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今月初め、日本で『大日本人』という日本映画が公開されました。主人公は各種怪獣と戦ってきた英雄の子孫で、そして今も日本のあちこちに怪獣が現れれば巨大な体に変身して戦います。しかし実際は英雄の通念と少し違います。能力のないごろつきに近い。社会でも尊敬を受けるどころか人気も最低です。テレビ放送される対決場面の視聴率は天気予報にも及ばないのです。
幸か不幸かマネジャー(!)がいます。スポンサーをひっぱって来て広告を付ける役です。怪獣に勝てずに逃げだしますが、マネジャーはこれを喜びます。背中に付いた広告がはるかによく露出されるからだとか。
『大日本人』は日本の怪獣映画の伝統を覆す面白い映画です。怪獣たちの形態も面白い。実写のように見せようとする意図が全くない、一言で 「僕はコンピューターグラフィックさ」と言うようなマンガ的キャラクターです。最後には非常に露骨に日本特有の“特撮”の真似をします。にせものとよくわかるミニアチュアセットでこの上なく幼稚なユニホームを着た新たな英雄たちを登場させます。
『大日本人』を見たのは5月、カンヌ映画祭ででした。監督週間に出品されていました。1年前にポン・ジュノ監督の『グエムル-漢江の怪物―』が招請されたまさにその部門です。そのためではなくても自然に『グエムル』が思い浮びます。怪獣映画の通念と違い、最初に怪獣の実体を現して、怪獣に対立して戦う人々が、決して英雄ではない変種の怪獣という映画だからです。ひょっとしたら『グエムル』が『大日本人』の誕生を刺激しなかっただろうかと恣意的な推測もしてみました。ハリウッド『ゴジラ』の元祖である『ガメラ』の国であると同時に、怪獣映画の総本山を自認する所が日本だからです。
『大日本人』は海賊と蜘蛛人間にはさまれて公開第1週、日本のボックスオフィス2位となりました。昨年、韓国の『グエムル』まではいかなくても、ハリウッドブロックバスターと競争する自国映画の興行成績としてはなかなかです。今の忠武路(チュンムロ、韓国映画界)の悽惨な状況に比べたら特に。『グエムル』が怪力を発揮して1年後、忠武路は韓国映画の対抗馬の登場を待つ立場になりました。振り返れば『グエムル』は変種だったからまた魅力的でした。ハリウッドのようなデジタル表現力を「私たちにもできる」ではなく、ハリウッドでは見られないキャラクターと展開で、韓国的な味をうまく引き出したんです。ハリウッド以外の観客たちが自国映画に期待することが「もう1つのハリウッド」ではないという、単純な考えをまためぐらせています。ハリウッドではないからこそできる忠武路の変種の力を待っています。
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