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ニューヨーク市の大通りで、ある男性が1分間、空を眺めた。 歩行者のほとんどがそのまま通り過ぎ、4%程碓が同じように空を見上げた。 空を眺める人の数を増やすと、同じく空を見上げる通行人の数も増えた。 5人が空を眺めると通行人の8%が、15人だと40%が空を見上げた。
「社会的証拠(social proof)現象」に関する有名な心理学実験だ。 人々は多数の行動である「社会的証拠」に従えば失敗を減らせると考え、他人の行動に従う。
テレビコメディーに挿入される‘にせ笑い声’、ベストセラーであることを強調する商品広告がこれに属する。 コメディー番組の笑い声は馬鹿げていてぎこちないが、視聴者は他人の笑い声を聞い쒂もっと頻繁かつ長く笑い、その番組をもっと面白く感じることが調査で確認されている。 恵まれない隣人を助けるための募金をしながら寄付者の名簿を報道したり、教会で献金かごを回したりするのも、この効果を狙ったものだ。
しかし社会的証拠が常に真実とは限らない。 むしろ真実に反するケースが多い。 現代メディアや広告で人気や流行の名前でよく行われる世論操作の心理的機制が、まさに社会的証拠といえる。
「インターネット時代の盟主」ポータルからも社会的証拠を見つけることができる。 議題設定や世論形成に大きく寄与する人気検語がその一つだ。 人気検索語は目立つ位置に配置され、直ちに世論を反映しているかのようにリアルタイム順位を変える。 不正確で偏向的な情報や末梢的問題も多いが、人気検索語という名前の下に括られれば直ちに強力な社会的証拠効果を出す。
次のようにだ。 よく知らない名前や単語が人気検索語に入っている。 人々はこれがなぜ人気検索語なのかと思ってクリックする。 自分自身の関心ではないが、他人の、あるいは社会的な関心事という前提でだ。 また検索順位が上がる。 実際に情報として価値があるかどうかは重要でない。 さらには、当規から多くの人々が本当に関心があったことかどうかも重要でなくなる。
「名士とは、その人が広く知られているという点が広く知られている人」という言葉がある(ダニエル・ブアスティン)。 この言葉を借りると、人気検索語とはただ多く検索されたという事実が広く知られているだけで、それ以上でもそれ以下でもない。 問題はこうした社会的証拠効果を通して人気検索語がいつの間にか社会的に主要な主題として‘公認’されるということだ。 ポータルが世論操作容疑から自由ではあり得ない理由である。
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