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丸みを帯びた鼻筋、黒い瞳、見たところ温和だ。
しかし眉間にそっと力を入れるとたちどころに表情が変化する。
ややひきつったような口元からは堪えがたい軽蔑感を感じる。
にらみつけられたら鳥肌さえたつ--。
わずか2年前、善良で慈しみ深く、強直な李舜臣(イ・スンシン)将軍役を演じた顔だとは信じがたい。MBC週末ドラマ『白い巨塔』の主人公「チャン・ジュンヒョク」役のキム・ミョンミン(35、写真)。
14日、ソウル瑞草洞(ソチョドン)ソウル地方裁判所前の撮影現場で彼に会った。
外科課長のポストをめぐる熾烈な争いが終わり、本格的に後半部に突入した。医療事故で法廷紛争に巻き込まれたチャン・ジュンヒョクは後輩の医師に偽りの証言までさせ、事件を隠ぺいしようとする。しかし彼の過ちをすべて知る同僚医師チェ・ドヨン(イ・ソンギュン)が原告側証人として出廷し、事件は新たな局面を迎える。
この日、キム・ミョンミンは法廷出頭シーンを撮影していた。
◆外科医師という立場=劇中の彼は国立大病院の外科専門医だ。公開を控えた映画『千枚の舌』でも外科医師役を演じ、MBC医学ドキュメンタリー『ドクターズ』も進行している。あちこちで「医師はハマリ役」といわれる。
しかし1996年SBS公式採用6期としてデビューした当時、彼から医師をイメージした人はほとんどいなかった。「演技のうまい俳優」と評価された部分はあっても主演級を演じられるとは誰も予想しなかった。
彼は徹底して演技に備える俳優として有名だ。今回も練習用手術装備で家で練習し、実際の手術室も随時に見学した。レジデントたちと酒の席もよく持った。彼は「行動はもちろん、考え方まで「本当に医師チャン・ジュンヒョク」に変身したおかげで『医師らしい』とわれるようだ」と言った。
◆俳優も組織人=キム・ミョンミンは大学卒業後、ずっと俳優の世界にいる。「組職生活」より「個人の能力」が重要のような所だ。そんな彼が非情な病院組職の中でうまく渡っていくキャラクターをどうこなすことができただろうか。彼は「俳優の世界も一般社会と全く違うところがない」と答えた。課長や局長のような昇進はないが、良い機会をつかむため、またこれを維持するために熾烈な競争をしなければならないからだ。その範囲が職場に限らないから、もしかしたらもっと難しい競争かもしれないと言った。
彼は「マキャヴェッリ」チャン・ジュンヒョクを弁護した。彼の成功が卑劣な手口や富裕なしゅうとによるものではないということ。「手術の天才」と呼ばれるほどの実力が裏付されたから頂点に立つことができたと説明した。芝居も同じだと言った。実力と運が同時につかなければならないという。そんな面で「俳優の人気は賭博のようだ」と話す。それならドラマが立て続けにヒットし、スターの仲間入りしたキム・ミョンミン本人の場合は?彼は「運の方が少しまさった」と謙遜した。
◆芝居の妙味は変化=映画デビュー作である『鳥肌』(2001年作)でタクシー運転手役を演じたキム・ミョンミンは、これまで李舜臣(イ・スンシン)から町のチンピラまで多様な役を演じてきた。医者の役はこのドラマで終わりだと言った。次の映画では『刑事』役だ。短い期間に随時に役を変えるには困惑するところもある。彼はそれよりもっと大変なのは「1つのドラマの中で微妙に芝居を変えること」だと強調した。『白い巨塔』でも少しずつ彼の芝居が変わっている。これまで彼が見せた鋭い演技力は実際は押さえ気味なもの。彼は「シナリオをもらった後、チャン・ジュンヒョクが外科課長に上がってからの方がストレスを受けると判断した」とし「だから後半部では表情や発声でもっと果敢に演じている」と明らかにした。
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