トランプ米大統領(左)とイスラエルのネタニヤフ首相。[写真 EPA=聯合ニュース]
米メディアのアクシオスはイスラエルのネタニヤフ首相の最近の動きをめぐるホワイトハウス内の不満の声をこのように伝えた。ガザ地区空爆、シリア内紛介入などにネタニヤフ首相の過激なアプローチ方式が統制不能状態というものだ。
アクシオスは20日、ホワイトハウス関係者6人の話として「ネタニヤフ首相が時に言うことを聞かない子どものように行動する」としてトランプ政権の懸念が相当にあると報道した。アクシオスによると、こうした雰囲気はイスラエルによるシリア・ダマスカスの大統領宮空爆後に本格化した。ネタニヤフ首相が過度に衝動的で破壊的なためトランプ米大統領の外交政策全般に悪影響を及ぼす恐れがあるという認識だ。
これはイスラエルがシリアのスワイダーでの衝突への介入局面で始まった。シーア派のドゥルーズ派とスンニ派のベドウィンの間で起きた衝突にイスラエルが親イスラエルであるドゥルーズ保護を名分として15日にスワイダーのシリア軍を攻撃した。トランプ大統領のシリア特使であるトム・バラック駐トルコ米国大使はすぐイスラエルに外交的解決に向けた自制を求め、イスラエルは同意した。
だが攻勢を少し遅らせただけでイスラエルはシリア大統領宮と南部の政府軍を標的に攻撃した。スワイダーでの流血事態はさらに拡大した。シリア人権監視団(SOHR)は今回の事態で発生した死亡者を1120人と集計した。アクシオスは「ホワイトハウス関係者は『先週イスラエルがホワイトハウス内に貯め込んだ否定的評判が彼らには全く伝わっていないようだ。イスラエルは気付かなくてはならない』と話した」と明らかにした。
ガザ地区の教会砲撃もトランプ政権内の不満をあおっている。イスラエルが17日にガザ地区唯一のカトリック聖堂を空爆し3人が死亡した。トランプ大統領はこれを受けネタニヤフ首相に直接電話をかけ「毎日何か新しいことが起きている。どういうことなのか」と説明を要求した。アクシオスは「ネタニヤフの幸運とトランプの好意は近くすっかりなくなるかもしれない」という警告がホワイトハウス関係者らから出てきたと伝えた。
それでもネタニヤフ首相の積極的軍事作戦は止まる兆しを見せていない。イスラエル軍は20日にガザ地区中部デイルアルバラ地域の住民と避難民に南部海岸のアルマワシ地域にただちに退避するよう命令を下した。
イスラエル軍がこの地域に退避令を出したのは2023年10月の戦争勃発後で初めてだ。ガザ地区に地上戦を拡大するというシグナルを明確にした形だ。イスラエル軍報道官は同日交流サイト(SNS)を通じ「イスラエル軍は敵のテロインフラを破壊するために強力な軍事作戦を継続しており、これまで作戦を遂行していなかった地域にも活動を拡張している」と強調した。
イスラエルの戦線拡大に犠牲者数も増えている。ロイターなど外信は20日、イスラエル軍がこの日ガザ地区で救護品を待った住民らに発砲して93人が死亡し数十人が負傷したと報道した。世界食糧計画(WFP)は同日の声明で「食料救護品を積んだWFPの車25台がガザ地区に進入したのに続き、飢えた大規模な民間人群衆と衝突し、その後銃撃が行われた。民間人が人道主義的支援を受けるに当たりどのような形の暴力も容認できない」とイスラエル軍を批判した。これに対しイスラエル軍は「即刻脅威を除去しようとする目的で警告射撃をした。われわれは人道的トラックを意図的に狙わない。犠牲者数が誇張されたかも知れない」と反論した。
ネタニヤフ首相は「外治」だけでなく「内政」でも際どい歩みを継続している。連立政権が少数与党政権に転落した状況で政治生命を左右するまた別の変数であるわいろ事件裁判はひとまず時間を稼いだ。彼は富豪から26万ドル相当のぜいたく品をわいろとして受け取った容疑で2019年から裁判を受けている。
タイムズ・オブ・イスラエルは20日の報道で「ネタニヤフ首相が食中毒の症状で今後3日間在宅勤務に入り、21日と22日に予定されたわいろ事件の裁判が延期された」と伝えた。イスラエル検察はネタニヤフ首相が予定日に出席が困難ならば期日を23日と24日に先送りしてほしいと裁判所に要請したが、裁判所は日程上週内の延期は難しいとして期日を取り消し今後決めることにした。イスラエルの裁判所が今週から9月5日まで夏の休廷期に入るだけに裁判再開には相当な期間が必要とされるとみられる。現在75歳のネタニヤフ首相は2023年にペースメーカー挿入手術やヘルニア手術を受けるなどこの数年間健康不安を訴えている。
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