2024フランス・パリオリンピック(五輪)で史上最高の成績を収めた韓国代表選手たちの栄光の中には血・汗・涙そして「不安」が溶け込んでいた。大韓体育会が共に民主党の姜由楨(カン・ユジョン)議員室に提出した資料によると、2024パリ五輪期間(7月26日~8月12日)に大韓民国選手団が受けた心理相談・検査は合計20件と集計された。選手団全体(144人)のうち13.8%が心理相談を受けた格好だ。一瞬のミス、0.01秒差で結果が左右される競技を控えて激しい不安とストレスを体験した選手がそれだけ多かったということだ。
パリ五輪選手団の遠隔心理支援を引き受けた中央(チュンアン)大精神健康医学科のハン・ドクヒョン教授は「メンタルヘルス問題に対する先入観が相変わらずの現実を考慮すると、少なくない選手が助けを求めた」とし「困難があって自覚できなかったり隠したりする選手もいるので、表に出てきていない事例も相当あると思う」と説明した。
◇選手たち「競技前の不安・負担、選手・コーチ関係ストレス訴え」
今大会前後に選手たちが訴えた心理問題は主に(1)競技前の不安・負担感の訴え(2)選手・選手または、選手・指導者間の関係ストレス--などであることが確認された。ハン教授は「メダリストを含めて病的な不安を体験する選手が少なくなかった」とし「胸がドキドキする音が耳にまで聞こえてきて『朝起きたら筋肉が自分の筋肉のようではない』という感じを訴える場合があった」と話した。続いて「不安などの状態を自覚してコントロールする方法を教えて安定を取り戻したところ、状態が好転した」とし「選手が自発的に相談を要請する頻度も増えた」と付け加えた。
選手のこころのケアをするべきだという議論は国際スポーツ界ではいまや見慣れないテーマではない。2021年東京大会で「体操の伝説」シモーネ・バイルズ(27・米国)の棄権事態が導火線を引いた。当時バイルズは空中動作の時に不安で方向感覚を失う「ツイスティーズ(twisties)」症状を訴えて個人総合決選出場を断念した。五輪選手のメンタルヘルス問題が公論化される契機となった。その後、国際オリンピック委員会(IOC)は2022年北京冬季大会の時からメンタルヘルス関連の資格を保有した福祉責任者(Welfare Officer)を参加国代表団に含めるようにする方針を定めた。
大韓体育会も今大会で福祉責任者(ク・スリ心理相談士)をパリに派遣した。五輪を100日後に控えた5月からはスポーツ精神医学の権威者であるハン・ドクヒョン教授を招いて心理支援を行った。ハン教授は射撃・競泳・フェンシング男女サーブルなど国家代表選手と指導者50人余りを対象にトレーニングと実戦に適用できる心理コーチングを5週間実施した。選手の不安・憂鬱感など心理的困難を事前に診断して選手と指導者間の性格の違いから生じる誤解を解こうとの趣旨だったという。
だが、専門家は「国内選手のメンタルヘルス認識と支援体系は先が長い」と指摘する。取材陣が会った数十人の前・現職エリート選手と指導者は「メンタルヘルス問題を明らかにすると『メンタルに問題がある』と烙印を押されたり不利益を被ったりする現実は変わらない」と話した。
狭い人材プールも悩みの種だ。国家代表を支援するために適した能力と経歴を備えたスポーツ心理専門家は不足している。ハン・ドクヒョン教授がパリ五輪期間、夜昼を問わず画像アプリ「ズーム(zoom)」で遠隔相談を行ったこともこれと無関係ではない。米国と日本がパリにスポーツ心理専門家をそれぞれ14人、4人派遣したこととは対照的だ。
米国はバイルズの棄権事態以降、「メンタルヘルスタスクフォースチーム」を設けて体系的な対応に乗り出した。非五輪期間に心理相談専門家15人を配置して支援を続けた。昨年だけで1200人を越える米国代表選手が5500回以上心理治療と相談を受けた。日本はオンライン上のヘイト発言や嫌がらせから選手を守る業務を専門担当する専門家までパリに派遣した。
◇マイケル・フェルプス「うつ病を明らかにした時、金メダルより大きな力」
五輪スターが率先して「メンタル烙印」を最小化しようとする動きも活発だ。五輪最多金メダル(23個)を保有しているマイケル・フェルプス(39、米国)は選手時代「五輪の時期になるたびにうつ病と自殺衝動を体験した」と告白した。現在彼は自分の名を冠した財団を設立して精神的困難を経験している選手を支援している。フェルプスは「うつ病の公開を通じて五輪金メダル獲得のときよりも大きな力を得た」と話した。
ボストン大のエドソン・フィーリョ(Edson Filho)学教授(スポーツ・運動実行心理学科)は中央日報の電子メールインタビューで「正確な転換点を探すのは難しいが、米国ではエリート選手の精神的困難に関する公開的支持と証拠基盤のスポーツ心理学研究の発展が烙印を減らすのに役立った」とした。
