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軽犯罪処罰法からは韓国の社会像をうかがうことができる。 1954年の制定当時には、暖房用の煙突を放置しても、道端でヘビを売っても、処罰することになっていた。私的にダンス教習をしたり、劇場などで割り込みをする行為も同じだった。
63年の改正時には、迷信的な手段で病気を治療すると言いながら人の心を惑わせる迷信療法、人を辱めたり不快感を与える過剰露出などの条項が追加された。
73年には長髪取り締まりや流言飛語が加わった。 流言飛語条項は、維新体制に対する批判を防ぐための道具として頻繁に悪用された。 70、80年代に警察官がこん棒、はさみ、バリカンを持って長髪族を追いかけ、ミニスカート姿の女性を捕まえてひざ上に30センチの物差しをあてる‘珍風景’は、長髪取り締まりと過剰露出条項がきっかけだった。 長髪取り締まりと流言飛語は88年に削除された。 過剰露出はミニスカートに続き、90年代「へそ出しTシャツ取り締まり」論議を呼び、現在でも有効だ。
こうした変化の中で、軽犯罪処罰法は今でも大枠をそのまま維持している。 その間、2500ウォンだった反則金は89年に2倍に引き上げられ、91年には6倍にも跳ね上がった。 現在は10万ウォン(約1万円)だ。 現行54条項の中には‘死文化’したものも多い。 煙突は追憶の中に消え、ダンスはもはや退廃文化を象徴しない。 ヘビを売る露天商もいない。
処罰条項も非常にあいまいだ。不安感の醸成、要扶助者(助けを必要とする人)など申告不履行などの違反がそうだ。 請客行為条項を持ち出すと、客引き行為で客を招く市場の商人はすべて潜在的犯罪者となる。‘飴屋の好き勝手’に法の適用が可能だ。
警察庁が軽犯罪処罰法の全面改正を推進することにした。 現実とかけ離れた条項が多く、前科者を量産するという指摘によるものという。 この一年間に119万人余が法を違反した。
ギリシャ神話には「プロクルステスの寝台」が登場する。 旅館主人のプロクルステスは自分の寝台を世の中の基準と考えた。 プロクルステスは、寝台より背が大きい客なら足を切断し、逆の場合は足を打ち伸ばした。 軽犯罪処罰法がプロクルステスの寝台になっている。 法は時代によって変わらなければならない。
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