日本の世界的経営コンサルタント兼経済評論家の大前研一氏(62)が、北朝鮮核問題について口を開いた。 大前氏とのインタビューは、17日、東京千代田区にある彼の事務室で2時間ほど進行された。
--北朝鮮が本当に核兵器を保有したと考えているか。
「そう思う。北朝鮮が核爆弾を製造したとすれば、それはプルトニウムタイプであるはずだ。 すなわち‘長崎型’となる。 北朝鮮が再処理を通じてプルトニウムを抽出したのは既定事実だ。 核連鎖反応を触発する臨界質量に到達するための激発装置開発が次の関門だが、これも難しい技術ではない。 インターネットからでも入手できる。 だが濃縮ウランを利用した核爆弾、すなわち‘広島型’を開発した可能性はまだないと考えている。 核爆弾製造に必要なレベルの高濃縮ウランを生産するのは技術的に難しく、費用もかかる」
--核実験をしない以上、北朝鮮の核保有は断言できないのでは。
「プルトニウムタイプの場合、最初の激発が問題だ。 北朝鮮が核実験をしても、最初のテストで成功する確率は50%とみている。 このため一連の核実験が必要だが、北朝鮮の問題は場所が適当でないという点だ。 もう一つの問題は核弾頭を飛ばすミサイル技術。 北朝鮮はすでに長距離ミサイルを開発したというが、核弾頭を搭載したミサイルを正確に目標地点に送り、そこで爆発させられるかは別の問題となる」
--北朝鮮の核保有が最終確認された場合、日本も核武装に動くのか。
「その可能性は大きい。 日本はその気になれば90日以内に核爆弾を製造し、ミサイルに搭載できる技術的能力を持っている。 われわれはすでに大陸間弾道弾(ICBM)水準のミサイル(ロケット)を保有しており、50トン以上のプルトニウムを備蓄している。 核爆弾2000基を製造できる分量だ。 日本はすでに30~40年前、原爆製造に必要なあらゆる実験を終えた。 日本が核武装をしないのは国民情緒のためだ。 9割の日本人が核兵器の開発に反対している。 広島と長崎の悪夢のためだ。 しかしわれわれが北朝鮮核兵器の実質的脅威を受ける状況になれば、世論は急変するはずだ」
--米国が反対するのでは。
「必ずしもそうとは考えていない。 米国と日本は軍事的に非常に近い同盟になった。 われわれがイラクに派兵した背景の一つは、日本の自衛隊は米軍と同じだという米国側の判断のためだ。 要するに、米国は日本の核武装を米国の核武装と同一に受け止める可能性があるということだ」
--日本の核武装は核拡散防止条約(NPT)のため不可能ではないのか。
「米国さえ決心すれば、いくらでも変えられる問題だ。 日本が北朝鮮核兵器の深刻な脅威に直面する状況になれば、小泉首相はブッシュ大統領と談判し、核武装への支持が得られると考えている。 いまブッシュ大統領と小泉首相は危険なほど近づいている。 米国はいま、イラクやイラン、シリアなど中東に集中しているが、韓国と日本に対する北朝鮮の脅威が実体化する状況になれば、力をここに移すしかない。 しかし財政的・物理的に韓国と日本の両方を保護するのが難しいと考えた場合は、日本の自衛手段を認める可能性が高い。 すでに日本は米国とミサイル防御(MD)体制を共同開発している」
--6カ国協議では北朝鮮核問題を解決できないというのが大前氏の見方だが、代案はあるのか。
