![]() |
殺害されたキム・ヨンスクさんが失踪当日の18日、現金を引き出すところが写されたCCTV画面。(警察提供) |
9日午後11時、ソウル聖水大橋付近。母娘失踪事件の容疑者李昊星(イ・ホソン、41)元プロ野球選手がタクシーから降りた。一緒に乗っていた30代の女性チャさんは降りず、李元選手だけが降りるとすぐ出発した。2人は前日夜、ソウルSホテルに泊まった後、一緒に行動していた。2人は昨年8月から交際している。
失踪事件を報道するテレビのニュースを一緒に見ているとチャさんは「あなたがその人じゃないのか」と尋ねた。李元選手は「違う」と首を横に振った。李元選手は警察の捜査の手が追ってきた7日の夕方にもチャさんに会った。8日には知人を通じてチャさんに4000万ウォンを送っている。
漢江辺りに1人残った李元選手は10日0時ごろチャさんに携帯電話をかけ「ちゃんと帰宅したか」と尋ねた。これが彼の最後の通話だった。李元選手はここで漢江に身を投げた。警察は10日未明に飛び込んだと推定していた。
◇緻密な計画犯罪=11日、警察はこれまで把握されてきた李元選手の足どりと犯行過程を公開した。「金を目的とした残酷な殺人劇」だというのが警察の説明だ。ソウル麻浦警察署のホン・ソンサム署長はこの日午後「緻密な犯行計画がなかったら3人の姉妹と母親まで殺さなかったはず」と述べた。
捜査結果、先月15日、キム・ヨンスクさん(45)は定期預金1億7000万ウォンを解約した。引き続き身元がわかっていない人と乗用車に乗って銀行5カ所に数千万ウォンずつ分けて預置した。失踪当日の先月18日午前、キムさんはこれをすべて現金で引き出した。
犯行前後、李元選手は知人や兄、内縁関係のチャさんらに巨額を渡した。犯行翌日の19日午後、光州真月洞で債権者のイさん(女、47)に「兄さんの通帳に入金させてほしい」と5000万ウォンを渡した。また内縁関係のチャさんらにも5000万ウォンが渡った。警察はこれまで確認された1億ウォンの出処とともに消えた7000万ウォンの行方を追跡している。
◇残忍な犯行手法=この日午後、国立科学捜査研究所の解剖結果、母娘はすべて他殺だったことが確認された。ソ・ジュンソク国科捜法医学部長は「母親のキム・ヨンスクさんと次女、三女の死因は窒息」と明らかにした。また全員、鈍器による傷も発見された。
犯行当日の先月18日午後、キムさんと次女、三女はキムさんのマンションで事件に巻き込まれたものとみられる。外出していて家に呼び出されたと推定される長女の死因は頭蓋骨骨折など頭の損傷だ。腕にあざができているなど抵抗の跡も多く見られた。警察は李元選手が長女の腕をつかまえて顔を殴ったものと見ている。
ソ部長は「かなづちのような鈍器で何回も殴ったように見える」と明らかにした。警察によるとこの鈍器は李元選手の拳である可能性が高い。警察は、李元選手がキムさんを殺害する場面を目撃されたか、完全犯罪のために3人の娘を相次いで殺害した可能性が高いとみている。
◇遺書には「息子をよろしく」=李元選手は8日、知人を通じて光州の兄に手紙形式で遺書を送っている。A41枚の文にはクァク某氏との手形など金の取引問題とともに母、兄など身内に対する思いを書いた。特に妻と息子の名を言及し「送ったお金を使ってほしい」と頼んだ。犯行を暗示する文はなかったと警察は明らかにした。
彼はまた、普段からきわめて親しかった光州市野球協会長に手紙を残している。この文には「(光州地域)野球協会長就任おめでとう。(一緒に野球をした)昔の時代が幸せだった。天国に先に行っている」と自殺を暗示する内容が書かれていた。
一方、光州西部警察署はこの日、李元選手の同業者チョさん(39)の失踪事件に対して本格的に再捜査に入った。警察関係者は「李昊星元選手が家族4人を殺害したことが明らかになった上、チョさんが失踪当日、李昊星元選手に会った事実がわかっており、参考人を召喚して調査中」と話している。
この記事を読んで…