韓国は独自開発の巨大言語モデル(LLM)を保有する人工知能(AI)大国だが、人材プールが狭くて外部からの人材流入が少ないAI人材純流出国だ。カナダのAIソリューション企業エレメントAIの共同創業者ジャン=フランソワ・ガニエ氏が国ごとのAI人材の現況を分析した結果、韓国のAI人材流入指数はマイナス0.297で、AI人材を海外に供給する「生産国」、すなわち人材流出国に属することが明らかになった。これに対し米国は6.169、英国は1.6、ドイツは0.823、カナダは0.615など、AI技術先進国は海外から流入するAI人材が多い流入国だった。
AI求人難を解消するには海外人材を連れてきても足りないが、現実はようやく育てた高級AI人材まで海外に抜け出しているのだ。AI技術開発と産業革新の好循環を考慮し、政府がAI人材確保にさらに力を注がなければならないという指摘が出ている。カナダのAIスタートアップ、アルミラでアジア太平洋地域総括を務めるウム・ビョンチャン氏は「韓国はAI人材が先進国に抜け出る地域であるだけに、残留・流入に向け国レベルの人材戦略が必要だ」と話した。
◇破格支援する中国・シンガポール・UAE
同様の苦悩をしているアジア諸国は主に資本力を掲げてAI人材をかき集めている。中国は海外人材誘致政策「千人計画」の後続としてAIや半導体などの人材を狙った「啓明」というプログラムを運営中だ。主に米名門大学の博士号を持つ研究陣を対象に、中国のIT企業への採用と連係し住宅購入補助金、300万~500万元の支援金を提供する。
シンガポールの創業コンサルティング企業ウィルトベンチャービルダーのウォン・デロ代表は「シンガポール政府が高級技術者用の就労ビザ制度を新設し、中国、ベトナム、インドなどアジア系の修士・博士課程の学生らに巨額の奨学金と定着支援金を与えるなどAI人材誘致に財源を集中的に投じている」と伝えた。UAEは2019年に世界で初めてAI専門大学院「モハメド・ビン・ザイード人工知能大学」(MBZUAI)を設立し、国籍と関係なく学生全員に奨学金と生活費、宿舎を支援している。
◇「ガラパゴス抜け出し、世界的な遊び場を作れ」
だが高級AI人材を誘致するためには金銭補償に劣らず研究生態系の活性化がより重要というのが専門家らの意見だ。KAISTキム・ジェチョルAI大学院のチョン・ソン院長は「4年前に世界的ビッグテックで働く韓国人AI研究者を対象に『帰国を考慮する条件』をアンケート調査したところ、1位は優秀な同僚研究陣、2位はデータ・コンピューティングシステムのようなAI研究インフラ、3位は自律的で水平的な研究文化だった」と紹介した。当時の調査で給与水準は帰国考慮対象4位にとどまったという。
AI業界では人材誘致に向けた発想の転換が必要だと話す。ウム氏は「韓国という『ガラパゴス』にとどまるのではなく、世界的コミュニティで一緒に研究しているという心理的満足感を提供しなければならない」と話した。韓国にいても世界的な研究陣とともに交流できる「世界的な研究の遊び場」を作れば良いということだ。
◇韓国スタートアップに海外共同研究を
海外共同研究の活性化も解決策に挙げられる。韓国の研究者と海外有名研究機関、海外の研究者と韓国企業がともに研究する経験を拡大しようということだ。国同士の共同ファンドを作りスタートアップも世界的共同研究に参加できるよう機会を増やすのも方法だ。ドイツのベルリン州政府傘下に設立されたベルリンパートナーは国籍と関係なく学界とスタートアップが交流できるよう積極支援している。ベルリンパートナーのマネジャーは「アイデアさえあるならば国籍と関係なくドイツ人と同一に支援し、ビザ問題や初期資金確保なども助けている」と説明した。
イスラエルの事例も参考にできる。テルアビブなどにある400社以上の世界的企業研究開発センターをAI戦略に積極的に活用している。各企業所属の研究開発センターだがイスラエル政府もともに投資して技術の流れをいち早く把握し有望技術人材を育てている。これは投資成果につながる。世界的投資分析機関ディールルームによると、2019年からの4年間に執行された生成AI投資額の国別順位でイスラエルは米国に次いで2位を占めた。これに対しサムスン電子やネイバーなど韓国企業を除いた世界的ビッグテック企業のうち、韓国国内に研究開発センターを置いている所はひとつもない。韓国貿易協会と世界的コンサルティング企業マインド・ザ・ブリッジの6月の発表によると、韓国にある世界的企業の研究開発センターは48カ所でほとんどが化学、自動車、バイオ分野だった。
