日本の入試熱は有名だ。私立の中高校まで入学試験を行うため、小学校３～４年のときから受験生の身となる。私設の入試学院は、韓国以上に盛況だ。

２０００年に株式を上場した東京個別指導学院（ＴＫＧ）は、独特な経営戦略で成功したケースだ。名前はただの学院だが、資本金６億２７００万円に、年間の売上高が１２１億円にのぼり、経常利益も１９億円に肉迫する中堅企業だ。


ＴＫＧは、馬場信治社長（４４）が１９８５年に設立したとき、受講生３００人の町外れの零細学院に過ぎなかった。しかし、常識と慣行を打ち破った経営戦略に支えられ、急成長を遂げた。


極意は３つの差別化戦略だ。

第一に、ＴＫＧは、市場規模が小さい上位圏の学生層の代わりに、受験生の大多数を占める中下位圏の学生をターゲットにした。教育目標も「合格」より「自信」を目指した。

第二に、ＴＫＧは、社名通り、教師と学生が１対１または１対２の、マンツーマン式の個別指導を行っている。そのため、講義室もあたかも読書室のように仕切りを設けており、机ひとつに椅子２～３脚を置き、学生と講師が顔を合わせて勉強できるようにしている。

第三は、学生が講師を選ぶという、講師指名制度を導入している。「顧客」である学生に、気に入る講師を直接選ばせるのだ。一度講師を選んだ後、気に入らなければ途中で他の講師に変更することもできる。

講師の給与は、学生の間でどれだけ人気を集めているかと、担当学生の成績がどれだけ向上したかに連動する。そのため、ＴＫＧの講師は誠意を尽くして教えている。当然、保護者の間でも評判はよい。

受講料は、他の学院に比べて最高５０％も高い。例えば、小学校６年生の週３回（４時間）の授業料が月４万３０００円だ。学院の高級ブランドに位置付けられたわけだ。