全羅北道群山市開福洞（チョンラブクド・クンサンシ・ケボクドン）にある売春街で、監禁されたまま売春行為を行い、２００２年１月に火災で死亡した女性らの遺族に対し、国と地方自治体には賠償責任がないとの判決が出た。これは、２０００年９月、群山市大明洞（テミョンドン）にある売春街の火災で死亡した３人の売春女性の遺族に対し、国の賠償責任を認めた判決と交錯するもの。

ソウル中央地法民事合意１７部は、火災で死亡した売春女性１３人の遺族２４人が、国と群山市、全羅北道、事業主の李（イ、３９）氏夫婦を相手に起こした損害賠償訴訟で、事業主側に対し「１人あたり１０００万～１億９０００万ウォン（約９５万～１８２０万円）を支払うように」と判決した。 ソウル中央地法民事合意２９部も、同様の事故で死亡した黄（ファン、当時２９、女）さんの戸籍上の夫である安（アン、４７）さんが起こした訴訟で「李氏夫婦は、８２００万ウォン（約７９０万円）を支払うように」と判決した。

一方で裁判部は国の責任について「２０００年９月、大明洞の火災以後、警察が遊楽街で働く女性を対象に詳しい聞き込みを行ったが、監禁行為などの申告はなく、火災予防を警察業務とみなすのは難しい」とし、責任を認めなかった。 また消防管理の責任がある群山市などに対しても「外観上特殊監禁の錠と識別するのは困難。消防公務員らの職務上義務違反と火災との間に、直接的な因果関係があるとみなすのは困難だ」とした。


同事件は、群山市開福洞の２階建てのキャバクラで発生した火災で、売春行為をさせられていた女性が煙にまかれて窒息死したもの。これについて遺族が、国などを相手に３１億６０００万ウォン（約３億２００万円）余りの損害賠償訴訟を起こしていた。