――マイノリティの象徴になったという話があるが。
「防弾少年団が代弁するのがマイノリティ性、あるいはアンダードッグ(underdog)性だ。新自由主義は世界の人口の99%を自分のアンダードッグと思わせる側面があるのではないか。防弾少年団はアンダードッグ中のアンダードッグとして出発した。K-POPの中でもとても低いところから出発した。そんなアンダードッグの限界を克服していった過程への応援が大きい。2018年の初めにグラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーのツイッターで『自分の人生に最も影響を及ぼしたアルバム』を尋ねたところ誰かがBTSを書いたが『本物の音楽を述べろ』という嘲笑が溢れた。その時、世界のARMYが押し寄せて防弾少年団が自分の人生にどのような影響を与えたのか数万件のコメントをつけた。『うつ病だったが自殺を考えをないように助けてくれた』『首を吊る直前にBTSを見て泣いた』。このような書き込みが多かった。底から上がってきた防弾少年団の成長史、『今そのままでも大丈夫』という音楽のメッセージに共感し、慰められたということだ。『米国はもはや人種差別なく防弾少年団を認めることが多様性を実践する道』という書き込みも多かった。この『グラミーの乱』の後、勝気なグラミー賞が防弾少年団を受け入れるようになった」
――ファンがプロモーターの役割をした。
「ファンが新曲が出たら24時間眠らずにYouTubeを見る。2018年の『IDOL』の時に24時間で再生回数4500万回を記録したためCNNが報じたからだ。ARMYが記録を作れば、かつては相手もしてくれなかったどこかに通用することがあることをファンが確認したのだ。2017年にビルボードのトップソーシャルアーティスト投票で防弾少年団がジャスティン・ビーバーと競ってなんと3億票を得たのもこのような動力である」
――ARMYのファンダムの構造は。
「すべてのファンと疎通する会社(ビッグヒット)のスタッフのファンマネージャーはいるが、ファンの代表的な会長はいない。もちろん投票やファンイベントなどのイベントをする場合にリーダーシップを取る組織はあるが『督励アカ(アカウント)』と呼ばれる自発的ツイッターアカウントだ。これも伝達者の役割のみ果たし、代表性は認められない。匿名のオンラインファンダムで民主主義を展開しようとする潔癖性が大きいと言おうか。西欧アーティストのファンダムはアルバム発売日、販売枚数などを知らせる情報型アカウントが大半だがARMYのファンダムは『督励アカ』以外にもあらゆるものがある。ブッククラブのアカウント、全世界心理カウンセラー・心理学徒のARMYが集まった心理相談アカウント、ARMY間の文化の違いや多様性を説明してくれるカルチャーアカウント。常時慈善活動するアカウントまで。『翻訳アカ』と呼ばれるファン翻訳のアカウントもある。在外韓国人・留学生20人余りが無報酬で運営する歌詞・インタビュー、防弾少年団が生産するすべてのコンテンツをほぼリアルタイムで翻訳する。文化的背景を脚注として付けたりもする」
――K-POPのファンダムとの違いは何か。
「誰かを好きで、それが自分の人生に活力を与えることが一般的なファンダムの特徴ならば、K-POPのファンダムは熱狂的な支持とサポートをする行為的特性を持つ。ARMYのファンダムは加えて誰かを好きになり、その人から受けた良い影響力を他人と世界に積極的に使おうとすることにある。このようにファンダムの人口構成が多様になることが防弾少年団の音楽に影響を与えることもある。防弾少年団とARMYが影響を与えて合い、相互のアイデンティティを作っていく形だ」
――ファンダムが大きくなり生じる問題はないか。
「時折、韓国のARMYと海外ARMY間の文化的な対立がある。活動軸が海外に置かれると生じる韓国ファンダムの疎外感もある。しかし、防弾少年団が西欧のメディアから人種差別を受けたり議論に巻き込まれた時に出動するのもARMYだ。K-POPが『ゲイ・ポップ』と呼ばれることもあるように男が化粧したらゲイだという攻撃も受けることも多い。興味深いのはこのような防弾少年団の男性性が却って西欧の知識人らをファンダムに引き込むという点だ。化粧が問題なのではなく、自身の弱さ、不安を忌憚なく表に出し『男はこうあるべき』という通念を破る代案的男性性と見るのだ」
――ARMYファンダムの本当の力は何だろうか。
「実は防弾少年団のファンダムの内部でもとんでもないことが起こる。ただし、自浄能力がとても優れている。自分がつらく、自分が最も必要とするときに防弾少年団に出会ったから、ふさわしいファンであるべきだというファンダム・メンタリティのためだ。防弾少年団がARMYという新しい受容者集団を作り、そんなARMYが防弾少年団を成熟させている。防弾少年団現象の本質はARMYだと思う理由だ」
ヤン・ソンヒ/論説委員
「BTS現象の本質はARMY、類例のないファンダム自体」(1)
