映画『王の男』が政界で話題となっている。


盧武鉉大統領が夫人の権良淑（クォン・ヤンスク）女史とともに２１日、ソウル市内の映画館ロッテシネマで『王の男』を観覧した。


大統領が一般の映画館で観覧したのは就任後初めてのことだ。警護の問題で市民らに迷惑をかけるかもと午前９時４０分に早朝観覧をしたということだ。李炳浣（イ・ビョンワン）秘書室長ら参謀も一緒に鑑賞した。

それだけではなかった。ハンナラ党では李在五（イ・ジェオ）院内代表、田麗玉（チョン・ヨオク）、鄭柄国（チョン・ビョングク）、朴亨埈（パク・ヒョンジュン）、朴勝煥（パク・スンファン）、金姫廷（キム・ヒジョン）議員らがこの映画を鑑賞したという。開かれたウリ党では院内代表選挙に出た裵基善（ペ・ギソン）議員、文化観光委員所属の金才允（キム・ジェユン）議員らが観覧している。

『王の男』は初めは、燕山君（ヨンサングン）時代を背景にした「宮廷人形劇」と知られていただけだった。しかし公開後「政治風刺劇」「政治スリラー」性が強いといううわさが広まり、中年男性たちが興行隊列に介入した。

◇『王の男』の政治的コード＝人気の表面的理由はよく描かれた映画の構造と俳優らの好演だ。

女装の男コンギル役の「花美男（美男子）」俳優イ・ジュンギは人気がうなぎのぼりだ。しかし『王の男』の底力は王権政治が臣権政治と葛藤するスリラー的な設定に権力風刺的な要素が加わったことというのが映画関係者たちの分析だ。

映画で燕山君は王権の強化に重きを置いた人物として描かれる。しかしいつも臣下たちに意見が無視されると側近内官に「私は本当に王なのか。先王が決めた法道に縛られて生きる私は王なのかと…」と訴える。これはインターネットで映画の名ゼリフに挙げられている。

『王の男』イ・ジュンイク監督は「この場面は盧大統領が自分が大統領なのかと再信任を尋ねたことと似ている」とし「このような状況が大統領支持者たちには哀れに見えるだろうが、ハンナラ党支持者たちには大統領が野党を無視して抑圧するものと理解されるかもしれない」と分析した。

ウリ党の金才允議員は「歴史でいつも王が志向するところと臣下たちの志向するところが違い、葛藤があったが、この映画にもそのような場面がよく表れている」とし「現在の状況とも似ている」と話している。

また映画の中で宮廷に入って来た芸人たちは、燕山君が王権に反する臣下たちを除く手段として利用される。

これを一角では盧武鉉大統領のネチズン政治にたとえる。田議員は「芸人という集団を利用して政敵を除外していくのを見ながら、インターネットを動員して新勢力を形成する盧大統領の政治スタイルを思い浮かべた」と述べた。

◇盧大統領はどのように映画を見ただろうか＝盧大統領は映画観覧後、参謀たちに「ストーリーを組み立てたその想像力が素晴らしかった」と短く鑑賞評を述べた。

映画で燕山君は生母にまつわる暗い過去により、胸の中に怒りを抱いている人物として描写されている。そんな点から保守勢力について根深い反感を表した盧大統領のキャラクターとつながる部分もある。

イ・ジュンイク監督は「盧大統領は保守既得権を象徴する臣僚と葛藤する王の境遇が自身と似ている点があると感じたかもしれない」と話している。