![]() |
|
ジョージ・ハッケンシュミットの得意技は「熊の抱擁(Bear Hug)」だ。 相手を抱え上げて腕で腰を締め付け、ろっ骨を砕くほど威力がある技だ。 元ボディービルダーであり筋肉の塊りであるハッケンシュミットの‘ベアハッグ’にかかると、誰も逃れることはできなかった。 彼はこの技で無敗を誇り、1905年に世界チャンピオンになった。
当時のメディアは彼を「ロシアのライオン」と呼んだ。 彼の技がロシアのあいさつ方法に似ているという点に着眼したネーミングだった。 ロシアでは男女を問わず、親しい人同士は息が詰まるほど強く抱きしめ合う‘ベアハッグ’式のあいさつをする。 ハッケンシュミットが登場した後、‘ベアハッグ’はプロレスの代表技として定着した。
この技は証券市場でも凄まじい威力を発揮した。 株式市場用語に変われば‘ベアハッグ’は企業ハンターらがエサに選んだ企業の経営者に送る手紙を意味する。 レスリングのように、一度抱えられると簡単には逃れられないという意味で付けられた。 手紙には「あなたの会社をいつ、いくらで引き受ける」という具体的な内容が含まれる。 普通は隠密に行われるため、内容が公開されることはほとんどない。
しかし技を掛ける側がいつも勝つわけではない。 逆にハンターのろっ骨が砕けるケースもある。 よい例がヒルトンホテルだ。 1997年2月、ヒルトンホテルの最高経営者スティーブン・ボーレンバックは、ウォーカーヒルを系列会社とするITTの最高経営者ランド・アラスコグに手紙を送った。
「親愛なるアラスコグ氏へ。 われわれは貴方の拒否に失望したが、この提案が依然としてITTにとって助けになると信じ…。 ITTがわれわれの公開買い付けを防御する行為を直ちに中断することを望む」
しかしアラスコグは断固拒否した。 売れるものはすべて売りながらヒルトンの公開買い付けに対抗した。 ボーレンバックは3回も公開買い付けを延長し、委任状対決まで繰り広げたが、結局、翌年11月にお手上げ状態となった。 大きな損失を出したまま。 長々と10カ月。米国史上最も長い公開買い付けだった。
KT&G事態が佳境に入った。 米国の企業ハンター、カール・アイカン側は最近、KT&Gに‘ベアハッグ’をした。 手紙を送り、1株当たり6万ウォン(約7000円)で株式を買うと伝えた。 事実上の公開買い付け宣言だ。 これをメディアにこっそり流したりもした。
KT&Gがきっぱり拒否すると、「失望した」と遺憾の意を表した。 言葉は遺憾であるが、「今に見てろ」に間違いない。 腹をいっぱいに満たすまでは簡単にヘアハッグを解きそうもない。 アイカン側か、KT&Gか、どちらかのろっ骨が砕けそうだ。
この記事を読んで…