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世界を揺るがすロシアの「黒死病疑惑」…14世紀に2000万人の命を奪った病気、今も危険なのか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

6日、ロシア・イルクーツク州シェレホフの市場付近で、ショッピングキャリーを引いて歩く女性。シェレホフでは最近、ペスト防疫研究所の職員が原因不明の肺炎で死亡し、ペスト感染の疑いが浮上した。[ロイター=聯合ニュース]

ロシア・シベリアのペスト研究機関に勤務していた28歳の職員が「原因不明の肺炎」で死亡し、世界中に恐怖が広がっている。インターネット上では、感染力が強まった変異型のペスト菌が流出したのではないかとの主張も出ているが、これまでに裏付けとなる根拠は確認されていない。

世界保健機関(WHO)が7日に明らかにしたところによると、ロシア当局は6日、イルクーツクで確認されたペスト患者はいないと正式に報告した。死亡した職員と接触した約200人を追跡して検査したが、ペストなどの危険性の高い感染症は確認されず、大半が隔離を解除された。WHOは、イルクーツク地域のリスクを「中程度から低い水準」、ロシア全体のリスクを「低い」、国外への拡大リスクを「非常に低い」と評価した。欧州疾病予防管理センター(ECDC)も、二次感染者や継続的な人から人への感染を示す証拠はないと明らかにした。


ただし、懸念が完全に解消されたわけではない。ロシア当局は、死亡した職員の検体から業務に関連する微生物は検出されなかったと明らかにしたが、どのような検体でペストの検査を行ったのか、最終的にペスト感染の可能性を除外できたのかなど、詳しい内容は公表していない。米政府はロシアに追加の情報公開を求めている。米メディアの一部が指摘した「人為的に感染力を高めた菌」の可能性についても、これまでに信頼できる証拠は示されていない。


ペストは、ペスト菌(Yersinia pestis)による感染症だ。約7日の潜伏期間を経て、胸の痛み、せき、喀血、高熱などの症状が現れる。体内の出血によって皮膚に黒い斑点が現れることもあり、このため中世には「黒死病」と呼ばれた。14世紀のヨーロッパでは、2000万人以上がペストで死亡した。

現代でも完全に消え去ったわけではない。WHOの最新の集計によると、2019~2025年に6か国で2646人のペスト感染が確認されたと報告されている。中国でも19人の感染が確認され、このうち6人が肺ペストだった。モンゴルでも17人の感染が確認された。ロシアのシベリアとモンゴルの国境付近には、野生のげっ歯類とノミの間でペスト菌が循環する地域が今も残っている。

感染経路は病型によって異なる。最も多い腺ペストは、感染したノミに刺されたり、感染した動物の組織や体液に触れたりすることで感染する。一方、肺に感染が及ぶ肺ペストは、患者がせきをした際に出る飛沫などを通じて、人から人への感染が起こり得る。

ただし、はしか(麻疹)のように病原体が長時間空気中に浮遊し、遠くまで広がる空気感染ではない。ECDCは、一般的に、症状のある患者との「近距離での継続的な接触」が必要だと説明している。

中世には感染すれば命を落とす病気だったが、現在は抗生物質で比較的容易に治療できる。WHOは、肺ペストを治療しなければ18~24時間以内に致命的な状態まで悪化する可能性があるものの、早期に抗生物質を投与すれば回復の可能性は高いと説明している。

専門家は、海外メディアが使う「原因不明の肺炎」という表現そのものを、過度に恐れる必要はないと説明する。米国で、市中肺炎で入院した成人患者を対象に幅広い検査を行った研究でも、原因となる病原体が確認された割合は38%にとどまった。肺炎患者の半数以上は、検査を行っても原因菌を特定できない場合があるということだ。

嘉泉(カチョン)大学吉病院の感染症内科教授、オム・ジュンシク氏は、「原因不明の肺炎というだけで、新たな感染症を疑う状況ではない」とし、「今回の事件が注目されているのは、死亡した職員がペスト菌を扱う研究機関に勤務していたという特殊な事情があるためだ」と述べた。オム教授は、「ペストは先進国ではまれな感染症となっているだけに、実際に感染が確認されていたとしても、対外的なイメージや防疫対応への負担から、ロシアが情報公開に消極的になっている可能性は否定しにくい」とし、「これまでに二次感染は確認されておらず、接触者の観察期間も過ぎつつあるため、大規模に拡大する可能性は低いとみられる」と説明した。



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