国会文化体育観光委員会所属の姜議員は「アスリートたちの肉体的健康と同じくらいこころの健康が重要だという社会的認識がまだ不足している」とし「五輪以降もアスリートたちが競争的な環境の中で自身のメンタルヘルスをケアできる認識改善と政策支援が必要だ」と話した。
パリ五輪選手団の遠隔心理支援を引き受けた中央(チュンアン)大精神健康医学科のハン・ドクヒョン教授は「メンタルヘルス問題に対する先入観が相変わらずの現実を考慮すると、少なくない選手が助けを求めた」とし「困難があって自覚できなかったり隠したりする選手もいるので、表に出てきていない事例も相当あると思う」と説明した。
◇選手たち「競技前の不安・負担、選手・コーチ関係ストレス訴え」
今大会前後に選手たちが訴えた心理問題は主に(1)競技前の不安・負担感の訴え(2)選手・選手または、選手・指導者間の関係ストレス--などであることが確認された。ハン教授は「メダリストを含めて病的な不安を体験する選手が少なくなかった」とし「胸がドキドキする音が耳にまで聞こえてきて『朝起きたら筋肉が自分の筋肉のようではない』という感じを訴える場合があった」と話した。続いて「不安などの状態を自覚してコントロールする方法を教えて安定を取り戻したところ、状態が好転した」とし「選手が自発的に相談を要請する頻度も増えた」と付け加えた。
選手のこころのケアをするべきだという議論は国際スポーツ界ではいまや見慣れないテーマではない。2021年東京大会で「体操の伝説」シモーネ・バイルズ(27・米国)の棄権事態が導火線を引いた。当時バイルズは空中動作の時に不安で方向感覚を失う「ツイスティーズ(twisties)」症状を訴えて個人総合決選出場を断念した。五輪選手のメンタルヘルス問題が公論化される契機となった。その後、国際オリンピック委員会(IOC)は2022年北京冬季大会の時からメンタルヘルス関連の資格を保有した福祉責任者(Welfare Officer)を参加国代表団に含めるようにする方針を定めた。
大韓体育会も今大会で福祉責任者(ク・スリ心理相談士)をパリに派遣した。五輪を100日後に控えた5月からはスポーツ精神医学の権威者であるハン・ドクヒョン教授を招いて心理支援を行った。ハン教授は射撃・競泳・フェンシング男女サーブルなど国家代表選手と指導者50人余りを対象にトレーニングと実戦に適用できる心理コーチングを5週間実施した。選手の不安・憂鬱感など心理的困難を事前に診断して選手と指導者間の性格の違いから生じる誤解を解こうとの趣旨だったという。
だが、専門家は「国内選手のメンタルヘルス認識と支援体系は先が長い」と指摘する。取材陣が会った数十人の前・現職エリート選手と指導者は「メンタルヘルス問題を明らかにすると『メンタルに問題がある』と烙印を押されたり不利益を被ったりする現実は変わらない」と話した。
狭い人材プールも悩みの種だ。国家代表を支援するために適した能力と経歴を備えたスポーツ心理専門家は不足している。ハン・ドクヒョン教授がパリ五輪期間、夜昼を問わず画像アプリ「ズーム(zoom)」で遠隔相談を行ったこともこれと無関係ではない。米国と日本がパリにスポーツ心理専門家をそれぞれ14人、4人派遣したこととは対照的だ。
米国はバイルズの棄権事態以降、「メンタルヘルスタスクフォースチーム」を設けて体系的な対応に乗り出した。非五輪期間に心理相談専門家15人を配置して支援を続けた。昨年だけで1200人を越える米国代表選手が5500回以上心理治療と相談を受けた。日本はオンライン上のヘイト発言や嫌がらせから選手を守る業務を専門担当する専門家までパリに派遣した。
◇マイケル・フェルプス「うつ病を明らかにした時、金メダルより大きな力」
五輪スターが率先して「メンタル烙印」を最小化しようとする動きも活発だ。五輪最多金メダル(23個)を保有しているマイケル・フェルプス(39、米国)は選手時代「五輪の時期になるたびにうつ病と自殺衝動を体験した」と告白した。現在彼は自分の名を冠した財団を設立して精神的困難を経験している選手を支援している。フェルプスは「うつ病の公開を通じて五輪金メダル獲得のときよりも大きな力を得た」と話した。
ボストン大のエドソン・フィーリョ(Edson Filho)学教授(スポーツ・運動実行心理学科)は中央日報の電子メールインタビューで「正確な転換点を探すのは難しいが、米国ではエリート選手の精神的困難に関する公開的支持と証拠基盤のスポーツ心理学研究の発展が烙印を減らすのに役立った」とした。
国会文化体育観光委員会所属の姜議員は「アスリートたちの肉体的健康と同じくらいこころの健康が重要だという社会的認識がまだ不足している」とし「五輪以降もアスリートたちが競争的な環境の中で自身のメンタルヘルスをケアできる認識改善と政策支援が必要だ」と話した。
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