釜山港の神仙台埠頭と戡蛮埠頭でコンテナ荷役作業が行われている。ソン・ボングン記者
輸入が輸出に比べてはるかに大幅に増加しているのが理由だ。輸入品目別にみると、原油(50.1%)、天然ガス(96.4%)、石炭(162.5%)などが前年同期比で大きく増加した。こうした流れが変わらなければ8月の貿易収支も赤字が予想され、この場合5カ月連続の赤字となる。2008年以来だ。
年間貿易収支も懸念される。8月10日時点の今年の貿易赤字は229億3000万ドルで、過去最大の年間赤字となった96年の記録をすでに超えた。仁荷大の鄭仁教(チョン・インギョ)国際通商学科教授は「今年の貿易赤字は300億ドルを超えて過去最大となる可能性が高い」と予想した。
貿易赤字の主な理由は国際エネルギー・原材料価格の上昇がまず挙げられる。次に対中貿易赤字の長期化だ。中国は韓国の最大貿易相手国だが、5月から対中輸出が減少する一方で輸入は増加し、今月まで4カ月連続の対中貿易赤字が予想されている。
今月1-10日の対中貿易収支は8億9000万ドルの赤字だ。新型コロナ拡大による中国の封鎖措置が最も大きな影響を及ぼしたが、中国製造企業の技術力向上など構造的な要因も作用したという分析もある。鄭仁教教授は「海外で需要が増えないため、輸出が大きく増える可能性は制限され、対中貿易やエネルギー価格のような悪材料もすぐには解消しないだろう」と話した。
成均館大のパク・ミョンソプ・グローバル経営学科教授は「中国との貿易構造が、中間財を韓国が輸出する状況から輸入する方向に変わり、構造的な赤字が表れる可能性がある」とし「ただ、輸入エネルギー・農産物価格があまりにも大幅に上昇しただけに、年末に近づくにつれてある程度下がり、赤字幅が緩和するだろう」という見方を示した。
韓国と貿易構造が似ている日本も同じ状況だ。日本財務省によると、今年上半期の日本の貿易赤字は7兆9241億円と、上半期基準で過去最大の赤字となった。24年ぶりの円安ドル高となっているうえ、輸入に依存している原油や食料の価格が上昇したからだ。
一部では、労働力・資本で発生する収益までも含む「経常収支」と政府の実質的な財政状態を表す「財政収支」が共にマイナスとなる「双子の赤字」も懸念されている。しかし韓国政府は可能性は低いと一線を画している。
貿易収支とは違って経常収支は今年上半期基準で247億8000万ドルの黒字だ。前年同期比で黒字幅は40%ほど減少したが、韓国銀行(韓銀)の当初の予測値の210億ドルの黒字を上回った。先月も経常収支は黒字と推算される。大統領室の崔相穆(チェ・サンモク)経済首席秘書官が「(今年の年間基準で) 双子の赤字発生の可能性はない」とし「貿易赤字でも経常収支は300億-400億ドルの黒字を予想している」と明らかにした背景だ。企画財政部の関係者も「一国の外貨収入・支出の差を正確に表す最終成績表は貿易収支でなく経常収支」とし「今年、韓国は25年連続の経常黒字が予想される」と述べた。
しかし今のような貿易赤字が長引けば経常収支も打撃が避けられない。延世大の成太胤(ソン・テユン)経済学部教授は「貿易赤字が続く状況は経常黒字と関係なく対外経済環境がそれだけ良くないという意味」と話した。
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