相撲競技場には座布団の代わりに椅子、トランプトロフィーも準備。「スカイツリー」には星条旗カラーのライトアップ、ゴルフ場には思い出の最高プロゴルファー。令和初の国賓として２５～２８日に日本を訪問するドナルド・トランプ米国大統領のために、安倍晋三首相と日本政府が最高の「おもてなし」（真心を込めた日本式接待）の準備を進めていると２１日、日本経済新聞が報じた。同紙は「（安倍首相は）唯一の同盟国である米国の大統領を、元号が令和に変わって初めての国賓として迎え、強固な日米関係を国際社会に訴える絶好の機会ととらえる」と表現した。

２５日に東京に到着するトランプ大統領は、２６日に安倍首相とゴルフのラウンドをした後、都内の両国国技館に移動して大相撲の取り組みを一緒に観戦する。２６日は現在進行中の夏場所の優勝者が決まる日だ。両首脳は土俵の近くに位置する「升席」という席で取り組みを観戦する。ＶＩＰ席ではなくあえてこの升席を選んだのは、相撲選手の激しい息づかいや取り組みの躍動感をもっと近くで感じてもらおうと配慮したからだという。通常は床に座布団を敷いてその上に座るが、慣れないトランプ大統領のために座布団ではなく椅子が用意される予定だと同紙は伝えた。

観戦が終わった後、トランプ大統領は優勝者に米政府特注の「日米友好親善の杯」トランプトロフィーを贈呈することになっている。日本相撲界の要人は電話取材に対して「トランプ大統領とどのようなイベントをするべきかについて、相撲協会と首相官邸は１カ月余前から深く考えてきた」と話した。


両首脳のゴルフのラウンドには日本を代表するプロゴルファーの青木功氏（７６）が同行することが検討されているという。日経は「トランプ氏と首相のこれまでのゴルフ談議で、青木氏が１９８０年の全米オープンで米国のジャック・ニクラウス氏と死闘を演じたことが話題になったため」と説明した。ゴルフのパートナー選びにまでトランプ大統領の好みを細かく反映しているという意味だ。

２７日には徳仁天皇とトランプ大統領との記者会見、日米首脳会談、天皇が主催する宮中晩さん会などが予定されている。訪日最終日の２８日には、トランプ大統領と安倍首相が海上自衛隊の「いずも」級護衛艦に乗艦する。同紙は「日本政府はいずも型の『いずも』と『かが』２隻を順次、事実上の空母に改修し、米国の最新鋭ステルス戦闘機Ｆ３５Ｂを艦載する計画」としながら「対日貿易赤字に不満を示すトランプ氏にＦ３５Ｂの米国からの購入方針を訴える思惑も透ける」と解釈した。

トランプ大統領が滞在する３泊４日間、都内全体が「トランプモード」に突入する。ランドマークである高さ６３４メートルの電波塔「東京スカイツリー」は星条旗を象徴する青、赤、白でライトアップされる中、都内にはものものしい厳戒態勢が敷かれる。日経によると、テロに対処するためのＥＲＴ（緊急時初動対応部隊）が配置され、不審なドローンなどに対応するための専門部隊も投入される。

安倍首相が準備する騒々しい「おもてなし」には国内政治的な思惑も隠れているという分析だ。安倍首相は「政権巡航の分岐点」とされる７月参議院選挙を控えている。選挙を控え、トランプ大統領の訪日を通じて有権者に「安倍でなければ誰が日米同盟をここまで強固にすることができようか」というメッセージを強く印象づけたい考えだ。