそのものに対する憎悪の投稿が多数掲載されている。「カンボジアという国自体が犯罪集団だ」とか「だから後進国のやつらはダメなんだ」などの内容だ。18年前に韓国へ来た結婚移民のAさんは「不名誉なことがカンボジアで起こっていること自体が本当に申し訳ない。代わりにお詫びする」という趣旨の投稿を13日、SNSに掲載したが、「自分の国に帰れ」や「ゴキブリが1匹増えた」などの反応が相次ぎ、最終的にコメント欄を閉じたという。
誇張されたり、歪曲(わいきょく)されたりした内容も広がっている。「カンボジアのGDPの50%は犯罪から生まれている」「カンボジアは中国の属国」といった主張が匿名のオンラインコミュニティを通じて拡散している。韓国移住労働財団のアン・デファン理事長は電話取材に対して「韓国人や中国人が、韓国人を高収入の仕事で誘い出して暴行・監禁したケースがほとんどだが、一部の韓国人は全く関係のないカンボジア人に八つ当たりしているようだ」とし「カンボジア現地警察の対応など、政府が役割を十分果たせなかった面もあるが、その被害をなぜカンボジアの移民や移住労働者が代わりに受けなければならないのか分からない」と指摘した。
カンボジア・プノンペンに26年間滞在している宣教師オ・テグン氏も電話取材を通じて、「犯罪が集中しているというシアヌークビルに行ってみると、90%は中国人だ」とし「韓国とカンボジアは互いに交流を増やしながらうまくやっているのに、その関係だけが悪化しないか心配だ」と語った。行政安全部によると、韓国に居住するカンボジア人の数は2万9240人(2022年)→5万7018人(2023年)→6万3681人(2024年)と、持続的に増加している。近く、カンボジアの移住労働者たちはソウル駅近くに集まり、大規模な差別禁止集会を開く予定だという。
専門家たちは「民間レベルと公的レベルの区別が必要だ」と指摘する。国民大学社会学科の崔恒燮(チェ・ハンソプ)教授は「カンボジア人の中には、韓国に来て経済的な面で貢献している人も多いのに、善良な人々が被害を受けるのは残念」とし「政府レベルで『憎悪を控えてほしい』という趣旨のメッセージを発信すれば、混乱を多少抑えることができるだろう」と述べた。
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