AI求人難を解消するには海外人材を連れてきても足りないが、現実はようやく育てた高級AI人材まで海外に抜け出しているのだ。AI技術開発と産業革新の好循環を考慮し、政府がAI人材確保にさらに力を注がなければならないという指摘が出ている。カナダのAIスタートアップ、アルミラでアジア太平洋地域総括を務めるウム・ビョンチャン氏は「韓国はAI人材が先進国に抜け出る地域であるだけに、残留・流入に向け国レベルの人材戦略が必要だ」と話した。
◇破格支援する中国・シンガポール・UAE
同様の苦悩をしているアジア諸国は主に資本力を掲げてAI人材をかき集めている。中国は海外人材誘致政策「千人計画」の後続としてAIや半導体などの人材を狙った「啓明」というプログラムを運営中だ。主に米名門大学の博士号を持つ研究陣を対象に、中国のIT企業への採用と連係し住宅購入補助金、300万~500万元の支援金を提供する。
シンガポールの創業コンサルティング企業ウィルトベンチャービルダーのウォン・デロ代表は「シンガポール政府が高級技術者用の就労ビザ制度を新設し、中国、ベトナム、インドなどアジア系の修士・博士課程の学生らに巨額の奨学金と定着支援金を与えるなどAI人材誘致に財源を集中的に投じている」と伝えた。UAEは2019年に世界で初めてAI専門大学院「モハメド・ビン・ザイード人工知能大学」(MBZUAI)を設立し、国籍と関係なく学生全員に奨学金と生活費、宿舎を支援している。
◇「ガラパゴス抜け出し、世界的な遊び場を作れ」
だが高級AI人材を誘致するためには金銭補償に劣らず研究生態系の活性化がより重要というのが専門家らの意見だ。KAISTキム・ジェチョルAI大学院のチョン・ソン院長は「4年前に世界的ビッグテックで働く韓国人AI研究者を対象に『帰国を考慮する条件』をアンケート調査したところ、1位は優秀な同僚研究陣、2位はデータ・コンピューティングシステムのようなAI研究インフラ、3位は自律的で水平的な研究文化だった」と紹介した。当時の調査で給与水準は帰国考慮対象4位にとどまったという。
AI業界では人材誘致に向けた発想の転換が必要だと話す。ウム氏は「韓国という『ガラパゴス』にとどまるのではなく、世界的コミュニティで一緒に研究しているという心理的満足感を提供しなければならない」と話した。韓国にいても世界的な研究陣とともに交流できる「世界的な研究の遊び場」を作れば良いということだ。
◇韓国スタートアップに海外共同研究を
海外共同研究の活性化も解決策に挙げられる。韓国の研究者と海外有名研究機関、海外の研究者と韓国企業がともに研究する経験を拡大しようということだ。国同士の共同ファンドを作りスタートアップも世界的共同研究に参加できるよう機会を増やすのも方法だ。ドイツのベルリン州政府傘下に設立されたベルリンパートナーは国籍と関係なく学界とスタートアップが交流できるよう積極支援している。ベルリンパートナーのマネジャーは「アイデアさえあるならば国籍と関係なくドイツ人と同一に支援し、ビザ問題や初期資金確保なども助けている」と説明した。
イスラエルの事例も参考にできる。テルアビブなどにある400社以上の世界的企業研究開発センターをAI戦略に積極的に活用している。各企業所属の研究開発センターだがイスラエル政府もともに投資して技術の流れをいち早く把握し有望技術人材を育てている。これは投資成果につながる。世界的投資分析機関ディールルームによると、2019年からの4年間に執行された生成AI投資額の国別順位でイスラエルは米国に次いで2位を占めた。これに対しサムスン電子やネイバーなど韓国企業を除いた世界的ビッグテック企業のうち、韓国国内に研究開発センターを置いている所はひとつもない。韓国貿易協会と世界的コンサルティング企業マインド・ザ・ブリッジの6月の発表によると、韓国にある世界的企業の研究開発センターは48カ所でほとんどが化学、自動車、バイオ分野だった。
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