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「相手を攻撃しやすい架空の人物にすり替えろ。そしてそのわら人形に一撃を食らわせろ」
選挙戦や扇動的な大衆演説でよく使われる古典的な論争術「わら人形論法(straw man argument)」だ。 相手の主張を弱点が多い主張にすり替えた後、一方的な攻撃を浴びせて敗退させることだ。 そしてまるで相手の主張が崩れたかのように既定事実化する。例えば「子供を一人で外出させてはいけない」という主張に対し、「それなら子供を一日中、家の中に閉じこめておけということか」というようにだ。 これに反論しようとするなら、わら人形論法が元来の主張と異なるという点を釈明しなければならないが、なぜか苦しまぎれの弁解のように聞こえる。 このためこの高度な論争技術に引っかかると、なかなか抜け出すのが難しい。
ジョージ・W・ブッシュ米国大統領はわら人形論法を頻繁に駆使することで有名だ。 彼は2005年末、「イラクからの軍撤収を考慮しなければならない」という主張が提起されると、「今すぐ米軍を撤収すべきだと主張する人たちがいる」とし「そうすれば重大なミスを犯すことになるはずだ」と結論づけた。 「軍撤収の考慮」が「無条件の即時撤収」にすり返られた後、「重大なミス」として烙印を押されたのである。 ここで軍撤収の話を下手に取り上げると「テロとの戦争」に反対する非愛国者にされたり、米軍の安全を度外視する無責任な人物にされたりするものだ。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の語法はこうした点でブッシュ大統領とよく似ている。 盧大統領は、北朝鮮のミサイル発射と核実験以後、対北朝鮮支援を中断すべきだという主張に対し、「それなら戦争をしようということか」と言い返した。 「対北朝鮮支援の中断」が「戦争」にすり替えられた後、一方的に罵倒されたのである。
わら人形論法の問題は、当初から相手の主張を歪曲することで公正な議論自体を防ぐところにある。 誤った論拠で大衆をごまかし、誤った結論に誘導するのだ。 このため論理学では、こうした論法を非道徳な論理的誤謬の一つとしている。 その場の論争では勝つかもしれないが、結果的には全体に損害を与えるためだ。
韓昇洲(ハン・スンジュ)高麗(コリョ)大総長代理は先週、「(3不政策の一つである)寄与入学制はわら人形戦略の性格のようだ」と述べた。. 大学が3不政策に反対すれば、まるでお金さえ払えば誰でも大学に合格させようと要求しているかのように仕立てられるということだ。 政策の失敗ではなく論理的誤謬から正さなければならないようだ。
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