海外資源開発を積弊と宣言した文在寅(ムン・ジェイン)政権の前まで、海外資源開発は保守・進歩政権を問わずうまく進められた。政権によって政策の順位に差はあったものの、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)政権と続きながら海外資源開発は常に政策の中心にあった。金大中政権は10年間の方向を設定する「海外資源開発基本計画」を最初に出した。続いて盧武鉉政権も資源外交を通じて資源の開発に積極的に取り組んだ。代表的な例がアフリカのマダガスカルのアンバトビーニッケル・コバルト鉱山開発事業だ。アンバトビー鉱山は1億4620万トンのニッケルが埋蔵された世界3大ニッケル鉱山であり、年間最大4万8000トンが生産される。
李明博大統領は過去の政権の海外資源開発を政府の政策の優先順位に置き、積極的に資源外交をした。2009年にはアラブ首長国連邦(UAE)原発輸出を陣頭指揮した。また、韓国鉱物資源公社(現韓国鉱害鉱業公団)がパナマ銅鉱山の確保に苦労しているという報告を受けると、パナマを訪問して首脳会談を行い、鉱物資源公社が希望する銅プロジェクトを実現させた。鉱物資源公社が投資したコブレパナマ銅鉱山は埋蔵量が31億8300万トンにのぼり、年間35万トンが生産されている。
現在貴重になっているリチウムは李明博政権が資源外交で最も力を注いだものだ。李明博政権は世界炭酸リチウム埋蔵量の72%を持つチリ・アルゼンチン・ボリビアの「リチウムトライアングル」に進出した。しかし政権交代以降、すべての事業が整理された。
文在寅政権は前政権の海外資源開発を積弊と見なして直接投資もできなくした。前政権の資源開発政策を継承しないのなら、より良い代案があるべきだった。しかし実情はそうでなかった。正確な根拠もなく監査院・検察などを動員して調査したが、出てくるものはなかった。石油公社・鉱物資源公社の社長を起訴したが、無罪判決が出てきた。資源開発は計画樹立から供給期間を考慮して10年以上先を眺めて進める必要がある。今すぐ使用するのではなく未来に備えるためだ。李明博政権当時に確保した海外の鉱山がいま役に立っている。
ところが文政権に入ってからは海外鉱山を政府の指針に基づいて売却している。鉱物資源公社が保有する26件の海外資産のうち11件はすでに売却され、現在15件が残っている。資源開発積弊の強風が吹いた5年間、韓国の資源確保システムに「失われた5年」以上の後遺症を残した。
エネルギー・鉱物資源分野で多くの遺産を受け継いだ文政権がこれを守るどころか大きな借金ばかりを残した。結局、新政権が取り組むべきことになった。海外資源開発は一般製造業のようにすぐに成果を期待してはいけない。資源の価格が永久的なら必要な分だけ資源を安く買うのがはるかに良い。しかし資源の価格は変動性が非常に大きい。何よりも海外資源開発は備蓄の概念もある。地中にある資源自体が備蓄だ。いつでも必要な分だけ採掘すればよい。
韓国は世界9番目のエネルギー消費国、世界5番目の鉱物資源輸入国だ。国内消費エネルギーの輸入依存度は94%にのぼる。資源戦争はすでに始まっているが、韓国は準備が不足している。新政権が動かなければいけない。政府は企業が手を出すところを訪問して資源外交をし、サポートすることが求められる。そして公企業と民間企業が共に進出する相互協力的政策を樹立する必要がある。文政権のように政治論理に振り回されず、科学的な根拠に基づいて客観的かつ冷静な判断をし、産業に必要な資源は必ず確保し、すでに確保した分はうまく管理しなければならない。そうしてこそ資源のない大韓民国が資源強国になることができる。
カン・チョング/仁荷大エネルギー資源工学科招聘教授
◇外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
李明博大統領は過去の政権の海外資源開発を政府の政策の優先順位に置き、積極的に資源外交をした。2009年にはアラブ首長国連邦(UAE)原発輸出を陣頭指揮した。また、韓国鉱物資源公社(現韓国鉱害鉱業公団)がパナマ銅鉱山の確保に苦労しているという報告を受けると、パナマを訪問して首脳会談を行い、鉱物資源公社が希望する銅プロジェクトを実現させた。鉱物資源公社が投資したコブレパナマ銅鉱山は埋蔵量が31億8300万トンにのぼり、年間35万トンが生産されている。
現在貴重になっているリチウムは李明博政権が資源外交で最も力を注いだものだ。李明博政権は世界炭酸リチウム埋蔵量の72%を持つチリ・アルゼンチン・ボリビアの「リチウムトライアングル」に進出した。しかし政権交代以降、すべての事業が整理された。
文在寅政権は前政権の海外資源開発を積弊と見なして直接投資もできなくした。前政権の資源開発政策を継承しないのなら、より良い代案があるべきだった。しかし実情はそうでなかった。正確な根拠もなく監査院・検察などを動員して調査したが、出てくるものはなかった。石油公社・鉱物資源公社の社長を起訴したが、無罪判決が出てきた。資源開発は計画樹立から供給期間を考慮して10年以上先を眺めて進める必要がある。今すぐ使用するのではなく未来に備えるためだ。李明博政権当時に確保した海外の鉱山がいま役に立っている。
ところが文政権に入ってからは海外鉱山を政府の指針に基づいて売却している。鉱物資源公社が保有する26件の海外資産のうち11件はすでに売却され、現在15件が残っている。資源開発積弊の強風が吹いた5年間、韓国の資源確保システムに「失われた5年」以上の後遺症を残した。
エネルギー・鉱物資源分野で多くの遺産を受け継いだ文政権がこれを守るどころか大きな借金ばかりを残した。結局、新政権が取り組むべきことになった。海外資源開発は一般製造業のようにすぐに成果を期待してはいけない。資源の価格が永久的なら必要な分だけ資源を安く買うのがはるかに良い。しかし資源の価格は変動性が非常に大きい。何よりも海外資源開発は備蓄の概念もある。地中にある資源自体が備蓄だ。いつでも必要な分だけ採掘すればよい。
韓国は世界9番目のエネルギー消費国、世界5番目の鉱物資源輸入国だ。国内消費エネルギーの輸入依存度は94%にのぼる。資源戦争はすでに始まっているが、韓国は準備が不足している。新政権が動かなければいけない。政府は企業が手を出すところを訪問して資源外交をし、サポートすることが求められる。そして公企業と民間企業が共に進出する相互協力的政策を樹立する必要がある。文政権のように政治論理に振り回されず、科学的な根拠に基づいて客観的かつ冷静な判断をし、産業に必要な資源は必ず確保し、すでに確保した分はうまく管理しなければならない。そうしてこそ資源のない大韓民国が資源強国になることができる。
カン・チョング/仁荷大エネルギー資源工学科招聘教授
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