韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が8日(現地時間)、トルコ・アンカラのホテルで首脳会談を前に握手を交わしている。[聯合ニュース]
発端は、ウクライナのゼレンスキー大統領が23日(現地時間)に行った国連総会での演説だった。同氏は「最近、われわれは北朝鮮兵捕虜2人を大韓民国に送った」と明らかにした。韓国への移送が突然公表されると、李在明大統領は翌日、X(旧ツイッター)に「非公表とする合意を破って公表した。非常に残念だ」と投稿した。青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)の高官も同日、ウクライナ側から演説前に捕虜について言及する可能性があるとの連絡はあったものの、「どのような形で言及するのかは明確ではなかった」と説明した。この高官の説明によると、韓国政府は韓国への移送を公表してはならないとの立場を伝えており、両国の協議の過程でも「公にせずに進めるという了解があった」という。
青瓦台と外交部は、ゼレンスキー氏の公表後も「本人および家族の身の安全に関わる機微な事案であるため、身柄に関する措置を取ったかどうかや、その時期などについては、確認に応じることは難しい」として、明言を避けた。具体的な入国時期は、国民の力の庾竜源(ユ・ヨンウォン)議員が24日、記者団に「3~4日前に韓国に到着したと承知している」と述べたことで明らかになった。
これに対し、ウクライナ大統領府は「公表しないという合意はなかった」と真っ向から反論した。「わが国の兵士が捕らえた人々を、ただ秘密裏にどこかへ送るというのは、おかしなことだっただろう」と説明した。
韓国に来た捕虜2人は、昨年1月にロシアでウクライナ軍に捕らえられて以降、韓国行きを希望する意思を繰り返し表明してきた。その後、両国は6月の外相会談と7月の首脳会談で、本人の意思と人道的原則に基づく解決について認識を共有した。与党関係者は「ロシアや北朝鮮に送らず、本人の意思を尊重してほしいとウクライナ側に要請し続けてきた成果だ」と述べた。
こうした努力の末に韓国への移送が実現したことを、なぜ政府が直接公表しなかったのかをめぐり、政界でも対立が生じた。共に民主党は、ゼレンスキー氏による公表を「両国間の信頼を裏切る行為」〔25日、申賢栄(シン・ヒョンヨン)報道官〕と批判した。一方、国民の力の鄭点植(チョン・ジョムシク)院内代表は同日、「金正恩(キム・ジョンウン)氏の機嫌を損ねるのが怖かったのか」と批判した。無所属の韓東勲(ハン・ドンフン)議員は、政府が気にしているのは「金正恩政権の機嫌を損ねたかどうか」だと主張した。与党側からも「なぜ人道的な観点から捕虜を受け入れたという事実を明らかにできないのか」〔26日、朴智元(パク・ジウォン)議員〕との指摘が出た。
韓国政府は、今回の韓国への移送を通常の「捕虜交換」とは区別している。政府関係者は「韓国は交戦当事国ではないので、捕虜交換ではない。ウクライナが人道的な観点から移送に応じてくれたものだ」と説明した。
本国への送還を拒否した捕虜をめぐる問題の代表的な先例として、6・25戦争(朝鮮戦争)がある。赤十字国際委員会は、2020年に改訂したジュネーブ第3条約の注釈書で6・25戦争を代表例に挙げ、当時、国連軍に捕らえられた北朝鮮兵・中国兵の多くが帰還を拒んだため、送還問題が主要な争点になったと説明している。ただし、当時は韓半島(朝鮮半島)で捕らえられた交戦当事国の捕虜だったのに対し、今回はロシアで捕らえられた北朝鮮兵が、交戦当事国ではない韓国行きを選んだという違いがある。
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