10月19日(現地時間)、盗難事件が発生したフランス・パリのルーブル美術館に、鑑識チームが到着し現場を確認している。[ロイター=聯合ニュース]
10月19日(現地時間)、フランス・パリのルーブル美術館で盗難に遭ったフランス王室の宝石が、闇市場に売りに出される可能性について、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が分析した。
宝石を含む盗難美術品が取引される国際的な闇市場の規模は、毎年数十億ドルに達すると推定される。闇市場の形成地は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、インド・デリーのダイヤモンド加工所から、米国ニューヨーク、ベルギー・アントワープ、イスラエル・テルアビブの宝石商まで、その範囲は世界各地に及ぶ。
窃盗犯が盗んだ宝石で一攫千金を得る可能性は低い。WSJは、美術品犯罪の捜査経験がある関係者の話として、「闇市場では宝石の本来の市場価格の10%以上を得るのは難しいだろう」と伝えた。不法に取得した品であるため、秘密を守るために犯罪事実を知る人々と利益を分け合わなければならないという構造的な限界があるからだ。
それにもかかわらず、窃盗犯が宝石を狙ったのは、闇市場で取引しやすいという宝石の特性によるものだという。最近製作された宝石にはシリアル番号が刻まれているが、古い宝石には特別な識別表示がないため、流通しやすい。小さいダイヤモンドは加工工程を省略することもできる。こうした理由から、宝石が付いた貴金属は一度解体されると取り戻すのが難しい。
宝石には国際的なデータベースが存在しないことも、闇市場での取引を容易にしている要因だ。美術品は「盗難美術品登録簿(Art Loss Register)」のような国際的データベースに記録されるため売却が難しい美術品と対照的だ。
結局、専門家の間では何よりも窃盗犯に対する処罰の強化が実効的な対策として取り上げられている。美術品回収会社「アート・リカバリー・インターナショナル(Art Recovery International)」の設立者クリストファー・マリネロ氏はWSJに対し、「文化遺産の窃盗を『文化テロリズム』と見なし、処罰を強化すれば状況が変わる可能性がある」と述べた。
こうした中、王室の宝飾品窃盗事件はフランス大統領の責任論を呼び起こしている。極右政党・国民連合(RN)のジョルダン・バルデラ代表はX(旧ツイッター)に「ルーブルはわれわれの文化を象徴する世界的存在であり、今回の事件はわが国に対する耐え難い侮辱だ。国家の腐敗はいったいどこまで進んだのか」と投稿し、エマニュエル・マクロン大統領を批判した。同党所属のジャン=フィリップ・タンギー議員も「フランスが犯罪に寛大なのが今回の窃盗事件の理由だ」と述べ、マクロン政府の刑事政策を非難した。ただし、社会党(PS)所属のフランソワ・オランド前大統領は「論争を助長してはならない」として自制を求めた。
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