書店。[写真 Pixabay]
インポートキーで確認された船荷証券(Bill of Lading・運送業者が貨物を引き受けた後に発行する証書)によると、2月23日、米バージニア州ノーフォークに貨物が到着した。オランダのロッテルダムを出発した貨物で、最初に引き受けられたのは英国のグレンジマウスだった。
興味深いのは売り手と買い手だ。売り手は、米AI企業アンソロピックが書籍の調達・配送のために契約した会社「ベター・ワールド・ブックス」(Better World Books・BWB)の英国法人で、買い手はアンソロピックが書籍のスキャンを委託した会社「データメーション」(Datamation)だった。船荷証券の貨物説明欄には「Used Books, Books」(古本、書籍)と記載されていた。貨物の重量は13.748トンだった。
4月30日に米国に到着した貨物も同様だった。貨物説明欄には「Used Books」と記載され、売り手と買い手もBWBとデータメーションだった。出発港だけが異なり、ベルギーのアントワープだった。貨物の重量は12.703トンだった。2月と4月の貨物を合わせると、書籍1冊の平均重量を400グラムと仮定した場合、計約6万6000冊に相当する。
つまり、いずれの貨物も、アンソロピックの書籍調達を担う会社が、アンソロピックと契約する書籍スキャン会社に古本を送ったものだった。
「バーツ対アンソロピック」訴訟の過程で明らかになった、アンソロピックによる書籍を使ったAI学習の方法も同様だった。BWBが書籍を集めてデータメーションに送ると、データメーションは油圧裁断機で本の背を切り落としてスキャンし、電子ファイルをアンソロピックに渡した後、書籍を廃棄する。米国の裁判所に提出された文書によると、データメーションは6カ月間で50万~200万冊をスキャンできると説明していた。アンソロピックは、データメーションから受け取ったファイルをトークン(AIが処理するデータの最小単位)に変換し、AIの学習に使用する。
今年初めから欧州では「不審な古本の大量注文」が相次ぎ、AI企業が古本を買い集めているのではないかとの疑念が強まっていた。
8月、英日刊紙ガーディアンの記事に、ある古書店の店主のインタビューが掲載された。店主は、1月から書籍6000冊を購入したいという注文を受けていたと明らかにした。大量購入にもかかわらず、買い手は値引きを求めず、最高価格を支払ったという。店主は「業界では一般的なやり方ではない」と語った。また、ドイツの古書店には未明に大量の注文が突然殺到し、アイルランドの古書店には、20年ほど前のアイルランド政府の特別貯蓄奨励口座(SSIA)について説明した投資案内書のような本を購入したいという注文が入った。
最近、韓国でもAI企業が背後にいると疑われる古本の大量注文に関する問い合わせがあった。米国企業B社は8月、韓国のオンライン書店YES24とアラジンが運営する古書店に電子メールで連絡し、「コンテナ単位で古本を購入したい」と伝えた。
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