先月22日(現地時間)、トランプ米大統領がニューヨーク国連本部で開催された国連総会を契機に、多国間政治・安全保障連合体「米州の盾(Shield of the Americas)」首脳会議に出席した。[AP=聯合ニュース]
先月29日、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)は「米国防総省が中南米全域で麻薬カルテルを追跡する米軍の役割を大幅に拡大している」と報じた。これまで米国は中南米の現地政府に資金や装備、情報を提供する支援者だったが、最近は軍事力を直接投入する麻薬戦争の当事者へと役割が変化しているという。
米軍は昨年からベネズエラ近海のカリブ海で麻薬運搬が疑われる船舶を攻撃し、直接的な軍事行動の道を開いた。続いて今年1月にはベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したのに続き、6月にはベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」の指導者エクトル・ゲレロを精密攻撃して殺害した。これに先立ちトランプ米大統領は3月「カルテル掃討にミサイルを使用する」と公言していたが、米ワシントンポスト(WP)はゲレロ殺害について「トランプ氏がこの構想を現実のものにした」と評価した。
米軍の直接介入が海上での攻撃を越え、中南米の陸上に拡大する可能性も指摘されている。ロイター通信によると、米軍は先月アリゾナ州で北方軍司令部の主導で「ファルコン・ピーク(Falcon Peak)」演習を実施し、メキシコ国境を越えて行き来する麻薬カルテルのドローン(無人機)に対応するための技術を試験した。ジェームズ・ストーリー元駐ベネズエラ米国大使はWPのインタビューで「以前は現地政府が作戦を実施するよう協力していたが、今では米国が自ら引き金を引いている」と述べた。
米国は軍事介入拡大の大義として、中南米が世界のコカイン供給網の主要拠点であることを掲げている。国連薬物犯罪事務所(UNODC)の「世界薬物報告書2026」によると、2020~2024年に世界のコカイン輸送の主要出発国はコロンビアで、ペルーとブラジルが続いた。
エクアドルは南米産コカインが海外に流出する主要な輸出ハブだ。米麻薬取締局(DEA)は2023年のUNODC報告書で、南米から北に密輸されるコカインの約74%がエクアドル沖を含む東太平洋の海上ルートを利用すると推計した。
米国は直接的な軍事行動を拡大するだけでなく、カルテル対応方法そのものも全面的に変えている。まず、トランプ政権は昨年2月、トレン・デ・アラグアなど8つの犯罪組織を外国テロ組織(FTO)に指定し、カルテルを「テロとの戦い」という枠組みで扱う政策的基盤を整えた。
さらに米南方軍は海兵隊の4つ星将軍フランシス・ドノバン司令官の指揮の下、中東での対テロ戦争で発展させた軍事技術を中南米の地形に合わせて応用している。無人ボートや小型ドローンなどを活用し、ジャングルの中にある麻薬製造施設や密輸用の半潜水艇を追跡する方式だ。中東は砂漠が多く開けた地形であるのに対し、中南米はジャングルや山岳、河川が多く、カルテルが身を隠しながら麻薬を製造しやすい環境であるため、地形に合わせて変化させた戦略を適用する必要がある。
中南米・カリブ海で運用中のMQ-9「リーパー」の戦力を増強するため、アフリカに配備されている機体の一部を追加移転することも検討している。MQ-9はソマリアのイスラム過激派武装組織アルシャバブの追跡・空爆などに活用されてきた大型ドローンで、長時間にわたり高高度から広範囲の標的を監視・追跡し、必要に応じて直接攻撃することもできる。
作戦体制も全面的に再編している。WSJによると、ワシントンDCでは先月末、米南方軍・北方軍・欧州軍・アフリカ軍と特殊作戦軍の司令官らが集まり、麻薬カルテルへの共同対応策を協議した。米国防総省のショーン・パーネル報道官はWSJへの書面回答で「各司令部と政府機関、国際的なパートナー間の連携を強化し、作戦上の隙間を埋めるため」と説明した。
強硬な右派政権が発足した中南米諸国も米国の軍事介入拡大を後押ししている。麻薬カルテルを安全保障上の脅威と規定するこれら政府と、中南米での影響力を拡大しようとするトランプ政権の利害が一致するからだ。米国としてはこれを通じて自国に向かう麻薬を原産地と輸送段階から阻止すると同時に、麻薬掃討を手段として中南米各国との軍事協力を強化する効果も得られる。米軍の直接投入とともに現地軍への教育・訓練、情報共有、共同作戦などを拡大し、米国を中心とする地域の安全保障秩序を強めるという構想だ。
これを受け、米国と中南米諸国は多国間の政治・安全保障連合体「米州の盾」を通じて、麻薬カルテル共同対応のための軍事力投入策を継続的に協議している。トランプ政権は先月、欧州・中東諸国向けに配分していた海外軍事融資(FMF)5200万ドル(約82億円)をコロンビア、エクアドル、ペルー、パナマ向けに振り向けることを決定した。
「米国が自ら引き金を引く」…軍事力を総動員する中南米「新麻薬戦争」(2)
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