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ソウル倉洞(チャンドン)に地下1階・地上2階の大きな倉庫型建物を建設し、1993年11月12日にオープンしたEマート1号店の初日の営業は、事前の憂慮とは異なり順調だった。 午前10時にオープンした直後、晩秋という季節柄やや寂しい雰囲気だったが、「価格が安い」という噂があっという間に広まり、午後からは大勢の客が集まった。 オープン初期に一部の人気コーナーは品切れとなり、数日間入荷できないケースも生じた。 一部の大きな食品・飲料ブランドは「なぜわが社が町内のスーパーより安い価格で商品を納めなければならないのか」とし、納品を拒否したからだ。
こういうことが信じ難いほど、最近は製造業者がディスカウント店の顔色をうかがっている。 売上高の30%前後を大型流通チェーンに頼らなければならないため、どうすることもできない。 いくつかの大企業を除いて、ディスカウント店の‘1+1(1個の価格で2個販売)爆弾セール」要求にずるずると引きずられている。
流通パワーが強くなっているのは世界的な趨勢だ。 ディスカウントストアの元祖である‘ウォルマート王国’を一つの国と見れば、年間200億ドル分の「メード・イン・チャイナ」を購買する中国8位の輸出国となる。 価格が安い中国産をバックに納品単価を引き下げ、会社のスローガン「EDLP(Every Day Low Price)」を実現する。 ばらばらの顧客に代わって、組織化された生産者と対等に価格交渉する‘消費者主権の守護者’を自負する。 このため‘ウォルマート効果’はもともと良い意味だった。 マッキンゼーは90年代、米国の10年長期好況に寄与したウォルマートの生産性向上効果をそう呼んだ。 ウォルマートがオープンした各地域で生活必需品の価格が10%以上値下がりするという分析も‘ウォルマート効果’と呼ばれた。 しかし、ウォルマートの出店で地域商圏が崩壊するという弊害も同じくそう呼ばれ始めた。
国内大型ディスカウント店の営業時間を午後8時までに制限した場合、4兆ウォン(約5000億円)以上の経済損失が発生するという推定が出てきた。 零細業者の保護を理由にディスカウント店の営業時間・日数を減らそうという政界の規制の動きに対し、学界がその副作用を計算したのだ。 ‘Eマート効果’もやはり得失と明暗があるだろう。 消費者が良い品を低価格で求める機能と、町内のスーパーや従来の市場が店を閉じる逆機能をそれぞれ確認し、きちんと損益計算書を出してみる時期だ。 さらにディスカウント店は韓国のサービス業界がかなり自負している業種ではないだろうか。 世界6000以上の店舗を率いる‘ゴリアテ’ウォルマートを100店舗余の‘ダビデ’Eマートが韓国の地から追い出したのはつい先日のことだ。
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