各国の指導者の葬式は申し分のない外交舞台だ。 使節は弔問だけをするのではない。 該当国、他の使節と会談したり、接触する。 弔問外交だ。 喪服外交とも呼ばれる。

１９８０年５月。 チトー・ユーゴ大統領の葬式に１２３カ国の使節団が出席した。 首脳級だけで５８人。 閣僚は名刺などあげられなかった。 ユーゴ官営のタンユグ通信は次のように打電した。 「人類の首脳会談」だと。 最も注目された人物は、ブレジネフ旧ソ連共産党書記長。 非同盟路線のチトー大統첗が目のかたきだったのに姿を現した。 ユーゴを衛星国に回帰させようとする布石に思われた。 米国側の団長はモンデール副大統領。 カーター大統領の無神経さは世論に袋叩きされる。 葬式を契機に東・西ドイツの首脳会談も実現された。 有力な指導者が死んでこそ東西陣営の首脳らが一カ所に集まることができた冷戦時代の話である。


８９年２月、昭和天皇の葬式当時、弔問外交の主役は銭其しん中国副総理。 当時、日中関係は冷え込んでいた。 「（第２次世界大戦を）侵略戦争に見なしがたい」という竹下首相の国会答弁のためだ。 銭副総理は竹몉首相に会い事態を収拾する。 同氏は６７年以来、断絶されたインドネシアとの国交正常化の扉も開けた。 スハルト大統領との会談のときだ。 日本の新聞に「賃席外交」という造語が登場した。 竹下氏は４０回の首脳会談を消化した。 老政治家の強行軍。 点滴を注射しなければならなかった。


２０００年６月の小淵首相の葬式は、南北（韓国・北朝鮮）首脳会談を直前に、韓米日の意見を調整する舞台となった。 ３カ国の首脳が、連続的に２国間協議を行なった。 クリントン米大統領は日帰りで立ちよった。 国内外の厳しい日程のため。 「中国重視첂アジア外交」を展開する、という日本内の世論を意識した足取りだったという。 クリントン氏は９５年、ラビン・イスラエル首相の葬式時には、行政府をいっそのことエルサレムに移した。 主要閣僚と補佐官が同行した。 使節団の規模や団長の職級は、葬儀が行なわれる国との関係を示す尺度だ。 弔問外交は、新しい指導者を探索する機会でもある。

潘基文（パン・キムン）外相が橋本元首相の葬式に出席するため、一昨日訪日した。 麻生外相、安倍官房長官に会った。 安倍氏は来月に選ばれる次期首相に最有力視される人物。 ギクシャクする韓日횊係から考えれば、弔問外交がつないでくれた会同だ。 安倍氏は「未来志向の韓日関係を強化することに貢献したい」と述べた。 今回の弔問外交で、両国は関係復元の糸口を見いだせるだろうか。