「国の借金で恩恵を受ける現世代は今すぐマイナスになる点はない。実感もない。政界が国の資金をむやみに使いたくなる理由だ」(カン・ソンジン高麗大経済学科教授)
昨年基準で韓国の国家負債は1743兆6000億ウォン(約157兆円)にのぼる。中央・地方政府が返済すべき金額は728兆8000億ウォンだ。国民1人あたりの負債額は1409万ウォンとなる。国の財政が良好かどうかを表す管理財政収支も昨年54兆4000億ウォンの赤字だ。すべて過去最大だ。
警告灯がついているが、選挙を控えて財政健全性は考慮の対象でない。与野党ともに「全国民に緊急災難支援金を支援する」と主張している。財政を管理すべき企画財政部は反対の立場を明確にしたが、「緊急」という政界の声に埋もれてしまった。カン教授は「個人の立場では莫大な負債を実感しないため、票を獲得しなければいけない政界が未来を考慮せずにお金をむやみにばらまいている」と話した。
◆莫大な負債の代償は殺人的物価
しかし財政はただではない。家計・企業と同じく借金をすれば必ず告知書がくる。適正水準以上の借金をすれば大きな代償を支払わなければいけない。すぐに物価が上昇することもある。アン・チャンナム江南大経済税務学科教授は「政府が金融を緩和するために国債を発行すれば市中の流動性が増える」とし「適正水準以上に資金が供給されれば物価を刺激することになる。物価が上がれば苦痛を受けるのは生計が厳しい庶民層」と説明した。
極端なケースがベネズエラだ。負債が増えて財政がひっ迫すると借金(国債発行)をし、紙幣をむやみに刷った。結果は殺人的な物価上昇を意味する「ハイパーインフレーション」だ。ベネズエラ中央銀行によると、同国の物価上昇率は2018年が13万60%(1300倍)、昨年は9585.5%(959倍)だ。貨幣の価値が落ち、紙幣で紙カバンを作って売る商人も登場した。
◆国の借金返済のため増税も
国家債務が増えれば、自分が使えるお金も減る可能性が高い。負債の負担が大きくなれば、国は結局、国民に手を出す。増税が代表的な例だ。月給明細書に表示される所得税ではなく、たばこの価格、公共料金の引き上げなど間接的な方法で庶民の財布を狙うこともある。実際、国の負債規模が増えるほど、国民の租税負担は大きくなる傾向にある。2002年に21.3%だった国民負担率は2018年には26.8%に高まった。国民負担率とは一年間に国民が出す税金(国税+地方税)に社会保障寄与金(国民年金保険料・健康保険料・雇用保険料など)を加えた後、これを同年の国内総生産(GDP)で割った値だ。
◆国家の債務不履行もある
国家債務が雪だるま式に増えれば、政府が不渡りを出すこともある。国債に対する利子や元金を適時に償還できないケースだ。2010年代初期のギリシャやキプロスがこうした事例にあたる。国家が不渡りを出せば民生経済は破綻だ。逆に韓国が2008年の金融危機をうまく乗り越えることができたのは、通貨危機当時に生じた警戒心で財政と外貨保有額の管理を徹底していたからだ。今後、追加の危機が訪れる場合も同じだ。カン・ソンジン教授は「財政危機はがんと似ていて普段は症状がそれほど見えず、症状が表れれば致命的な結果をもたらす」とし「末期に発見されればどうすることもできないだけに、常に管理しておかなければいけない」と話した。
何よりも財政は国民経済が大きな打撃を受ける際、防波堤の役割をしなければいけない。それができない場合、崖っぷちに追い込まれた庶民を救うことができない。専門家が財政健全性を強調する理由だ。
仮にいま財政がひっ迫した状態なら、新型コロナに対する緊急対応資金が不足し、庶民の苦痛はさらに深刻になっているかもしれない。韓国経済研究院のホン・ソンイル経済政策チーム長は「財政が危機の中で庶民の生活を助けようとすれば、常に財政という防波堤を管理しておかなければいけない」とし「現在の韓国の財政状況は悪くないが、増える福祉費用などを考慮すれば増加ペースが速まるだけに、今から財政健全性を厳格に管理する必要がある」と強調した。
