防犯灯の明かりとして使われる100ワットのナトリウム灯(左)の代わりに反射板を付着して35ワットのメタルハライドなどにした結果、通りはかなり明るくなった。また隣近の住宅窓に入り込んでいた防犯灯の明かりも大きく減った。(ソウル竜登浦区庁イ・ミョンギエネルギーチーム長提供) |
貿易会社を経営するソ・ギナムさん(64、ソウル竜山区二村洞)は、昨年末、米国人バイヤーと仁川空港からソウル市内に入り、米国人バイヤーから「韓国の高速道路やソウル市内はいつも日中のように明るい。今、ソウルは祭りの最中なのか」と尋ねられ、思わず赤面した。ソさんは「バイヤーに『自動車がそれほど通らない夜でも道で銅貨を拾えるほど明るくする必要があるのか』と言われ、とても恥ずかしかった」と話した。
原油価格が1バレル当たり100ドルに迫っているが、全国の街灯や看板は、日中のように明るい。特に自治団体は都心の夜景を美しくしようと街灯の明かりまで明るく絢爛たる照明を設置し、競って“夜を明るく”している。電力消費を減らして環境を保護しようと夜間照明を減らし、節電灯に替えている日本やヨーロッパ連合(EU)のような先進国と逆を行っているのだ。日本は通りのネオンサインを撤去し、EUは2009年まで白熱灯をコンパクトな蛍光灯に変える予定だ。
◇韓国は“もっと明るく”=ソウルには17万の街灯と23万の防犯灯がある。ソウル市のある区では年末まで主要幹線道路と裏通りの街灯や防犯灯をさらに明るくする予定でいる。防犯灯2000個を50ワットから100ワットに変えることにしたのだ。周囲を明るくし、交通事故を減らすという趣旨だが、その分、エネルギー消費は増えるほかない。街灯は効率を高めて400ワットを350ワットに下げるが、取付け間隙が35メートルから27~28メートルと詰まるので、電力消費量は特に差はない。
ソウル竜登浦(ヨンドンポ)区庁のイ・ミョンギエネルギーチーム長は「国内では必要な所にだけ光を正確に送る反射鏡の製作技術があまり発達しておらず、エネルギーの無駄使いが多い」と診断する。夜間、周囲は暗くても道路さえ明るければ安全に運転することはできるが、国内の都市では街灯の明かりが広がるため、都市が明るすぎるというのだ。このため“光公害”に対する副作用も現われている。セミが日夜泣くことや、農作物が適時に熟することができないのも明るすぎる照明が原因のひとつだという分析だ。
◇東京、パリの節電=日本の東京は幹線道路の街灯7万個を今後10年間、エネルギー節約型であるセラミックメタルハライド(metal halide)灯などにつけ替える計画だ。過去の水銀灯に比べて約40%の消費電力を減らせるからだ。日本のコンビニエンスストアなども看板に発光ダイオード(LED)照明設置を推進中だ。コンビニは1店鋪当たり2008~2012年の平均エネルギー消費量を1990年より20%を減らすという計画だ。業界1位のセブンイレブンも、昨年秋から新店鋪は看板の後ろに反射板を付けて照明効率を高めるようにしている。日本の1万3000店鋪が加入している全日本遊技事業協同組合連合会も(パチンコ)店鋪の白熱灯を蛍光灯に替えている。トイレには電気が必要なときだけつくようにセンサーもつけている。京都市は景観の保護とエネルギー節約のために昨年9月から屋上の看板と点滅式ネオンサイン看板を撤去している。
フランス・パリの名物であるシャンゼリゼのクリスマスツリーの白熱灯も昨年からLEDに替わった。パリ市とシャンゼリゼ商人連合会は、代わりに観光客らが長い間、クリスマスの雰囲気を感じられるよう、クリスマスツリーの設置期間を20日間増やした。
◇“照明も効率的に”=光州(クァンジュ)広域市は、光州科学技術院~湖南(ホナム)高速道路光山インターチェンジの間3キロ区間の信号と照明をLEDに替えた。ファウテクノロジーやLGイノテックような国内企業も節電型街灯開発に力を注いでいるが、今すぐの施行は難しい。寿命は長いが取付け費用も高いからだ。
竜登浦区庁のイチーム長は「暗くなければならない所はもっと暗く、明るくなければならない所はもっと明るくすれば効率的な照明」と指摘する。現在オレンジ色を出す100ワットのナトリウム灯が防犯灯として主に使われている。これを白色のメタルハライド灯に替え、反射板をつけて光を効率的に統制すれば、消費電力を3分の1水準である35ワットに減らせるということだ。
ソウル市議会は光の汚染を防止するための条例も検討している。必要以上の照明でエネルギーを浪費と夜間の景観を害する行為を“照明公害”と規定する内容だ。地域によって野外照明の方法や明るさの基準も決めることにしている。ソウル市議会パク・ノス政策研究室長は「2~3月、臨時会議時に上程されるものと見られる」と述べた。
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