6日、青瓦台で開かれた国務会議で発言する李在明(イ・ジェミョン)大統領 [青瓦台写真記者団]
大統領の人事権には独特の力学が働く。ポストそのものが忠誠を引き出すインセンティブだ。13年前の統計では、大統領が任命するポストが8593件、直接人選・決裁するポストが1947件だった。間接的な影響力が及ぶポストは2万件にのぼる。今もそれに劣らないだろう。問題は、ポストを得た人は自分の抜てきを当然のことと考えやすい一方、はるかに多くの、ポストを得られなかった人は自分が選ばれなかったことを不当だと考えるようになる点だ。権力連合の中で対立を生む要因となる。もう一つの難題もある。支持率の管理という面では「異例の人事」が歓迎されるが、異例の人事によるリスクが大きくなるということだ。また、支持率が下がれば優秀な人材が来ようとせず、そのため支持率がさらに下がるという負のフィードバックもある。このため後半になるほど抜てきよりも昇進が増える。多くの歴代大統領がたどってきた道だ。
李在明大統領の場合、目を引く点がある。任期の中後半に表れそうな人事の様相がすでに見られるからだ。人材プールが特定の人脈に限られ、早くも昇進(次官→長官)が目立っている。「身内」を重視しているのだ。
どの程度か、ある検事のフェイスブックの投稿を紹介する。「まさか、あの『李定炫(イ・ジョンヒョン)』?」というタイトルで検察総長代行を批判した文で、「法務研修院の研究委員を務めながら3年間、論文を1件も書かなかったことで停職処分を受けた方ですよね?」「平検事を締めつける国政調査特別委員会に出席し『検察代表』の振る舞いをしながら対北送金事件の捜査に関連して『国民の皆さんに罪を償う』と述べ、『客観義務』などと言いながら罪のない検事ら(京畿道水原地検忌避申請関連)の懲戒を主導した、あの方ですよね?」と書いた。そして「『検察代表』を選ぶのに実力や内部の信望は基準にまったくないようだ」と皮肉った。強い冷笑だ。実際、李代行は代行に就任するとすぐに公訴取り消しの可能性に言及した。代行が組織内でリーダーシップを発揮できるのだろうか。
公訴取り消しと関係するポストだけではない。韓国経済の司令塔であるべき経済副首相に次官をそのまま昇進させた。史上初めてのことだ。「実力がある」と知られているが、副首相にそのまま就くに値する人物だったかどうか疑う声もある。国土交通部長官は地方職の局長級から長官になるまでわずか18カ月しかかからなかった。
政界を長く見てきたある人物は「あまり納得できない人物が抜てきされ、不満が官僚社会で強まっている」とし「公務員の比重が高い世宗(セジョン)市の世論を見ればよい」と話した。実際、世宗を含む忠清圏での李大統領の国政支持率は平均を上回っていたが、今では平均を下回っている。8月30日の内閣改造直後の9月第1週には全国平均(40%)より5ポイント低かった(35%)。
特定の大法院(最高裁)判事を念頭に置いているかのように大統領の任命権を強調し、曹喜大(チョ・ヒデ)大法院長と衝突しているのはどう見るべきか。
大統領(チョンワデ、大統領府)の意向がよりよく執行されるための布石ではないのか。
青瓦台の意向をそのまま貫徹しようとして問題を起こした不動産税制や農地調査の混乱を見てほしい。100%すべてするという人よりも、まともに仕事をする人のほうが長期的には政権のためになる。政治において忠誠心は「安価な商品」だ。李大統領はより優れた人材を起用するべきだ。
盧武鉉元大統領の話に戻ろう。盧元大統領は文在寅(ムン・ジェイン)民情首席秘書官を法務部長官に起用しようとして与党指導部の反発を招いた。結局、人事権が大統領固有の権限であることを確認しながらも、人事問題に関する党の助言と建議に耳を傾けると約束しなければならなかった。大統領の人事権は、適切に使ってこそ力を持つ。
コ・ジョンエ/中央SUNDAY編集局長
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