中国のデパートで開かれたBIGBANGポップアップストア
アイドルが中国でポップアップストアを開くこと自体は最近始まったことではない。変わったのはそのスピードと規模だ。G-DRAGONの中国でのポップアップストアは2024年の2回から2025年には10回に増え、2026年にはすでに23回を超えた(CBN DATA)。9、10月の2カ月間だけで北京・上海・広州・深圳でK-POP関連のポップアップストアが33回開かれた。2025年の韓国のK-POPアルバムの対中輸出額は約6970万ドル(約110億円)で、前年比16.6%増加した。アルバム輸出全体の23%が中国向けだった。コンサートを一度も開かずに稼ぎ出した数字だ。
◆フォトカード経済学
歌手チャン・ウォニョンのフォトカードは原価が約4万ウォン(約4770円)だが、購入代行を通すと中国では2倍以上の価格で販売される。BTSのジョングクの限定フォトカードは希少性を背景に一時は800万ウォンを超える値がついた。仕組みは単純だ。ファン層が大きいほど、商品が希少であるほど、プレミアム価格は高くなる。
中国で販売されるK-POPのポップアップ商品は2種類に分けられる。公式オンラインショップでも購入できるアルバムやペンライトなどの商品と、現地でしか販売されない都市限定フォトカードや限定パーカーだ。「ここだけで今回限り」という条件がついた瞬間、158元(約3750円)のスリッパも300元近いパスポートケースも品薄商品になる。こうした利益率の高い限定商品が本当の収益源だ。
二次販売も完全なサイクルで回っている。「小紅書」や中古品取引プラットフォーム「閑魚」では購入代行の上乗せ料金は通常5~10%だ。転売業者は都市限定商品を大量に買い占めて中古市場で再販売する。男性アイドルグループNCTのチソンの人形グッズは販売終了の知らせを受け、130元から430元に値上がりした。もちろん芸能人のスキャンダルが発覚すれば価格は暴落する。このように株式のように価格が乱高下するのがグッズ市場だ。
中国のグッズ市場の規模は2024年時点で1689億元(約4兆円)と推計される。2029年には3000億元にまで拡大する見通しだ。
◆芸能人は行けないでもIPは行く
韓国のエンターテインメント企業にとってポップアップストアは本質的に損をすることがない商売だ。韓国の芸能人が中国で公演を行うための審査は依然としてハードルが高い。日程も手続きも規模も不確定要素だらけだ。しかしポップアップストアは違う。芸能人が現地に来る必要も、1万人が集まるコンサート会場も、当局の審査も必要ない。コンサートを開けないため、コンサートグッズだけを切り離して販売しているようなものだ。本人は来ないがIP(知的財産)は先に中国に入る。ファンが現場に集まれなくてもファンの思いはそのまま現金化される。いわゆる「影ツアー」だ。2025年、韓国の大手エンターテインメント企業4社の商品・IPライセンス収入の合計は50億元を超え、いずれも30%以上の成長を記録した。
最近では中国企業もライセンス事業の中心に積極的に参入している。運営方式は3つに分かれる。エンターテインメント企業の中国法人による直営、中国企業が会場・人件費・在庫のリスクを負担する代理運営、そしてMINISO(名創優品)式のブランドコラボレーションだ。今年3月のMINISO×ジェニーのポップアップストアは初日に単一店舗の売上高が220万元を超えた。公式グッズよりも価格を抑えることでファン層を一般消費者にまで広げた結果だ。
7月にはJYPが小芒(シャオマン)とIPライセンス・流通に関する協約を締結し、SMはテンセント・ミュージックと資本金4000万元の合弁会社を設立した。一直娯はHYBE、小芒はJYP、M2UCACはSMと組む構図が定着しつつある。単なる下請けではなく本格的なコラボレーションだ。
政策の壁によってコンサートが阻まれるほど、K-POPはより多様な形で中国の日常生活に浸透していく。コンサート会場に集まれなくても感情を満たすための消費は止まらない。韓流はライセンス事業で収益を上げ、中国の運営会社は販売業者から協力パートナーへと立場を変え、ショッピングモールは集客効果を得る。ファンは大好きなアイドルのグッズを手に入れて喜ぶ。こうした感情消費の生態系が中国で生み出している数字を我々は正しく読み取れているのだろうか。
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