米国のトランプ前大統領の北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）加盟国の防衛費関連発言が世界各国に波紋を広げている中で、バイデン政府がＮＡＴＯ擁護に出た。加盟国が防衛費を出し渋ればロシアのＮＡＴＯ侵攻を奨励するというトランプ氏の「脅迫性発言」に不安を感じている同盟国を安心させるための措置と解釈することができる。

国務省のミラー報道官は１４日（現地時間）、記者会見で「ＮＡＴＯは米国に巨大な恩恵と安定を与える同盟」と述べた。ミラー報道官は今年３１加盟国のうち１８カ国が国内総生産（ＧＤＰ）の２％を防衛費として支出するという公約を履行する予定というＮＡＴＯのこの日発表を受け、「われわれは該当の国々が（公約履行の）目標に向かって進展する姿を見ることになるだろう」と明らかにした。

ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官（国家安全保障担当）もこの日の記者会見で「バイデン大統領の就任後、（防衛費目標）２％に到達した国家が９カ国から１８カ国へ、３年間で倍になった」としながら「創設７５周年を迎えたＮＡＴＯ同盟はこれまでになく大きく強く、より重要になった」と述べた。


あわせて「ＮＡＴＯ同盟は最近に入り、前例がない方法で団結している」とした。続いて「バイデン大統領は米国国民も自身と共にＮＡＴＯおよび汎大西洋団結のためにしっかりと立っていると信じている」と強調した。

バイデン政府関係者が公開的にＮＡＴＯ関連の立場を表明した中で、ＮＡＴＯもこの日「ＧＤＰの２％国防費支出」目標を達成した国が今年１８カ国に増えるだろうとし、トランプ氏が取り出した防衛費問題に異議を唱えた。

これに先立ち、トランプ氏は１０日サウスカロライナで開かれた大統領候補予備選の遊説で、大統領在任時期ＮＡＴＯのある同盟国首脳とＮＡＴＯ会議中に交わした対話内容を紹介したが、この中で問題の発言が飛び出した。

当時、該当の首脳が「もしわれわれ（ＮＡＴＯ加盟国）が金を支出せず、ロシアから攻撃を受けた場合、米国は守ってくれるか」と尋ねると、トランプ氏は「守らない」としながら「ロシアが望むことをやりたいように何でもしろと奨励する考え」と述べたというエピソードを紹介した。

続いて１３日、トランプ氏はソーシャルメディアに「防衛費２％基準を超える国は米国・ポーランド・ギリシャ・エストニア・リトアニア・フィンランドなど１１カ国にとどまる」という内容の文を載せた。

これに対してＮＡＴＯのストルテンベルグ事務総長は１４日、「今年１８の加盟国がＧＤＰの２％を防衛費として支出すると予想される」とし、最新の数値を公開した。ＮＡＴＯは２０１４年からＧＤＰ２％を防衛費の支出基準に定めたが、２０１４年にはこれを達成した加盟国が３カ国にとどまった。ウクライナ戦争勃発以降の昨年には１１カ国に増えた。ストルテンベルグ事務総長の説明通りなら、今年ＮＡＴＯの防衛費目標値を達成した加盟国数が初めて半数を超えることになる。

◇ベルギーでＮＡＴＯ国防相会合

こうした中、ＮＡＴＯ国防相が１５日（現地時間）、ベルギー・ブリュッセルに集まって防衛費問題などについて議論する。この日の会議は７月、米国ワシントンで開かれる予定のＮＡＴＯ首脳会議事前準備レベルで開かれる。

特に１１月米大統領選でトランプ氏が再選に成功する場合、防衛費を巡る葛藤が再点火するかもしれないという恐れもあり、欧州加盟国の軍備増強懸案が集中的に扱われる見通しだ。これに先立ち、ＮＡＴＯは昨年首脳会議を通じて防衛費を各国ＧＤＰに対して少なくとも２％以上支出することで合意した。

この他にＮＡＴＯレベルの新国防計画実行のための資源調達方案についても協議が行われる予定だ。２４日になれば戦争２年目を迎えるウクライナ支援問題も今回の会議の議題だ。会議にはＮＡＴＯ非会員国のウクライナ国防相も出席予定で、ＮＡＴＯ－ウクライナ理事会も別途開催されるとＮＡＴＯは伝えた。