龍飛御天歌(ヨンビオチョンガ、朝鮮時代1445年に作られた楽章のひとつ)は、神話と奇跡と自負心に満ちている。ハングルで作られた初めての長編の叙事詩歌だ。世宗(セジョン、朝鮮時代第4代王)大王が、鄭麟趾(チョン・インジ)、権第(クォン・ジェ)、安止(アン・ジ)3人の学者に要請し、作品を完成した年は1445年だ。
太祖・李成桂(テジョ、イ・ソンギェ=朝鮮第1代王)が、崔瑩(高麗時代の名将)と鄭夢周(高麗時代の学者)を次々と撃殺、恭譲王(コンヤンワン、高麗時代最後の王)を遠い島に送り、王の名字を持つ高麗(コリョ、918~1392)時代の王族を一カ所に集めて水葬させた後、朝鮮王朝を創建してから53年目になる年だ。
太宗・李芳遠(テジョン、イ・バンウォン、朝鮮時代第3代王)が2回にわたる「王子の乱」(朝鮮初期、王位の継承権をめぐって、太祖李成桂の王子らの間で行われた乱のこと)を通じて途方もない血を流させた後、在位してから45年が過ぎたときだ。
この作業は、2人とその以前の4代にわたる祖先に、天が与えた神秘たる自然現象を記録することから出発した。
「遠くの木に座っているカササギ2匹を弓で射ち落としたが、大きな蛇が現れカササギを木の上に取り戻した後消え去った。人々が不思議に思い褒め称えた」。
「ドクウォンに巨木1本が枯れ死んでから数年が経ったが、李氏王朝が開国する1年前に死んだ木から新しい葉が出ていた。人々は、開国の前兆と受け止めた」。
不思議なストーリーに基づいて作成された呪術的な諸詩句が、龍飛御天歌に次々と出てくる。権力の正当性を天心から見出そうとした努力だった。
現代の権力世界で龍飛御天歌は、執権者への忠誠の誓いや見苦しい追従を意味する用法として定着した。龍飛御天歌は、執権者との隠密な会合で活力を示す。効果も十分だ。最初、龍飛御天歌に不慣れだった執権者も、そのうちその歌に慣れていく。帝王的な大統領は、そのようにして作られていた。
民心を読み取るのを面倒くさがったり、自らの決定を天命と同一視する帝王的な妄想は、龍飛御天歌があふれ出る権力環境から芽生えた。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領が贈り物として受けた観音竹という常緑低木から珍しく花が咲いたとき、盧氏が国会議員に当選したり、海洋水産部の長官に命じられたり、大統領に当選したりしたとの話が、その周辺で話題になっているという。自然と権力の変化に、驚異的に天が干渉していたとの暗示が敷かれてあるのだろうか。
聞かなかった振りをすればそこまでのことだが、すでに死んだ木から新しい葉が出たという、元の龍飛御天歌を思い出してしまうと、楽な気持ちにはなれない。盧次期大統領の夫人、権良淑(クォン・ヤンスク)氏が「大統領選挙があった昨年には、花が咲かなかった」と事実を正してくれたのは、幸いなことだ。
太祖・李成桂(テジョ、イ・ソンギェ=朝鮮第1代王)が、崔瑩(高麗時代の名将)と鄭夢周(高麗時代の学者)を次々と撃殺、恭譲王(コンヤンワン、高麗時代最後の王)を遠い島に送り、王の名字を持つ高麗(コリョ、918~1392)時代の王族を一カ所に集めて水葬させた後、朝鮮王朝を創建してから53年目になる年だ。
太宗・李芳遠(テジョン、イ・バンウォン、朝鮮時代第3代王)が2回にわたる「王子の乱」(朝鮮初期、王位の継承権をめぐって、太祖李成桂の王子らの間で行われた乱のこと)を通じて途方もない血を流させた後、在位してから45年が過ぎたときだ。
この作業は、2人とその以前の4代にわたる祖先に、天が与えた神秘たる自然現象を記録することから出発した。
「遠くの木に座っているカササギ2匹を弓で射ち落としたが、大きな蛇が現れカササギを木の上に取り戻した後消え去った。人々が不思議に思い褒め称えた」。
「ドクウォンに巨木1本が枯れ死んでから数年が経ったが、李氏王朝が開国する1年前に死んだ木から新しい葉が出ていた。人々は、開国の前兆と受け止めた」。
不思議なストーリーに基づいて作成された呪術的な諸詩句が、龍飛御天歌に次々と出てくる。権力の正当性を天心から見出そうとした努力だった。
現代の権力世界で龍飛御天歌は、執権者への忠誠の誓いや見苦しい追従を意味する用法として定着した。龍飛御天歌は、執権者との隠密な会合で活力を示す。効果も十分だ。最初、龍飛御天歌に不慣れだった執権者も、そのうちその歌に慣れていく。帝王的な大統領は、そのようにして作られていた。
民心を読み取るのを面倒くさがったり、自らの決定を天命と同一視する帝王的な妄想は、龍飛御天歌があふれ出る権力環境から芽生えた。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領が贈り物として受けた観音竹という常緑低木から珍しく花が咲いたとき、盧氏が国会議員に当選したり、海洋水産部の長官に命じられたり、大統領に当選したりしたとの話が、その周辺で話題になっているという。自然と権力の変化に、驚異的に天が干渉していたとの暗示が敷かれてあるのだろうか。
聞かなかった振りをすればそこまでのことだが、すでに死んだ木から新しい葉が出たという、元の龍飛御天歌を思い出してしまうと、楽な気持ちにはなれない。盧次期大統領の夫人、権良淑(クォン・ヤンスク)氏が「大統領選挙があった昨年には、花が咲かなかった」と事実を正してくれたのは、幸いなことだ。
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