昨年基準で韓国の国家負債は1743兆6000億ウォン(約157兆円)にのぼる。中央・地方政府が返済すべき金額は728兆8000億ウォンだ。国民1人あたりの負債額は1409万ウォンとなる。国の財政が良好かどうかを表す管理財政収支も昨年54兆4000億ウォンの赤字だ。すべて過去最大だ。
警告灯がついているが、選挙を控えて財政健全性は考慮の対象でない。与野党ともに「全国民に緊急災難支援金を支援する」と主張している。財政を管理すべき企画財政部は反対の立場を明確にしたが、「緊急」という政界の声に埋もれてしまった。カン教授は「個人の立場では莫大な負債を実感しないため、票を獲得しなければいけない政界が未来を考慮せずにお金をむやみにばらまいている」と話した。
◆莫大な負債の代償は殺人的物価
しかし財政はただではない。家計・企業と同じく借金をすれば必ず告知書がくる。適正水準以上の借金をすれば大きな代償を支払わなければいけない。すぐに物価が上昇することもある。アン・チャンナム江南大経済税務学科教授は「政府が金融を緩和するために国債を発行すれば市中の流動性が増える」とし「適正水準以上に資金が供給されれば物価を刺激することになる。物価が上がれば苦痛を受けるのは生計が厳しい庶民層」と説明した。
極端なケースがベネズエラだ。負債が増えて財政がひっ迫すると借金(国債発行)をし、紙幣をむやみに刷った。結果は殺人的な物価上昇を意味する「ハイパーインフレーション」だ。ベネズエラ中央銀行によると、同国の物価上昇率は2018年が13万60%(1300倍)、昨年は9585.5%(959倍)だ。貨幣の価値が落ち、紙幣で紙カバンを作って売る商人も登場した。
◆国の借金返済のため増税も
国家債務が増えれば、自分が使えるお金も減る可能性が高い。負債の負担が大きくなれば、国は結局、国民に手を出す。増税が代表的な例だ。月給明細書に表示される所得税ではなく、たばこの価格、公共料金の引き上げなど間接的な方法で庶民の財布を狙うこともある。実際、国の負債規模が増えるほど、国民の租税負担は大きくなる傾向にある。2002年に21.3%だった国民負担率は2018年には26.8%に高まった。国民負担率とは一年間に国民が出す税金(国税+地方税)に社会保障寄与金(国民年金保険料・健康保険料・雇用保険料など)を加えた後、これを同年の国内総生産(GDP)で割った値だ。
◆国家の債務不履行もある
国家債務が雪だるま式に増えれば、政府が不渡りを出すこともある。国債に対する利子や元金を適時に償還できないケースだ。2010年代初期のギリシャやキプロスがこうした事例にあたる。国家が不渡りを出せば民生経済は破綻だ。逆に韓国が2008年の金融危機をうまく乗り越えることができたのは、通貨危機当時に生じた警戒心で財政と外貨保有額の管理を徹底していたからだ。今後、追加の危機が訪れる場合も同じだ。カン・ソンジン教授は「財政危機はがんと似ていて普段は症状がそれほど見えず、症状が表れれば致命的な結果をもたらす」とし「末期に発見されればどうすることもできないだけに、常に管理しておかなければいけない」と話した。
何よりも財政は国民経済が大きな打撃を受ける際、防波堤の役割をしなければいけない。それができない場合、崖っぷちに追い込まれた庶民を救うことができない。専門家が財政健全性を強調する理由だ。
仮にいま財政がひっ迫した状態なら、新型コロナに対する緊急対応資金が不足し、庶民の苦痛はさらに深刻になっているかもしれない。韓国経済研究院のホン・ソンイル経済政策チーム長は「財政が危機の中で庶民の生活を助けようとすれば、常に財政という防波堤を管理しておかなければいけない」とし「現在の韓国の財政状況は悪くないが、増える福祉費用などを考慮すれば増加ペースが速まるだけに、今から財政健全性を厳格に管理する必要がある」と強調した。
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