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昨年、鄭鎮ソク(チョン・ジンソック)大主教が任命されたことで、韓国には2人の枢機卿がいる。 枢機卿はカトリックのローマ法王を選出する権限を持つ重要な職位だ。 ローマ法王を選出すること以外に、法王庁内の聖省と官庁の長官職を預かる。 ローマ法王が象徴なら、枢機卿はその下で各種の行政と事務を執行する人物だ。 それだけカトリックの実質的な運用で核心となる位階である。
枢機卿は英語でカーディナル(cardinal)。 語源は後に元老院を指すことになったラテン語のカルド(carde)だ。 その本来の意味は蝶番だ。 出入りする扉で核心的な役割をする装置である。 カトリックの中で枢機卿という階位が占める比重と役割を含蓄的に表現している。
漢字の枢は同じく心棒を意味する字だ。 扉の軸を動かすものや、その下に彫られた溝を意味する。 枢という一字に位階を意味する卿を書くだけでも「カーディナル」、すなわち現在の枢機卿の意味は十分に表すことができる。
しかし機という字が一つ付け加えられた。 機は弓よりも矢をもっと遠く飛ばせる弩の発射装置を意味する。 軸を形成する枢と矢を飛ばすのに決定的な役割をする機という字を合わせてできた「枢機」という言葉は、すなわち事物の核心を称する。
枢機卿という訳語に先立って「枢機」という言葉が初めて登場するのは「易」の「繋辞」編だ。 「言行は君子の枢機(言行、君子之枢機)」と出ている。 次の一節は「枢機という核心機能が発動することに栄誉と恥辱がかかっている」という敷衍だ。
人の言行がすなわち枢機ということだ。 いわば、行動というものは人の運命を決定するほど重要かつ核心的な領域という意味だ。 これを誤れば、名誉どころか恥辱を受けることになるという教えだ。 知識がある人として、他人に対する言葉と行動を慎重に、かつ堂々と備えるしかない理由だろう。
団体食言が乱舞している。 まだ数は分からないが、「開かれたウリ党」(ウリ党)議員の相当数がわずか数年前の言葉と行動を覆し、離党したり離党する態勢だ。 聖職者である枢機卿の職名訳語にまであがり、東洋の最高徳目をも表す「枢機」に、彼らは逆らおうとしている。 言葉と行動が異なる議員らに韓国政治を任せるのか。蝶番がない扉はきちんと開閉することもできないのだが…。
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