イラスト=キム・ジユン記者
中国は海外人材に研究費と定着金などを支援する「千人計画」などで科学者や技術専門家を誘致してきた。韓国の学界関係者も中国からのラブコールは日常茶飯事だと口をそろえる。サムスン電子と米IBMで半導体研究開発を行ったポステック半導体工学科のイ・ビョンフン教授は「浙江省など中国各地から週1回ほどスカウトメールがくる。年俸3億ウォンとそれに相応する成果給、年間約10億ウォンの研究費に家と車まで提示する形」と話した。彼は「違法流出と別個に科学者を優遇する中国の政策は韓国の研究環境と比較されるほかない。学者が十分に惑わされるほどの報酬を掲げている」とした。
韓国企業の人材にも職群に関係なくアプローチする。ビジネス人脈サービス「リンクトイン」にサムスン電子やSKハイニックスの経歴が書かれていると中国企業やヘッドハンターの接触が集まる。韓国半導体業界関係者は「必ずしもエンジニアだけでなく、マーケティングや営業職群も対象。(中国企業の立場では)職群ごとに必要な経験や情報があるため」と話した。
ヘッドハンターは特に退職前後に食い込む。韓国での再就職がうまくいかない人材に高い報酬を提示するのだ。中国駐在員として勤めたサムスン電子の元役員は「役員は退職直後が心理的に最も弱っているが、半導体業況が悪化して会社を去る役員が増えると、この時に中国のヘッドハンターが接触する」と打ち明けた。
中国企業が買おうとしているのは韓国企業が数十年にわたり蓄積した「工程ノウハウ」だ。半導体など先端産業は同じ設備を整えても細部工程を微細調整し不良要因を見つけ出す熟練度により歩留まりが大きく変わるためだ。サムスン電子で副社長を務めたイ・ビョンチョル氏は「技術はお金と時間、人を投じて無数の試行錯誤を体験した結果。中国の立場では韓国の年俸の何倍を払ってでも核心人材を連れてくればその過程を飛び超えられるかもしれず割のいい商売」と話す。
スカウトされた技術者はまた別の韓国人材を呼び込む「誘引策」になったりもする。保有する技術と経験を渡した後に中国企業での立場が狭まれば人材斡旋ブローカーに転じるのだ。彼らはともに働いた過去の同僚を中国企業に紹介して見返りと受け取り生計を続けるという。
海外企業への転職自体を技術流出と断定することはできない。問題は会社の営業秘密や核心技術を無断で持ち出して使用する場合だ。韓国産業保安翰林院のカン・ギジュン会長は「(裁判にかけられた)事例を見ると、単純に経験を頭の中に入れて出て行くのではなく、資料をダウンロードしたりコピーしたりして、別に整理して持っていったケースが多い」と話した。その上で「頭の中に記憶したものを思い出したからと営業秘密でないわけではない。例えば個別には公開された情報でも、これを合わせた全体は公開してはならない情報であることもある」と説明した。
企業は出入り時の検査と携帯電話撮影遮断、文書の等級化、外部転送規制などで資料搬出を防いでいる。退職時に秘密維持誓約を受け、核心人材には転職禁止約定も受け取る。ただ専門家は技術が流出した後は被害を取り戻しにくいだけにセキュリティ強化など事前予防が重要だと強調する。イ・ビョンチョル元副社長は「役員社員対象の教育をより徹底し、退職した核心技術人材に対する事後管理も強化しなければならない」と呼びかけた。
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