2番目の疑問は「韓国の現行の福祉支出規模が果たして少ないのか」だ。昨年のGDP比の福祉支出規模はOECD平均が21.5%なのに対し韓国は11.1%にすぎない。しかしここにも留意すべき重要なポイントがある。OECD先進国はすでに1950年代から人口高齢化を体験し、福祉国家の経験は韓国より2~3世代先を行く。したがって韓国はOECD加盟国の現在の状況よりは以前の経験と統計を比較するのがはるかに重要だ。昨年現在の韓国の高齢者扶養率(経済活動人口比の高齢者の割合)は19.6%だが、OECD加盟国がこの割合に到達した時期に福祉支出の割合がどれだけだったかを調べる必要がある。スイスは1980年、日本は1993年、ギリシャは1980年、ポルトガルは1989年と、いずれも1980~90年代初めに19.6%に到達した。
福祉支出に対してはこのように時間の流れに伴った変化が重要だ。福祉政策を策定する時はOECD加盟国の過去だけでなく韓国の未来の見通しも必ず考慮しなくてはならない理由だ。韓国は人口高齢化が急速に進み、2060年には高齢者扶養率が82.6%まで上昇し、どの国も経験したことのない割合に進入する。これに伴い福祉支出規模は2060年には27.8%まで急激に増加する。新たな福祉政策をこれ以上導入せず人口構造変化だけを反映しても、福祉支出比率は2060年にスウェーデンなど北欧諸国のように世界最高水準に到達するという意味だ。国会予算政策処は必然的に2060年の政府債務比率を200%水準に増加させるだろうと予想した。
3つ目の疑問、「韓国は政府と公共部門を積極的に拡大すべきか」を考えてみよう。昨年韓国のGDP比の政府規模は33.3%にすぎずOECD平均値42.8%より約10ポイント小さいと評価される。韓国の政府規模が小さい理由は福祉支出の規模が小さいためだ。もし政府規模から福祉支出を除くならば、昨年韓国は22.2%でOECD平均の21.4%より0.8ポイント高い。福祉財政を除くと政府規模は日本の17.0%、オーストラリアの18.5%、ドイツの18.8%、米国の19.1%、英国の19.4%よりも大きい。しかもどの国より巨大な公企業の比率を考慮すると政府規模ははるかに大きくなる。
これまでわれわれはOECD統計を単純比較して3種類の疑問を分析した。複雑な学術分析はさらに複雑な議論を呼び起こすだろうが、単純な分析のこうした結論から大きく抜け出しにくい。いまわれわれは国家財政の真実を直視すべきだ。この3種類の疑問を中心に関連資料と統計をすべて公論の場にのせなければならない。
国家財政に対する診断は韓国の未来運命を左右するため陣営を問わずわれわれ全員が共同の認識を持たなければならない。財政危機を賢く克服したOECD加盟国の長い間の経験から見る時、国民の信頼を得られる政治中立的公論の場は財政健全性の維持に極めて重要だ。本当に政治理念の有不利を問い詰める時ではない。
【コラム】韓国、福祉支出増やさなくてもすぐ先進国水準に行く(1)
福祉支出に対してはこのように時間の流れに伴った変化が重要だ。福祉政策を策定する時はOECD加盟国の過去だけでなく韓国の未来の見通しも必ず考慮しなくてはならない理由だ。韓国は人口高齢化が急速に進み、2060年には高齢者扶養率が82.6%まで上昇し、どの国も経験したことのない割合に進入する。これに伴い福祉支出規模は2060年には27.8%まで急激に増加する。新たな福祉政策をこれ以上導入せず人口構造変化だけを反映しても、福祉支出比率は2060年にスウェーデンなど北欧諸国のように世界最高水準に到達するという意味だ。国会予算政策処は必然的に2060年の政府債務比率を200%水準に増加させるだろうと予想した。
3つ目の疑問、「韓国は政府と公共部門を積極的に拡大すべきか」を考えてみよう。昨年韓国のGDP比の政府規模は33.3%にすぎずOECD平均値42.8%より約10ポイント小さいと評価される。韓国の政府規模が小さい理由は福祉支出の規模が小さいためだ。もし政府規模から福祉支出を除くならば、昨年韓国は22.2%でOECD平均の21.4%より0.8ポイント高い。福祉財政を除くと政府規模は日本の17.0%、オーストラリアの18.5%、ドイツの18.8%、米国の19.1%、英国の19.4%よりも大きい。しかもどの国より巨大な公企業の比率を考慮すると政府規模ははるかに大きくなる。
これまでわれわれはOECD統計を単純比較して3種類の疑問を分析した。複雑な学術分析はさらに複雑な議論を呼び起こすだろうが、単純な分析のこうした結論から大きく抜け出しにくい。いまわれわれは国家財政の真実を直視すべきだ。この3種類の疑問を中心に関連資料と統計をすべて公論の場にのせなければならない。
国家財政に対する診断は韓国の未来運命を左右するため陣営を問わずわれわれ全員が共同の認識を持たなければならない。財政危機を賢く克服したOECD加盟国の長い間の経験から見る時、国民の信頼を得られる政治中立的公論の場は財政健全性の維持に極めて重要だ。本当に政治理念の有不利を問い詰める時ではない。
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