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塩野七生さん「リーダーよ、抽象的な話より国の犠牲になれ」



「日本には“ノーブレス・オブリージュ(社会指導層の道徳的責務)”の精神がない。エリートという人々の自覚に問題があるのだ」――。


「ローマ人の物語」シリーズで有名な日本作家塩野七生(70)が、日本社会の10種問題点に対して苦言を呈した。10日に発行された文芸春秋で「日本と日本人への10の質問」という文を通じてだ。


彼女は「日本に活力を吹き入れるため」とし▽リーダーシップ▽社会格差▽雇用▽教育▽高齢化▽社会指導層▽経済▽愛国心▽中国とアメリカ▽歴史――など10のテーマについて語った。

彼女は何より指導層に犠牲の精神を発揮することを促した。「日本に活力が劣るのは高齢化のためではない。社会指導層の精神的姿勢が問題だ。担っていかなければならないことはどんな犠牲を払ってでもするのだという覚悟がなければならないのに、それがないのが問題だ」

それとともに彼女はローマの歴史を引用した。「カルタゴの名将ハンニバルとの争いで毎度負けてばかりいたとき、ローマがどのようにしたのか思い浮かべる必要がある。国家の存亡が危なげな状況でもローマのリーダーたちは兵役の義務がない17歳未満や奴隷、下層民は一切徴用しなかった。代わりに指導層が自ら最前方に出た。ハンニバルにローマの執政官10人が犠牲となった。エリートたちが自ら国を守るという志を果たしたのだ」

彼女は「日本のリーダーたちは1980年代の初めから経済的繁栄を享受しながらも世界の運命の一翼を日本が担うという気概がなかった」とし「このように一歩後退する姿勢が社会に伝わってしまった」と批判した。続いて望ましいリーダーシップを説明するのに、再びローマの話をした。「これまでローマとベネチアの歴史を書きながら、幾多のリーダーの哲学や面貌を研究したが、やはり最高はユリウス・カイザルだった」とし「カイザルのリーダーシップは『すべての人は活用することができる』というものと『目下たちが苦労しながらやる仕事も、楽しくできるようにする才能』に集約される」と強調した。

塩野さんは「部下たちの才能を咎める上司がいるが、それは上司の想像力に問題がある」とし「部下の能力を適切に把握して適材適所に、どんな能力でも最大限発揮するようにするのがリーダーに要求される資質」だと言った。また「人間は誰も何かをしなければならないときは苦労しなければならないということをよく知っている」とし「どうせ苦労しなければならないのなら、楽しくするように雰囲気を作ってあげるのがリーダーの役割」と言った。

安倍晋三首相が推進中の「愛国心教育」については「愛国心は外から与えられるのではなく内面から湧き上がらなければならないもの」として忠告した。彼女は「愛国心教育は政治家の仕事でもなく、教育でできるものでもない」とし「政治家たちは抽象的な話をもうやめたらいいと思う」と付け加えた。

強国に背伸びする中国との関係については「中間程度の勝利で満足する人はいつも勝者として残る」というマキャベリの言葉を引用した。「相手(中国)の存在を認めて『勝たないのに負けない』方法を選ぶほうが良い」というのだ。

◆塩野七生=1937年東京に生まれた。イタリアとローマ文明を集中的に研究した作家として有名だ。高校時代すでにイタリアにひかれ、大学で西洋哲学を専攻した。その後、イタリアに渡ってギリシア・ローマ史を開拓しながら活発な著述活動をした。昨年『ローマ人の物語』15冊を完刊した。





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