文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2018年9月、米FOXニュースのインタビューで、終戦宣言推進の必要性を改めて強調する一方、終戦宣言が在韓米軍の撤収につながるという懸念に一線を画した。 [中央フォト]
民主党の関係者は11日、「南北関係は絶えず平和局面と緊張局面を行き来したが、『韓半島平和定着』という目標に対する我々の意志が変わったことは一度もない」とし「もう韓半島(朝鮮半島)は戦争がない状態という点を宣言するのは当然の課題であり、これ以上先延ばしする理由はないだけに、本格的な決議案の処理に取り組む予定」と述べた。
終戦宣言は、1953年7月に米国・中国・北朝鮮の3カ国が署名した停戦協定に基づく韓国戦争の休戦状態を終えて、完全な戦争終了を宣言するという意味を持つ。また「終戦宣言→平和協定→恒久的平和体制達成」を骨子とする韓半島平和プロセスを稼働するための事実上の出発点に該当する。
◆「年内終戦宣言」盛り込んだ板門店宣言
文大統領は2018年4月の南北首脳会談後に採択した「板門店(パンムンジョム)宣言」に「年内に終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的に強固な平和体制を構築する」という内容が盛り込まれた後、本格的に終戦宣言を推進し始めた。
その後、韓米朝首脳会談が連鎖的に開かれ、終戦宣言の現実化も近づく雰囲気だった。2018年6月にはトランプ前大統領自身が「終戦宣言は可能性があることだ。我々は協定に署名することができる」と述べた。
2018年9月には北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン国務委員長が当時の鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)国家安保室長ら韓国側の特使団と会った席で、「終戦宣言は在韓米軍の撤収や韓米同盟の弱化とは関係がない」と述べ、終戦宣言はさらに弾みがついた。
◆「終戦宣言と在韓米軍は別」…口をそろえた南北首脳
文大統領も「終戦宣言があれば、国連軍司令部の地位が揺れたり在韓米軍が撤収圧力を受けるという疑いも一部あったが、そうではない」(2018年9月25日、米FOXニュースインタビュー)とし、金委員長の主張を受け継いだ。
しかし2019年2月の米朝首脳会談が「ハノイ・ノーディール」で決裂した後、南北米間の対話と交渉が事実上中断し、終戦宣言の動力は急速に弱まった。特に北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長は2020年6月13日、対北朝鮮ビラ散布に反発し、「確実に南朝鮮のものと決別する時になった。次の段階の行動をとる」と脅迫した。
◆与党は決議案発議、北は「連絡事務所爆破」
北朝鮮が予告した「次の段階の行動」は6月16日に南北連絡事務所の爆破で現実化した。さらに北朝鮮が連絡事務所を爆破した時点は、共に民主党・開かれた民主党など与党側議員173人が「韓半島終戦宣言要求決議案」を発議した翌日だった。
それでも文大統領は終戦宣言カードを捨てることができなかった。むしろ3カ月後の2020年9月の国連総会演説で「もう韓半島で戦争は完全に永久に終息しなければいけない」とし「終戦宣言」を浮き彫りにした。
同年10月には「終戦宣言こそが韓半島平和の始まり」とし「苦労して成し遂げた進展と成果を戻すことはできず、目的地を変えることもできない」(コリアソサエティー映像基調演説)と意志を表した。
契機もなく動力も落ちるが、忘れる頃になると大統領が自ら終戦宣言に言及して論議を呼ぶ姿が繰り返された。
◆また「終戦宣言」…「国内政治用」という批判
こうした大統領の意志を受け継いで民主党が1年2カ月間ほど進展がなかった終戦宣言要求決議案をまた持ち出したが、状況は厳しい。決議案の名分になった南北通信連絡線はまたも不通となった。
特に北朝鮮が韓米連合訓練に反発して在韓米軍撤収まで要求し、終戦宣言が国連軍司令部解体および在韓米軍駐留問題につながる可能性が高いという懸念も強まった。特に10日の談話で金与正副部長は北朝鮮敵対視政策の核心として在韓米軍の駐留を取り上げた。終戦宣言が事実上、敵対視政策の撤回の象徴である点を考慮すると、終戦宣言の議論自体が在韓米軍駐留問題を交渉テーブルに載せる結果につながる可能性がある。
経済社会研究院の申範チョル(シン・ボムチョル)外交安保センター長は「北が非核化の意志も、対話復帰の意志も見せていない状況で終戦宣言を持ち出したのは、結局、『韓半島平和』を演出するための国内政治的な目的としか解釈されない」とし「終戦宣言をめぐり北と実質的な議論に入ることになれば、北は敵対視政策の撤回を前に出して在韓米軍撤収を交渉カードとして活用しようとするはず」と述べた。
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