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米国有数のアジア博物館で、日本の代表的歴史歪曲といえる“任那日本府説”を描いた巻物の掛け軸を展示し、物議をかもしている。
問題の掛け軸は、サンフランシスコアジア博物館(館長エミリー・サノ)に展示された“八幡大菩薩御縁起絵巻(Stories of the Shinto Deity Hachiman and Shrines Dedicated to him、1389年作)”だ。これには4世紀日本の神功皇后が倭軍を率いて新羅を征伐したという『日本書紀』の内容を描いた場面(写真)が描かれている。絵の横には「韓国南部の新羅王国との戦争で夫を失った神功皇后が魔法の石を得て新羅との復讐戦で勝つ場面。よろいを着た皇后が新羅王をひざまずかせている」という説明が付いている。横14メートル、縦30センチと長いこの巻き紙には日本軍が竜を先に立たせて新羅軍を征伐する場面もある。
サンフランシスコアジア博物館は首都ワシントンのフリーア美術館とともに代表的なアジア博物館に挙げられる。この博物館では日本、インドなどアジア各国の話にまつわる絵を特別展示している。この展示に韓国作品はない。
現地韓人社会ではこの絵をめぐり論難が激しい。韓人たちの情報提供を受けたサンフランシスコ総領事館側は、先月末、博物館に書簡を送って訂正を要求した。
これに博物館は展示絵の説明に「この場面は韓国人及び韓人観覧客たちの怒りを買っている。博物館はその方々の感情に傷をつけたことを残念に思う…彼らは展示された掛け軸を展示しないよう要求してきたが、当館は教育的な目的のため、多様な見解を分かちあう一方、その見解の違いを公開しようと思う」という内容の文章を追加で掲示した。
展示を担当したポレスト・マッキルキュレーター(学芸員)は米州中央日報とのインタビューで「伝説など説話の展示会なら問題のないことだと思った。抗議を受け入れておわびの文を掲示したが、展示された絵を下げる意向はない」と明らかにした。アジア説話の前に韓国作品が一点もないことに対しては「躍動的に話を描き出した作品がなかったから」と話した。
サンフランシスコ韓人会のイ・ソクチャン会長(48)は6日「これは単純に韓日間の見解の違いの問題ではない。観覧客たちが日本の新羅征伐を歴史的事実として受け入れる恐れがある」と指摘した。韓人会など韓人団体は博物館側にこの絵を展示しないことを続けて要求する方針だ。展示は10月21日まで。
◆任那日本府説=4世紀後半、日本が韓半島南部に進出し、百済、新羅、伽揶を支配して、特に伽揶には日本府という機関を設置し、6世紀中葉まで直接支配したという説だ。4世紀当時、日本という国号がなかったという反論にも、日本ではこれを20世紀植民支配を正当化する根拠にして根深い論争の種になってきた。
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