新型コロナウイルスのパンデミックが長期化し、初期に始まった恐怖感に疲労感が加わっている。問題はすでに4000万人以上の感染者と110万人を超える死亡者を招いたこの疫病の歩みがまだ前哨戦にすぎず、これから本格的な活動が展開されるという点だ。すでに欧州では今月に入り、各国で毎日1万人単位の新規患者が報告され、第2波が始まった。
前世紀にパンデミックを招いた呼吸器ウイルスはいずれも冬季の終盤にそっと出没し、春と夏に大陸に出回り北半球に秋がくると大規模流行を起こした。呼吸器ウイルスが生まれつき寒い天候を好む上に、冬には防疫当局が強調する3密(密閉・密集・密接)環境を避けにくいためだ。新型コロナウイルスも摂氏8.72度の時に感染力が最も強くなる。
◇感染者数にこだわる必要ない
韓国は1月20日に初めての患者が発生してから感染者数を1日100人以下で維持しようとする政府の防疫指針に国民が模範的に参加してきた。おかげで「K防疫」は世界的な名声を得た。ところがまた大きな山を超えなければならない状況がきた。
これまでK防疫の核心は患者・予備患者を追跡・検査し、治療・管理して日別感染者数に基づいて社会的距離確保段階を調節する方法だ。防疫が強化されれば感染者数は減るが、失業率上昇、青年の求職難、廃業、破産、マイナス成長など経済的影響も増え、心身の健康も害しやすい。
最も深刻な問題は成長期の子どもたちが同年代の子どもたちと過ごしながら身につける社会化過程が奪われる状況だ。低所得層の子どもは家に放置される危険も大きい。中高生が置かれた状況も似ている。西欧の先進国がコロナの感染拡大のリスクを甘受しながらも秋学期の登校を敢行した理由だ。在宅生活が長引けば家族内不和や暴力の危険性も大きくなる。果たして今後も1年以上これまでの防疫体系を守ることが正しいのか。特にいまはパンデミック初期とは違い新型ウイルスに対し多くのことがわかり、治療法も改善された状況だ。
新型コロナウイルス感染の最大の特徴は、高齢層は集中的に悪化させるが元気な子どもや青少年はほとんど無症状あるいは軽い風邪のように過ぎるという点だ。こうした現象は治療剤を服用するエイズ患者も同じだ。学生と青年の活動範囲を広げる必要性が台頭する理由だ。もちろん若い層の活動性が増えれば無症状感染者も増加する。したがって彼らから老弱者を保護する現実的対策も用意しなければならない。参考として、新型コロナウイルスのパンデミックが始まると高齢者人口が28%である超高齢社会の日本では死亡者が増加すると予想した。だがマスク着用などにより他の呼吸器疾患が減り、7月までの死亡者は前年比1万8000人減った。新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数に一喜一憂する必要はないわけだ。
新型コロナウイルスの治療方法も良くなった。一例として一般的な肺炎と違い免疫反応を乱して急速に肺炎を進行させる特徴のためステロイド治療に良い反応を見せる事例が多い。実際に治療法がよくわからなかった3月27日に感染が確認された56歳のジョンソン英首相は自宅隔離中に病状が悪化し、集中治療室での治療を受け4月12日に退院した。これに対し74歳で110キロ・190センチと肥満体のトランプ米大統領は入院当時には酸素飽和度が落ちるほどだったが迅速なステロイド治療のおかげで3日で退院し、2日後から業務に復帰するほど経過が良い。
より鼓舞的な話はマスクがウイルス遮断効果だけでなく少量付着したウイルスを通じて無症状感染の可能性を高めるという報告だ。先月ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表された内容だが、マスク着用で人痘接種のように一種の予防接種効果がみられるという意味だ。実際同じように孤立したクルーズ船で新型コロナウイルスが集団発病したが、マスクを使わなかったプリンセス・ダイヤモンド号の感染者は20%だけが無症状だったのに対し、搭乗者全員がマスクを着用したアルゼンチンのクルーズ船での感染者は81%が無症状だった。
◇ワクチン開発されても一部自然免疫は必要
新型コロナウイルスは人類と共存するだろう。したがって究極的には韓国で保護免疫(集団免疫)に必要な3000万人が免疫性を持たなければならない。いま開発されているワクチンが50%の効果を見せて発売されるならば、来年末までに国民3000万人が接種を受け1500万人は免疫を得るだろう。残りの1500万人は感染後自然免疫を得た人で満たされなければならない。1日の感染者100人を目標にした防疫では1年後に増加する自然免疫人口は4万人だけだ。
交通事故の危険を避けるためにむやみに車両通行を禁止できないように、無症状感染者が50%である感染症の防疫をパンデミック初期に使った方式で最後まで引っ張っていくのは大変だ。結局は若い層を通じて集団免疫を高める方法を導入しなければならないだろう。陣営論理で社会が二分化された状況で社会的合意を導出するのは容易でないが、国民の心身健康指数を高めるために早い時期に持続可能な新しいバージョンのK防疫が出てくることを期待してみる。
