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【噴水台】候補のM&A



一つに統合されたソウル銀行と韓国信託銀行は、それこそ「一つ屋根の下の2家族」だった。1976年にソウル信託銀行という商号で、タイトルを取り混ぜて事務室を併せたが、「ソウル」と「信託」は依然として水に油だった。

人事発令・労組活動が別で、昼食も別々に取った。第3の天下り頭取の場合には、秘書室長がどちら側かによって要職が決まった。人員調整が自由でないから、やることもなく赤いペンを持ったまま行きつ戻りつする幹部が増えた。振り返ってみると、ソウル銀行(95年に改名)が97年に通貨危機のドロ沼に陥るまで、こうした具合で20年近くも頑張ったというのが驚くべきことである。


企業の合併・買収(M&A)をめぐる議論で、「対等な合併」の弊害に触れる場合、しばしば登場するソウル銀行の事例だ。M&Aと経営革新で、米GE(ゼネラル・エレトリック・カンパニー)を世界最強の企業に育てたジャック・ウェルチ氏は「避けるべきM&Aの7つのワナ」のうち、「等級(規模)が似ている企業間の合併」を第一に選んだ。

誰が正しいことであれ、発言権がほぼ等しい場合、船頭が2人になり船が山に登りうる、という警告である。98年に「世紀の国際結婚」という賛辞を受け、実現されたダイムラー・ベンツとクライスラーの合併が、今年初めに10年も満たせないまま破鏡を迎えたのも、同じ理由と考えられる。離婚の理由は性格の不一致。ドイツ式の原則主義と米国式の奔放さがきちんと融合されることができなかった、とのこと。

国内でも最近、対等合併の後遺症を克明にあらわした事件があった。石油化学会社・麗川(ヨチョン)NCCで半分の経営権・所有権を持つ大林(デリム)産業が、共同の運営者であるハンファの最高経営陣を告訴までしたのだ。同業者の間の古い感情の対立が、ささいなトラブルで爆発してしまった。麗川NCCもソウル銀行のように、要職と昇進者をハンファと大林が半分ずつ分けあう、という珍しい人事の構図を8年間も続けてきた。

ここまで来れば、化学的結合というM&Aの本質は行方不明になり、物理的結合さえ耐えがたくなる。M&Aは「企業最後の戦争」といわれる。成功の確率が半分にもならないが、進取的な成長企業は全力をあげる。5兆ウォン(約6000億円)にのぼる大型のグローバルなM&Aを成功させた斗山(トゥサン)のように、M&Aに対する韓国企業の姿勢も変わった。

米シスコ・システムズのチャンバース最高経営責任者は「大きな企業ではなく、速い企業が勝つ時代だ」とした。速いことには、もちろん迅速かつ正確なM&Aの意思決定が含まれる。何で企業だけだろうか。投票日をわずか2週間後に控えた大統領選の走者らにも、M&Aの大きな市が立った。シナジー効果(相乗作用)を得る最善の統合の選択は何だろうか。忙しい候補の代わりに、参謀らでもM&Aの指針書1冊位読んでみたらいかがだろうか。



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