ロシアのあるメディアが「北朝鮮がロシアに１０００万発規模の砲弾を供給する予定」と報じた。北朝鮮の大規模な軍需物資支援を通じて膠着状態の戦況に反転をもたらすという計算だ。

しかし露メディアが伝えた１０００万発規模の砲弾は、北朝鮮が保有中と推定される在庫物量を上回るというのが軍当局の立場だ。外交関係者の間では、露朝首脳会談以降、両国は武器取引規模に関する「フェイクニュース」で典型的なプロパガンダ（宣伝）などの心理戦に入ったのではという見方が出ている。

ロシアメディアのプラウダは１８日（現地時間）、自国の政治学者ユーリ・バランチク氏を引用し「北朝鮮がロシアに１２２ミリと１５５ミリの砲弾１０００万発を供給する可能性がある」と報じた。１０００万発の砲弾は、ロシアが昨年ウクライナ戦争を遂行しながら消費した砲弾の物量とほぼ同じだ。ロシアが正常な状況で１年間に生産できる砲弾の物量は１００万発ほどであり、１０年間で生産する砲弾をすでに消費したという計算になる。


この報道が事実なら、砲弾不足に苦しむロシアの立場では少なくとも戦争を１年間遂行できる砲弾の供給を北朝鮮から受けるということだ。実際、ロシアが北朝鮮から砲弾を輸入する状況は何度か表れた。昨年７月、海外メディアはロシアが「バン－１２２」と表記された砲弾を使用していると報じた。「バン」とは多連装ロケットの北朝鮮式表現の放射砲を意味する。

ところがロシアメディアの報道はいくつか疑わしい内容を含んでいる。まず、北朝鮮が供給する予定と明らかにした砲弾の口径１５５ミリは北朝鮮とロシアでなく韓国軍が使用する標準だ。露朝の場合、１５５ミリ砲弾でなく１５２ミリ砲弾を主に使用する。報道された１５５ミリ砲弾を１５２ミリ自走砲の誤記と見なす場合、同時に言及した１２２ミリは自走砲と放射砲（ロケット砲）と解釈できる余地がある。

単純な誤記としても、ロシアメディアが明らかにした供給規模１０００万発という数字も現実的でないという意見が多い。

軍関係者はこの日、中央日報との電話で「正確な数値を明らかにするのは難しいが、北が１０００万発もの砲弾を備蓄している可能性は低い」とし「たとえ在庫全体が１０００万発としても、これをすべてロシアに送る場合、北は少なくとも数年間は戦争不能状態になるだろう」と話した。国際制裁のため原料の需給が円滑でない北朝鮮が在庫物量をロシアに送る場合、新たに砲弾を製造するのに相当な時間がかかるということだ。

この関係者は「休戦状況の南北が砲弾在庫を確保しているのは当然の事実だが、韓国軍の砲弾備蓄量は数百万発水準であり、ロシアメディアが報じた１０００万発は現実性が大きく落ちる」と伝えた。

また同メディアは、ロシアが射程距離４００キロの北朝鮮のＫＮ－２５を輸入する可能性もあると伝えた。ＫＮ－２５は「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれるＫＮ－２３、「北朝鮮版エイタクムス」ＫＮ－２４と共に２０１９年に本格的に開発された短距離弾道ミサイルで、直径６００ミリの超大型放射砲を意味する。２１世紀軍事研究所のリュ・ソンヨプ専門研究委員は「ＫＮ－２５が量産段階に入ったとすれば、ロシア輸出は不可能でない」としながらも「ただ北の独自開発であり、移動式発射台（ＴＥＬ）など発射体系も共に供給しなければならず、単に砲弾を渡すよりもその過程は複雑であるはず」と話した。

中央日報はこの日、ロシアメディアの報道の信憑性を確認するため、同メディアが引用したロシアの学者に報告内容の真偽と根拠を問い合わせしたが、この学者は質問に応じなかった。

専門家らは北朝鮮とロシアが国際社会を脅かす意図でこうした報道を事実上ほう助しているとみている。韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務局長は「のけ者国家の宣伝戦と見ている」とし「北の支援を受けてロシアが勝利するという希望事項を誇張した修辞で表現したものかもしれない」と話した。