「防弾少年団が代弁するのがマイノリティ性、あるいはアンダードッグ(underdog)性だ。新自由主義は世界の人口の99%を自分のアンダードッグと思わせる側面があるのではないか。防弾少年団はアンダードッグ中のアンダードッグとして出発した。K-POPの中でもとても低いところから出発した。そんなアンダードッグの限界を克服していった過程への応援が大きい。2018年の初めにグラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーのツイッターで『自分の人生に最も影響を及ぼしたアルバム』を尋ねたところ誰かがBTSを書いたが『本物の音楽を述べろ』という嘲笑が溢れた。その時、世界のARMYが押し寄せて防弾少年団が自分の人生にどのような影響を与えたのか数万件のコメントをつけた。『うつ病だったが自殺を考えをないように助けてくれた』『首を吊る直前にBTSを見て泣いた』。このような書き込みが多かった。底から上がってきた防弾少年団の成長史、『今そのままでも大丈夫』という音楽のメッセージに共感し、慰められたということだ。『米国はもはや人種差別なく防弾少年団を認めることが多様性を実践する道』という書き込みも多かった。この『グラミーの乱』の後、勝気なグラミー賞が防弾少年団を受け入れるようになった」
――ファンがプロモーターの役割をした。
「ファンが新曲が出たら24時間眠らずにYouTubeを見る。2018年の『IDOL』の時に24時間で再生回数4500万回を記録したためCNNが報じたからだ。ARMYが記録を作れば、かつては相手もしてくれなかったどこかに通用することがあることをファンが確認したのだ。2017年にビルボードのトップソーシャルアーティスト投票で防弾少年団がジャスティン・ビーバーと競ってなんと3億票を得たのもこのような動力である」
――ARMYのファンダムの構造は。
「すべてのファンと疎通する会社(ビッグヒット)のスタッフのファンマネージャーはいるが、ファンの代表的な会長はいない。もちろん投票やファンイベントなどのイベントをする場合にリーダーシップを取る組織はあるが『督励アカ(アカウント)』と呼ばれる自発的ツイッターアカウントだ。これも伝達者の役割のみ果たし、代表性は認められない。匿名のオンラインファンダムで民主主義を展開しようとする潔癖性が大きいと言おうか。西欧アーティストのファンダムはアルバム発売日、販売枚数などを知らせる情報型アカウントが大半だがARMYのファンダムは『督励アカ』以外にもあらゆるものがある。ブッククラブのアカウント、全世界心理カウンセラー・心理学徒のARMYが集まった心理相談アカウント、ARMY間の文化の違いや多様性を説明してくれるカルチャーアカウント。常時慈善活動するアカウントまで。『翻訳アカ』と呼ばれるファン翻訳のアカウントもある。在外韓国人・留学生20人余りが無報酬で運営する歌詞・インタビュー、防弾少年団が生産するすべてのコンテンツをほぼリアルタイムで翻訳する。文化的背景を脚注として付けたりもする」
――K-POPのファンダムとの違いは何か。
「誰かを好きで、それが自分の人生に活力を与えることが一般的なファンダムの特徴ならば、K-POPのファンダムは熱狂的な支持とサポートをする行為的特性を持つ。ARMYのファンダムは加えて誰かを好きになり、その人から受けた良い影響力を他人と世界に積極的に使おうとすることにある。このようにファンダムの人口構成が多様になることが防弾少年団の音楽に影響を与えることもある。防弾少年団とARMYが影響を与えて合い、相互のアイデンティティを作っていく形だ」
――ファンダムが大きくなり生じる問題はないか。
「時折、韓国のARMYと海外ARMY間の文化的な対立がある。活動軸が海外に置かれると生じる韓国ファンダムの疎外感もある。しかし、防弾少年団が西欧のメディアから人種差別を受けたり議論に巻き込まれた時に出動するのもARMYだ。K-POPが『ゲイ・ポップ』と呼ばれることもあるように男が化粧したらゲイだという攻撃も受けることも多い。興味深いのはこのような防弾少年団の男性性が却って西欧の知識人らをファンダムに引き込むという点だ。化粧が問題なのではなく、自身の弱さ、不安を忌憚なく表に出し『男はこうあるべき』という通念を破る代案的男性性と見るのだ」
――ARMYファンダムの本当の力は何だろうか。
「実は防弾少年団のファンダムの内部でもとんでもないことが起こる。ただし、自浄能力がとても優れている。自分がつらく、自分が最も必要とするときに防弾少年団に出会ったから、ふさわしいファンであるべきだというファンダム・メンタリティのためだ。防弾少年団がARMYという新しい受容者集団を作り、そんなARMYが防弾少年団を成熟させている。防弾少年団現象の本質はARMYだと思う理由だ」
ヤン・ソンヒ/論説委員
「BTS現象の本質はARMY、類例のないファンダム自体」(1)
この記事を読んで…