「北朝鮮を見る目と思惑が各国間で異なる状況では解決は不可能だ。 中国の役割が期待されているが、これはおかしな話だ。 中国は北朝鮮の崩壊を望んでいない。 北朝鮮国内で流通する商品の8割が中国産だ。 北朝鮮は中国の経済植民地のようなものである。 自分よりも貧しい国がそばにあることでも中国としては気持ちが満たされる。 冷戦時代に中国は、中東など反米国家に対する武器輸出が米国によって不可能になると、北朝鮮に製造技術を供給し、輸出することにした。 中国のシルクウォームミサイルを真似て作ったスカッドミサイルがその代表だ。 武器輸出に関する限り、北朝鮮は‘影の中国’というわけだ。 中国が北朝鮮に圧力を加えることになれば、北朝鮮は中国に対して『われわれに武器を作って売らせたのは中国だ』と問いただすはずであり、中国としては非常に困惑する状況となる。 こういう中国に期待すること自体がおかしい」
--では方法はないのか。
「米国が北朝鮮と談判しなければならない。 それがだめなら、北朝鮮との経済関係を一切遮断した状態で、核脅威を徹底して無視することだ。 脅威の強度を高めるため、北朝鮮が韓国や日本に向けてミサイルを発射する事態も発生しうる。 しかしこの程度は覚悟しなければならない。 湾岸戦争当時、イスラエルはテルアビフに飛んでくるイラクのミサイル恐怖に耐えた。 日本では毎年、交通事故で1万人が死亡している。 北朝鮮の脅威に引きずられるよりは、この程度の被害を甘受する方がよい。 そうすれば、北朝鮮は自ずと崩壊の道に進むしかない」
--あまりにも一方的な考えではないか。
「私は常に、北朝鮮体制は結局崩壊するしかないと話してきた。 問題は、韓国の統一への対策だ。 韓国人と話をすると、韓国人はいつも‘韓国はドイツとは違う’と言う。 韓国には西ドイツのような経済的能力がなく、ドイツ式の吸収統一を望んでいないと、韓国人は話す。 韓国人は胸に手を当ててよく考えるべきだ。 本当に統一を望んでいるのか、それともただ北朝鮮を経済植民地として利用したいだけなのか。 統一よりも北朝鮮の労働力を安く活用することで、現在の繁栄を維持することにもっと関心があるのでないか。 だから北朝鮮政権崩壊の可能性にも顔を背けているのではないか」
--北朝鮮が本当に核兵器を保有したと考えているか。
「そう思う。北朝鮮が核爆弾を製造したとすれば、それはプルトニウムタイプであるはずだ。 すなわち‘長崎型’となる。 北朝鮮が再処理を通じてプルトニウムを抽出したのは既定事実だ。 核連鎖反応を触発する臨界質量に到達するための激発装置開発が次の関門だが、これも難しい技術ではない。 インターネットからでも入手できる。 だが濃縮ウランを利用した核爆弾、すなわち‘広島型’を開発した可能性はまだないと考えている。 核爆弾製造に必要なレベルの高濃縮ウランを生産するのは技術的に難しく、費用もかかる」
--核実験をしない以上、北朝鮮の核保有は断言できないのでは。
「プルトニウムタイプの場合、最初の激発が問題だ。 北朝鮮が核実験をしても、最初のテストで成功する確率は50%とみている。 このため一連の核実験が必要だが、北朝鮮の問題は場所が適当でないという点だ。 もう一つの問題は核弾頭を飛ばすミサイル技術。 北朝鮮はすでに長距離ミサイルを開発したというが、核弾頭を搭載したミサイルを正確に目標地点に送り、そこで爆発させられるかは別の問題となる」
--北朝鮮の核保有が最終確認された場合、日本も核武装に動くのか。
「その可能性は大きい。 日本はその気になれば90日以内に核爆弾を製造し、ミサイルに搭載できる技術的能力を持っている。 われわれはすでに大陸間弾道弾(ICBM)水準のミサイル(ロケット)を保有しており、50トン以上のプルトニウムを備蓄している。 核爆弾2000基を製造できる分量だ。 日本はすでに30~40年前、原爆製造に必要なあらゆる実験を終えた。 日本が核武装をしないのは国民情緒のためだ。 9割の日本人が核兵器の開発に反対している。 広島と長崎の悪夢のためだ。 しかしわれわれが北朝鮮核兵器の実質的脅威を受ける状況になれば、世論は急変するはずだ」
