7月22日に中国四川省江油市で発生した10代少女いじめ事件の不公平処理に不満を抱いたデモ隊が、8月4日、政府庁舎前の道路で警察と対峙している。[YouTube キャプチャー]
4日夜、中国四川省北部の江油市政府庁舎前。通りを埋め尽くした市民たちが口々にスローガンを叫んだ。警察は道路を封鎖し、バリケードを設置したが、怒りに満ちた市民を阻止するには力不足だった。市民たちは中国の国歌『義勇軍行進曲』を歌った。「立ち上がれ、奴隷になることを望まぬ人々よ!」 市民は「犯人を厳罰に処せ!」と怒りの声を張り上げた。
唐代の詩人・李白の故郷として知られる江油市で大規模な抗議デモが起きたきっかけは、たった3分の動画だった。一人の少女が江油市の廃工事現場で、下着と短パン姿のまま同年代の少女たち数人から殴る蹴るの暴行を受けている映像だった。
集団いじめを受けていた被害少女が「家族が警察にきっと通報する」と叫ぶと、加害者は「私たちが怖がると思ってるの? 前にも行ったことがある」と言い「10回以上行ったけど、20分もしないうちに(警察署を)出ることができた」と言って笑った。暴行は4時間以上続いたという。被害生徒の親族は、この事件が7月22日に起きたもので、被害少女はすでに長期間、学校でいじめや仲間外れに苦しんでいたと明らかにした。
◇世論に火をつけた警察の「軽傷」発表
現地メディアによると、事件発生当日の7月22日、被害生徒の両親は警察に通報すると同時に学校にも解決を求めた。しかし、加害者が呼び出されたのは8月2日で、警察が通報を正式に受理したのは4日だった。現地住民は「処罰を受ける間も更生教育を受けず、学校の外でビリヤードをしていた加害者を捕まえた」と主張した。このため、加害生徒の家庭背景に関する憶測が世論に飛び交った。
警察は事件から14日後の4日にようやく捜査結果を発表した。しかし江油市公安局は「すべての容疑者が処罰を受けた」とし「暴行を受けた(被害生徒の)頼さんは頭皮や両膝など複数カ所に打撲を負ったが、診断の結果、軽傷と確認された」と説明して、事態を実際よりも小さく見せようとする姿勢を見せたため、すでに映像を見ていた市民の怒りが爆発した。
市民は、警察発表が「加害生徒の暴行行為を過小評価している」とし、迅速かつ公正な処理を求めた。インターネットメディア「澎湃」は、加害者が被害生徒の携帯電話を売却した行為を「強盗事件」ではなく「騒乱挑発」罪に分類し、刑事責任を免れたと指摘した。
被害生徒の両親が障害者であることも伝わり、世論はさらに悪化した。聴覚障害を持つ母親と文盲の父親が当局者の足にすがり、ひざまずいて頭を下げる場面に、市民は「沈黙は容認であり、無関心は傷口に塩を塗ることだ」と怒りをあらわにした。
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