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<新刊紹介>三星とソニー



原題:Sony Vs Samsung: The Inside Story of the Electronics' Giants Battle for Global Supremacy
張世進(チャン・セジン)著
サルリムBiz 刊
380ページ
1万7000ウォン


三星(サムスン)が最近、刷新策を発表した。過去21年間、三星を力強いリーダーシップで率いてきた李健熙(イ・ゴンヒ)会長が退いた。三星は新しい道を見つけるべく岐路に立たされた。これまで「三星とソニー」についての本は少なくなかった。しかし三星の成功とソニーの失敗を比べた本はあまりない。世界電子業界の2大企業の三星とソニーの明暗は、中国経済の浮上、米ドル安とともに過去10年間、世界経済の大きな流れだった。何より三星とソニーの明暗を分けた運命は興味津々だ。ドラマとストーリーがある。


三星が半導体-携帯電話-LCDで事業展開に成功したことはよく知られている事実だ。ソニーが経営戦略において、また内部組職などの混乱で敗着を繰り返したことも同じだ。著者が『三星とソニー』を通じて非常に新しい見方での分析や、アプローチをするのではない。むしろ知る人ぞ知る事実を、静かに、立体的に、かつ広く展開させていることが目を引く。

ソニーはアナログ時代の絶対的王者だった。デジタル時代に入り、既存の成功神話が逆に足をひっぱった。経営権が創業家から専門経営家に移り、リーダーシップが揺らいで組職が混乱に陥った。ソニーの独立的な事業部制であるカンパニー制度は、むしろ個別事業部が利己主義となってしまうサイロ(silo)型組職に変わってしまった。

創業以後、ソニーはトランジスターラジオとウォークマン、プレイステーションなど創意性に土台を置いた大型ヒット商品を開発した。しかし過去10年間、ソニーの大型ヒット製品はあまり見あたらない。ソニーは独創的な完成品にのみ没頭し、半導体やLCDのような部品事業には顔を向けなかった。映画を含めたコンテンツ分野に領域を広げたが、手に取る成果はおさめることができなかった。

三星電子はオーナーの力強いリーダーシップをもとに選択と集中をした。国際通貨危機以後の限定された資源を半導体、LCD、携帯電話に絞った。相対的に競争力をもつ、自信のある部門にのみ投資を集中した。イ・ユンウ三星電子副会長は「DRAM半導体事業は、市場は非常に大きいが、設計技術はそれほど難しくなかった。ひとつだけでも成功させようという意見から、すべての資源をメモリに集中させた。先進国との技術の格差を乗り越えるために設備投資に集中したが、タイミングも絶妙だった」と話した。

三星は何より早さを重視した。ほかより一歩先に新型半導体と携帯電話を開発して市場を支配する戦略を取った。価格が高いとき、最大限収益をおさめ、競争企業が参入してきたら値段を下げるというやり方だった。三星電子ユン・ジョンヨンCEOは「いくら高い刺身でも1日、2日と日が経てば価格も下がる。鮮魚やデジタル電子を扱う企業にとって在庫は致命的だ。早さがすべてだ」と話す。アナログ時代の二流企業だった三星電子は、デジタル時代を迎えて新たな跳躍のきっかけをつかむことに成功した。

『三星とソニー』の著者張世進博士は、アナログ時代の絶対的王者だったソニーが、どのように揺らぎ、三星がどのように浮上したのかを追跡した。三星はパラダイムの変化を見つめて創意力を育てなければ危ないとも警告している。

三星の成功神話は果てしなく続くか。著者は警戒心を示す。理由は2つ。1つは三星の前に置かれたパラダイムが変わっているという点だ。過去、三星は後発走者で、熱心に努力しながら前にいる走者を追いかければよかった。しかし、三星はもう追従者ではなく手本とする対象がないトップ走者だ。創意力がなければ、これから三星は難しい状況に陥るというのだ。

もうひとつは、三星がおごりをみせる可能性だ。ソニーもそんな姿に陥って墓穴を掘った。今、三星電子も過去最高の実績を続けながら自信にみなぎっている。著者は三星がオーナー体制以後、専門経営家体制に移り、混乱がもたらされた場合、ソニーの失敗を踏襲することができると警告している。

著者は昨年、韓国学術振興財団の人文社会部門で国家の碩学に選定された。大学で経済学を専攻した後、アメリカのワートンスクールで経営学博士を受けた。『三星とソニー』にも産業と経営を一緒にする総合的で体系的な見方が目立つ。しかし文体は非常に読みやすい。専門家でなくても、読むのに負担にはならないだろう。



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