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1990年代初め、米国とメキシコがマグロをめぐって対立した。 米国議会が、マグロ巻網でイルカが犠牲になるのを防ぐべきだとし、‘海洋哺乳類保護法’を作ったからだ。 米国にマグロを輸出するには、イルカ保護規定を守っているという証拠を提示しなければならなかった。 メキシコは貿易障壁だとして異議を提起、関税および貿易に関する一般協定(GATT)の委員会はメキシコに軍配を挙げた。 その代わりイルカに被害を及ぼさずに捕獲したマグロの製品には‘イルカ安全マーク’を付け、消費者が選択できるようにした。 このおかげでイルカの犠牲は大きく減った。
マグロという海水魚は一種類ではない。 クロマグロ・メバチ・キハダマグロなど20余種類がマグロ類に含まれる。 クロマグロも北半球のキタマグロと南半球のミナミマグロに分けられる。 北大西洋のクロマグロは全長3メートル、体重560キロにもなるという。
全世界の海で水揚げされるマグロは年間400万トンを超え、日本が全体漁獲量の4分の1を消費する。 韓国も年間25万-30万トンを消費している。 刺し身や寿司の材料として人気のクロマグロとメバチだけでも、日本では年間48万トンが、米国では3万-5万トンが消費される。 3位の韓国の消費量も1万5000-2万トンにのぼる。
マグロのうちオメガ-3脂肪酸は心臓病を、セレニウムは大腸がんを予防してくれる。 健康ブームに乗って増えるマグロ需要は乱獲につながっている。 国際環境団体のグリーンピースは5年以内にクロマグロが絶滅するはずだと主張している。 資源が枯渇し、日本ではクロマグロ1匹が小型車1台分の価格である800万-900万ウォン(約100万円)にまで高騰した。 寿司の材料を他のものに代えようと苦心している。
このためマグロの養殖も増えている。 日本では70年代後半から近海で獲った稚魚を3-5年間ほど飼育してから市場に出している。 国内でも慶尚南道統営市(キョンサンナムド・トンヨンシ)がマグロの養殖を検討中という。 稚魚を確保する問題とともに、飼料用として他の魚を乱獲しなければならない悪循環も心配される。
最近ニューヨークタイムズは、米国ニューヨーク・マンハッタンで販売されるマグロの寿司から有害な重金属である水銀が多量に検出された、と報道した。 クロマグロ寿司のほとんどは、1週間に6切れ食べるだけで環境庁の基準を超過するという。 英国食品標準局はすでに妊娠のマグロ摂取制限を勧告している。 おいしいからといってたくさん食べれば生態系はもちろん健康にもよくないと、マグロが人類に警告しているように感じられてならない。
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