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金泰栄(キム・テヨン)合同参謀議長は毎日、北朝鮮地域の軍事情報をチェックする。 北朝鮮の挑発の徴候を把握しているからだ。 1次チェックリストは10項目にもならない。 北朝鮮潜水艦の移動状況、後方の機械化軍団の動き、弾道ミサイルの燃料注入準備状況、戦闘機の前進配置、長距離ミサイルなどの射撃準備状態などだ。
有事の際、潜水艦を一斉に投入し、韓国の艦艇やタンカーが釜山(プサン)など韓国の主要港湾に出入りできないよう機雷を敷設するのが、北朝鮮の戦術だからだ。 北朝鮮が奇襲挑発をするには、北朝鮮の後方地域の機械化軍団を2次攻撃に加担させるため、あらかじめ前方に移動させなければならない。 北朝鮮側に挑発の兆しが見えれば、金議長はベル韓米連合司令官と連携し、チェックリストを直ちに200項目に増やす。
こうした戦略情報収集には韓米軍の偵察監視装備が総動員される。 韓国軍は白頭(ペクドゥ)・金剛(クムガン)偵察機、情報本部傘下の通信監聴部隊を主に投入する。 米国はKH-11など写真偵察衛星、高空有人偵察機U-2機、高高度無人偵察機グローバルホークなどで情報を収集する。 合同参謀と陸海空軍はこの情報をもとに対応態勢を調整する。
韓国が2010年にアリラン5号、2011年にアリラン3号の衛星を打ち上げれば、韓国軍の戦略情報判断能力はさらに向上する。 アリラン5号に搭載される特殊レーダー(SAR、合成開口レーダー)は夜はもちろん、雲が広がっていても地表面の物体を把握できる。 SARレーダーは木・金属など地上物体の材質も区別できる。 イラク戦争当時、米軍は人工衛星や無人偵察機に搭載されたSARレーダーでイラク空軍基地に設置された木製の偽戦闘機と本物を見分けて破壊した。
アリラン3号は電子光学(EO)望遠鏡で60-80センチの大きさの地上物体も識別できる。 北朝鮮軍の戦車と装甲車・野砲などと兵力の動きを詳細に観察できる。
北朝鮮軍は無人情報収集能力が事実上皆無だ。 1996年の江陵(カンルン)武装共産軍事件のように、スパイや特殊部隊を南へ派遣し、韓国軍の動きを把握しなければならない状況だ。 したがって北朝鮮軍が作戦のために意思決定にかかる時間は数日以上となる。 一方、韓米軍の場合は数分-数時間と短い。
しかし韓国の人工衛星だけでは戦時中の同時多発的な北朝鮮軍の動きを完全に把握することはできない。 米国もイラク戦争当時、他国の商業衛星までも賃貸し、66基の人工衛星を投入した。 戦時には韓米軍が積極的に協力し、情報を共有するしかない。 特に休戦ラインから100キロ離れた北朝鮮後方地域の機械化軍団とミサイル基地、北朝鮮指揮部の動きを観察するには米国の支援が必須だ。
韓国軍は今後、情報戦力を強化し作戦テンポを速めるために、陸軍に先端偵察装備と指揮統制自動化(C4I:Command Control Communication Computer & Intelligence)体系を補完している。 C4Iシステムは音声・データ・画像交換が可能な軍内インターネットのようなもので、これを通じて作戦の指揮統制が可能だ。 軍は現在、陸軍軍団と砲兵部隊中心に構築されたこのシステムを大隊と兵士・装甲車・戦車まですべて構築する計画だ。→<大韓民国の国防力>2へ続く
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