南シナ海でフィリピン海軍と中国海警局が衝突し、緊張が高まっている。写真は昨年10月、中国海警局の船(右)が南シナ海でフィリピンが実効支配するティトゥ島付近にあるフィリピン艦艇「BRPダトゥ・パグブアヤ」に放水している様子。AP=聯合ニュース
今回の衝突は、両国外相による2年ぶりの会談を目前に控えた時期に起きたもので、大きな外交的波紋を呼ぶとみられる。
20日(現地時間)、フィリピン軍によると、南シナ海・スプラトリー諸島のセカンド・トーマス礁(中国名・仁愛礁、フィリピン名・アユンギン礁)付近で、中国海警局のモーターボートがフィリピン海軍艦艇「BRシエラ・マドレ」周辺に不法接近し、撮影を試みた。
フィリピン海軍のゴムボート2隻が接近して退去を求めたところ、中国海警局の隊員8人が木製のこん棒などでフィリピン兵の頭部を殴打して負傷させ、ゴムボートも損壊させた。
フィリピン国防省は、中国側隊員が長い棒を振り回す様子を収めた25秒間の映像と負傷した兵士の写真を公開し、「挑発的かつ敵対的な暴力行為だ」と強く糾弾した。
これに対し、中国側はフィリピンが事実を歪曲(わいきょく)していると反論した。中国国営メディアと新華社通信は、「定例巡視中にフィリピン側の船舶が危険な形で接近し、オールや長い棒で中国の法執行要員を先に悪意を持って攻撃した」と主張した。
さらに、「フィリピンは映像の前後を編集して虚偽の宣伝を行っている」とした上で、「当該海域での法執行活動を引き続き実施する」と対抗姿勢を示した。
事件が起きたセカンド・トーマス礁は、フィリピンが1999年に老朽化した揚陸艦「シエラ・マドレ」を意図的に座礁させ、その後約10人の海兵隊員を常駐させて実効支配を続けてきた場所だ。
中国はこれまで、フィリピンによる食料や資材の補給任務を放水などで妨害し、たびたび摩擦を起こしてきた。2024年6月にも衝突の過程でフィリピン兵の指が切断される重傷事故が発生している。
今回の事件は、21日からフィリピン・マニラで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の期間中に予定されている、中国の王毅外相とフィリピンのテレサ・ラザロ外相との会談を目前に控えて発生した。
両国外相の会談は2024年7月以来2年ぶりとなることから、今回のASEAN外相会議でも南シナ海の領有権問題と今回の暴行事件が最大の議題となる見通しだ。
この記事を読んで…