--米国が反対するのでは。
「必ずしもそうとは考えていない。 米国と日本は軍事的に非常に近い同盟になった。 われわれがイラクに派兵した背景の一つは、日本の自衛隊は米軍と同じだという米国側の判断のためだ。 要するに、米国は日本の核武装を米国の核武装と同一に受け止める可能性があるということだ」
--日本の核武装は核拡散防止条約(NPT)のため不可能ではないのか。
「米国さえ決心すれば、いくらでも変えられる問題だ。 日本が北朝鮮核兵器の深刻な脅威に直面する状況になれば、小泉首相はブッシュ大統領と談判し、核武装への支持が得られると考えている。 いまブッシュ大統領と小泉首相は危険なほど近づいている。 米国はいま、イラクやイラン、シリアなど中東に集中しているが、韓国と日本に対する北朝鮮の脅威が実体化する状況になれば、力をここに移すしかない。 しかし財政的・物理的に韓国と日本の両方を保護するのが難しいと考えた場合は、日本の自衛手段を認める可能性が高い。 すでに日本は米国とミサイル防御(MD)体制を共同開発している」
--6カ国協議では北朝鮮核問題を解決できないというのが大前氏の見方だが、代案はあるのか。
「北朝鮮を見る目と思惑が各国間で異なる状況では解決は不可能だ。 中国の役割が期待されているが、これはおかしな話だ。 中国は北朝鮮の崩壊を望んでいない。 北朝鮮国内で流通する商品の8割が中国産だ。 北朝鮮は中国の経済植民地のようなものである。 自分よりも貧しい国がそばにあることでも中国としては気持ちが満たされる。 冷戦時代に中国は、中東など反米国家に対する武器輸出が米国によって不可能になると、北朝鮮に製造技術を供給し、輸出することにした。 中国のシルクウォームミサイルを真似て作ったスカッドミサイルがその代表だ。 武器輸出に関する限り、北朝鮮は‘影の中国’というわけだ。 中国が北朝鮮に圧力を加えることになれば、北朝鮮は中国に対して『われわれに武器を作って売らせたのは中国だ』と問いただすはずであり、中国としては非常に困惑する状況となる。 こういう中国に期待すること自体がおかしい」
--では方法はないのか。
「米国が北朝鮮と談判しなければならない。 それがだめなら、北朝鮮との経済関係を一切遮断した状態で、核脅威を徹底して無視することだ。 脅威の強度を高めるため、北朝鮮が韓国や日本に向けてミサイルを発射する事態も発生しうる。 しかしこの程度は覚悟しなければならない。 湾岸戦争当時、イスラエルはテルアビフに飛んでくるイラクのミサイル恐怖に耐えた。 日本では毎年、交通事故で1万人が死亡している。 北朝鮮の脅威に引きずられるよりは、この程度の被害を甘受する方がよい。 そうすれば、北朝鮮は自ずと崩壊の道に進むしかない」
--あまりにも一方的な考えではないか。
「私は常に、北朝鮮体制は結局崩壊するしかないと話してきた。 問題は、韓国の統一への対策だ。 韓国人と話をすると、韓国人はいつも‘韓国はドイツとは違う’と言う。 韓国には西ドイツのような経済的能力がなく、ドイツ式の吸収統一を望んでいないと、韓国人は話す。 韓国人は胸に手を当ててよく考えるべきだ。 本当に統一を望んでいるのか、それともただ北朝鮮を経済植民地として利用したいだけなのか。 統一よりも北朝鮮の労働力を安く活用することで、現在の繁栄を維持することにもっと関心があるのでないか。 だから北朝鮮政権崩壊の可能性にも顔を背けているのではないか」
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