ファン・セヒ/国立中央医療院健康増進予防センター長
前世紀にパンデミックを招いた呼吸器ウイルスはいずれも冬季の終盤にそっと出没し、春と夏に大陸に出回り北半球に秋がくると大規模流行を起こした。呼吸器ウイルスが生まれつき寒い天候を好む上に、冬には防疫当局が強調する3密(密閉・密集・密接)環境を避けにくいためだ。新型コロナウイルスも摂氏8.72度の時に感染力が最も強くなる。
◇感染者数にこだわる必要ない
韓国は1月20日に初めての患者が発生してから感染者数を1日100人以下で維持しようとする政府の防疫指針に国民が模範的に参加してきた。おかげで「K防疫」は世界的な名声を得た。ところがまた大きな山を超えなければならない状況がきた。
これまでK防疫の核心は患者・予備患者を追跡・検査し、治療・管理して日別感染者数に基づいて社会的距離確保段階を調節する方法だ。防疫が強化されれば感染者数は減るが、失業率上昇、青年の求職難、廃業、破産、マイナス成長など経済的影響も増え、心身の健康も害しやすい。
最も深刻な問題は成長期の子どもたちが同年代の子どもたちと過ごしながら身につける社会化過程が奪われる状況だ。低所得層の子どもは家に放置される危険も大きい。中高生が置かれた状況も似ている。西欧の先進国がコロナの感染拡大のリスクを甘受しながらも秋学期の登校を敢行した理由だ。在宅生活が長引けば家族内不和や暴力の危険性も大きくなる。果たして今後も1年以上これまでの防疫体系を守ることが正しいのか。特にいまはパンデミック初期とは違い新型ウイルスに対し多くのことがわかり、治療法も改善された状況だ。
新型コロナウイルス感染の最大の特徴は、高齢層は集中的に悪化させるが元気な子どもや青少年はほとんど無症状あるいは軽い風邪のように過ぎるという点だ。こうした現象は治療剤を服用するエイズ患者も同じだ。学生と青年の活動範囲を広げる必要性が台頭する理由だ。もちろん若い層の活動性が増えれば無症状感染者も増加する。したがって彼らから老弱者を保護する現実的対策も用意しなければならない。参考として、新型コロナウイルスのパンデミックが始まると高齢者人口が28%である超高齢社会の日本では死亡者が増加すると予想した。だがマスク着用などにより他の呼吸器疾患が減り、7月までの死亡者は前年比1万8000人減った。新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数に一喜一憂する必要はないわけだ。
新型コロナウイルスの治療方法も良くなった。一例として一般的な肺炎と違い免疫反応を乱して急速に肺炎を進行させる特徴のためステロイド治療に良い反応を見せる事例が多い。実際に治療法がよくわからなかった3月27日に感染が確認された56歳のジョンソン英首相は自宅隔離中に病状が悪化し、集中治療室での治療を受け4月12日に退院した。これに対し74歳で110キロ・190センチと肥満体のトランプ米大統領は入院当時には酸素飽和度が落ちるほどだったが迅速なステロイド治療のおかげで3日で退院し、2日後から業務に復帰するほど経過が良い。
より鼓舞的な話はマスクがウイルス遮断効果だけでなく少量付着したウイルスを通じて無症状感染の可能性を高めるという報告だ。先月ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表された内容だが、マスク着用で人痘接種のように一種の予防接種効果がみられるという意味だ。実際同じように孤立したクルーズ船で新型コロナウイルスが集団発病したが、マスクを使わなかったプリンセス・ダイヤモンド号の感染者は20%だけが無症状だったのに対し、搭乗者全員がマスクを着用したアルゼンチンのクルーズ船での感染者は81%が無症状だった。
◇ワクチン開発されても一部自然免疫は必要
新型コロナウイルスは人類と共存するだろう。したがって究極的には韓国で保護免疫(集団免疫)に必要な3000万人が免疫性を持たなければならない。いま開発されているワクチンが50%の効果を見せて発売されるならば、来年末までに国民3000万人が接種を受け1500万人は免疫を得るだろう。残りの1500万人は感染後自然免疫を得た人で満たされなければならない。1日の感染者100人を目標にした防疫では1年後に増加する自然免疫人口は4万人だけだ。
交通事故の危険を避けるためにむやみに車両通行を禁止できないように、無症状感染者が50%である感染症の防疫をパンデミック初期に使った方式で最後まで引っ張っていくのは大変だ。結局は若い層を通じて集団免疫を高める方法を導入しなければならないだろう。陣営論理で社会が二分化された状況で社会的合意を導出するのは容易でないが、国民の心身健康指数を高めるために早い時期に持続可能な新しいバージョンのK防疫が出てくることを期待してみる。
ファン・セヒ/国立中央医療院健康増進予防センター長
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