バンス米副大統領[写真 AFP=聯合ニュース]
今回の論争は、5日にショーン・パーネル国防総省首席報道官がX(旧ツイッター)に「ヘグセス長官がジハーディスト(イスラム聖戦主義者)のニダル・マリク・ハサンに対する銃殺刑の執行を勧告し、トランプ大統領がこれを承認した」と投稿したことから始まった。ヘグセス長官は8日、保守系メディア「リアル・アメリカズ・ボイス(Real America's Voice)」とのインタビューで、「軍人で構成された銃殺隊がハサンの死刑を執行する」とし、「人々は(銃殺の様子を見て)このような行為にどれほど重大な代償が伴うのかを知る必要がある」と述べた。同日、国防総省は今回の死刑執行を生中継する計画を発表した。
死刑執行は12月3日午後1時、テキサス州のフォートフッド基地で行われる予定だ。ヘグセス長官は、この日がハサン死刑囚が銃を乱射した日と同じ木曜日に当たり、執行時刻も事件の発生時刻に合わせたと説明した。
陸軍の精神科医官(少佐)だったハサン死刑囚は、2009年11月、フォートフッド基地で「アラーフ・アクバル」(アラビア語で「神は偉大なり」の意味)と叫んだ後、銃を乱射し、軍人13人を殺害、32人を負傷させた。2013年、軍事裁判所で計画的殺人の罪により死刑判決を受けた。ハサン死刑囚は裁判で、イスラム教徒としてアフガニスタンへの派兵を控えてストレスを感じていたとし、アフガニスタンのイスラム教徒を戦争から守るために犯行に及んだと主張した。
米軍が自国の軍人に対して死刑を執行するのは、1961年4月に陸軍二等兵ジョン・ベネットを強姦・殺人未遂の罪で絞首刑に処して以来、65年ぶりとなる。銃殺刑は、第2次世界大戦中の1945年1月に脱走兵に対して執行されたのが最後だ。公開処刑が最後に行われたのは、さらに昔のことだ。1936年、黒人男性レイニー・ベシーが白人女性に性的暴行を加えた罪で、ケンタッキー州で公開絞首刑に処されて以来、90年ぶりとなる。生中継は前例がない。
しかし、今回の決定をめぐり、各方面から強い反発が出ている。ローマ教皇レオ14世は「世界死刑廃止デー」の10日、Xに「死刑は人間の不可侵性と尊厳に対する攻撃であり、容認できない」と投稿し、反対の声を上げた。ステファン・ドゥジャリク国連事務総長報道官も「政府が誰かを生中継のカメラの前で処刑することは、嫌悪感を覚える行為だ」と批判した。
米保守陣営からも反対の声が相次いだ。バンス副大統領は9日、「彼(ハサン)が多くの罪のない人々を残虐に殺害した人物であることを忘れないでほしい」としながらも、「率直に言って、すべてが生中継されるのであれば、私は見ない」と述べた。共和党のトム・ティリス上院議員も「イランやアフガニスタンのような抑圧的な独裁国家がするようなことが、米国で起きてはならない」と語った。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「公開処刑はイラン、北朝鮮、アフガニスタン政府などでしか行われていない」と指摘した。CNNは「刑を執行する軍人が受ける心理的な衝撃や、身元が公開されるリスクへの対策も決まっていない」と指摘した。
論争が拡大すると、9日にはハサン死刑囚の銃殺刑の生中継を「承認した」としていたトランプ大統領は、10日には「さまざまな観点を考慮している。最終決定は私が下す」と述べ、立場を変えた。
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